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「未開の議場 2023」終演後こばなし〜衣装大解剖篇
皆様こんにちは、萩島商店街青年部、ハマカワフミエです。
終演後こばなし、今回は各役の衣装を紐解いてまいります!
現代劇の衣装は(小劇場では特に)キャストの持ち寄りによって揃えられることが大半。今回も、例外ではありません。
ハマカワの主観で、一人ずつ解説&裏話をご披露していこうと思います。
そして、衣装部・木村聡太のコメント付き。お楽しみくださいませ!
大崎龍介(演・鍛治本大樹)
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いきなりこの人から。
衣装合わせが最も盛り上がったメンバーだと思います。なんせ、脚本中に
「壊滅的にセンスがない」「服だってあれだし酷いもんですよ」「初めて会った時ポロシャツをインしてて、お前はどこのプロゴルファーだって」と、激しくそのいでたちを書き込まれているのです・・・!
それでいて苗山さんには「センス、なくないよ」とフォロー(?)されています。
センスなくない、とギリギリ言える、センスのないコーデ。不思議な丈、不思議な重ね着、不思議な色合わせ・・・。
いやー。何度見ても味わい深いです。なんか、クリスマスみたいな色使いですよねぇ。
木村「あからさまにダサ過ぎるとわかりやす過ぎて台詞のフリが効かないので、役年齢に対して"中学生みたいな組み合わせの美的センス"を目指すイメージ。」
大崎舞子(演・山本沙羅)
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そんな大崎龍介さんをおムコに迎えた元ヤンガール、大崎舞子です。
ダメージデニムは沙羅ちゃんの私物。パーカーはどろんじょが劇団から借りてきてくれました。肘のところにワッペンが付いていたのですが、外して着用したもよう。
この「地元をふらつく時はこんな感じっす、ちっす」な感じと、ピンクの女子感がすごくかわいいなぁ、と個人的に思っていました。衣装ではないのですが、沙羅ちゃんは舞子さん仕様ということでマツエクもしていました。メイクもラメラメで、全体ラフでも気合い入れるところは入れるっす、な舞子さんだったなぁと思います。あと、眉毛、すごく細く剃ってました。美も元ヤン風味も細部に宿るのかもしれません。
木村「こういうの、意外とさらちゃん似合うよね。
"お出かけ用じゃない"けどお洒落自体は好きな元ヤンのオフ着的な」
葉浦充(演・木村聡太)
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行政書士の葉浦さんです。一見地味目のスーツスタイルですが、シルエットが綺麗なセットアップでしたね!!キムラ、細いので(矢沢あいの漫画の男の子のようです)、エレガントなスーツが似合うこと似合うこと。
コツコツ音を立てる革靴は、上演前の舞台説明では一歩の歩幅(約1m)を示すのにも一役買いました。メガネはなんか、何個か取り替えてしっくりくるものを探していましたよ。
木村「DSQUARED2のスーツ。実はレディースです。
イタリアらしいシルエットと遊び。
靴下は日替わりで可愛いのを選んでいたぞ。
葉浦さんは"お洒落だけど、色柄やブランドの主張はNG"
お気に入りを舞台で着るの嬉しい。」
神田香(演・宍泥美)
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神田不動産のお嬢さん、議長の神田さんはザ・キャリアウーマン!といった服装でしたね。この写真は、後半の休憩中なので一回限界突破して宇多田ヒカルを歌った後の乱れ髪スタイルですが笑、きっちりぴっちり一本に結んでいました。
このインナーの紫のカットソー、絶妙ですよね。普段の仕事着として解像度高いなぁー!と衣装合わせの時に唸りました。どろんじょの私物だったみたいです。バッグが大きくて、それも外回りの多い神田さんの感じをすごく醸してた気がします。重いんだろうなぁ・・・ってずっと思ってました。笑
木村「ハマカワも書いていますが、あの紫インナーいいバランスだったなぁ。
"仕事を生活のベースにしつつ、決して洒落っ気がないわけじゃない"神田さんの人柄が見える感じ」
馬場倫子(演・大塚由祈子)
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ツバメ食品総務課にお勤めの馬場さんです。2023版で女性に変わったキャストのため、前回の参考資料的なものがありませんでした。完全に一からビジュアルを作り上げたメンバーですね。
仕事帰りという設定のため、上は工場勤務時着用の作業着。その中に、オフィスカジュアル仕様のブラウス、下は千鳥格子のチェックのスラックス、というコーデでした。馬場さんも髪の毛一本しばり族の一人でしたが、留めているのはゴムではなくキラッとしたヘアクリップ。あとがつきづらく、さっとまとめられるという点で馬場さんの性格的なものを感じていました。
木村「作業着は作業着として
僕が苦手な"日本の社会通念的な"女性らしさを理解しつつ、そうじゃない感覚値と実利の間を取っている馬場さんのバランス感覚たるや」
森雄太(演・原啓太)
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トメニア人の子どもたちの先生、森さん。
色合いこそシックですが、柄on柄!!だいぶ派手!!でもなんと、どっちもけいたの私物!!笑
メンバー中一番夏っぽい衣装だったんじゃないでしょうか。半袖柄シャツ、ユニクロのリラコみたいな薄手のゆるいパンツ、足元はなんとサンダル!森くん、風邪ひいちゃうよ!秋も深い今日この頃だよ!!
「革のアクセ欲しいな」という提案は確か演出協力の須貝さんからだった気がします。トメニアのお土産かもしれませんね。民族工芸品的な。あと、最初「髭なしで」と言われていたのを「髭ありにしたいです」と本人の希望でちょい髭スタイルになっていました。
木村「森くんは暖色系で柄!は僕の中で最初から希望がありました。
自分が過去に森君を演じた時は丈の長い黄色の民族柄羽織でしたが、ケイタの体型とキャラクター的に今回は"丈を長くしたくない"と伝えた気がします。
にしても良い虎柄だ。
向井章吾(演・宮原奨伍)
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元・不良っす!うっす!ゲーセン店長、向井さんは男子メンバー唯一のロン毛さんでした。後れ毛がひどくセクシー。舞子もグラッとなっちゃいますわ。そりゃ。
アバクロのパーカーにインナーはタンクトップ、ストレートジーンズにスニーカー、というラフな服装ですが、全体に漂うのはなんとなくの品の良さ。不思議なコーデだなぁー、と思って見ていました。確かオンライン版の時は、向井さんは前職が古着屋だった、と言ってた(履歴書で設定されてた)記憶があります。その辺も影響しているのかもしれませんね。腰につけたたくさんの鍵がジャラジャラ鳴るのも、ちょっとした独特の存在感につながっていたかもしれません。
木村「向井さんは今回唯一僕の初期想定からかなり離れた衣装だったはず。
しかししょうごさんが演じる今回の向井さんとしては大正解なラフさと"地元の兄ちゃん感"よねぇ」
升遠綾子(演・小林春世)
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スナックのママさん、升遠さんです。フェミニンな膝下丈の花柄ワンピ、他のメンバーに全くない華やかさ!これ着こなせるのすごいなー、と思って眺めていました。
白いストールはハマカワがお貸ししました。「天の羽衣感がすごいから、浮くかも・・・」と言って渡したのですが、これも馴染む。着こなしてくれてありがとう・・・。ゴールドの留め具を使って、ボレロ風にして着用したようです。
升遠さんは多分唯一、ネイルアートをしていた人だったと思います。メイクも一番濃かったのかな。フェミニン全部盛り、でしたね!
木村「これトータルでわかり味深いし、可愛かったねぇ。でもあれを当たり前に選ぶ強さから
はるよさん演じる升遠さんの明るさと、腹の座り方がわかる」
紫門源一郎(演・藤田雄気)
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紫門商事の社長、紫門さんのお出ましです。萩島の名士、萩島を支えて三代百年、つまりチープな量販店スーツはNGです!
このオリーブグリーンのセットアップ、ふじくんの私物でした。流石にサイズ感も完璧!黒とかグレーじゃないところに、なんか、何かしらの余裕を感じていたのは私だけでしょうか。
余裕と言えば、これ、ネクタイの柄が楽器の模様なんですよね。ホルンとかバイオリンとか。大人の遊び心を感じるコーデだなぁ、と思って見てました。
木村「これ大好き。
シモンさんへの僕からのオーダーはひとつで
スーツでもアロハ短パンでも何着てもいいが"安っぽいのは絶対NG"でした。」
苗山みどり(演・ハマカワフミエ)
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お鍋の番人、苗山さんです。
麻の薄いカーディガンに白×紺のボーダーT、麻のガウチョパンツに白のスニーカー、焦茶のエプロンというなんとも丁寧な暮らし感あふれるコーデでした。
これ、実はエプロン以外全部ハマカワの私物でした。でもこの組み合わせで着たことは一度もなくて、自分の服なのに新鮮な気持ちでしたね。
ちょっとだけアピールすると、スニーカー、アディダスとマリメッコのコラボデザインのものを今回のために新しく買っちゃいました。苗山さん、マリメッコ好きそうだなーと思ったのもありますが、単純にもう、めっちゃ可愛くて!プラベで履きまくりたいと思います。
木村「苗山が苗山過ぎて笑う。
"穏やかなはず"のオーガニックの、静かで激しいキャラクター主張。言う事なし。」
湯田清美(演・石井舞)
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コンビニオーナーの未亡人、湯田さんです。
辛子色のカーディガンに茶色のインナー、カーキ色のパンツに黒のキャンバストート(某パン祭りのシール引き換え景品だったようです。ララマートでも扱ってたんだね)。落ち着いた、秋っぽい色味。カジュアルだけど大人っぽい、地に足のついた感じですよね。ちなみに辛子色は当初から候補にあったようですが、「裏切り者ユダの色だから絶対黄色にするべき」とハマカワすごく推しました。
ただ、この衣装、すっごく暑かったみたいです・・・!ニットのカーデにニットのタートルを重ね着しているので、本当に暑かったようで、終盤楽屋で冷却スプレーをしているのを見かけました。まいまい、お疲れ様・・・!
木村「こういう服とキャラクターやる舞さんの
圧倒的な幸の薄さと緩やかな川の流れがいずれ岩を削る着実さが出る良い地味衣装。
"でも暗くはない。"ここ大事。」
町屋要(演・安藤理樹)
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スーパーマチヤ商店の町屋さんです。
白のボタンダウンシャツに、ベージュのチノパンはお店の指定服、という設定だったよう。スーパーマチヤのオリジナルロゴの入った赤いエプロンに、登退場時のみ紺色のウインドブレーカーを羽織っていました。ロゴは安藤自らデザインしましたよ。ラ○フに見える?気のせいです!!
あと、今この写真で気づいたんですが、アナログの腕時計もしてたんですね。アナログなの、すごくわかりみが深いと思うのは私だけでしょうか。
そうそう、エプロン、オークション参加してくださった皆様、どうもありがとうございました!落札者様、発送まで今しばらくお待ちくださいね。
木村「台本に書かれた町屋さんはそれ即ちほぼ安藤理樹なので、本人の解像度が一番高い気がします。たしかエプロンの色を須貝さんから赤イメージとオーダーが入ったくらいであとはもうりきさん。
"あれは並行世界のりきさん"」
池畑由美子(演・コロブチカ)
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萩島ケーブルテレビにお勤めの池畑さん、登場人物紹介の時に「バンドマンに間違えられます」なんて言ってましたけれど、その通り、ぜーんぜん勤めてる人っぽくないお衣装!
青いジャージに青い花柄のシャツ、黒の細めのジョガーパンツにでっかいリュック。金髪は元々コロちゃん、そうなのですが、本番にいい色が出るように青を入れたり微調整していましたね。
オンライン版でも青いジャージを部屋着にしていた池畑さん。なんかこの鮮やかな青、すごく「池畑さんの色」として定着していた気がします。
木村「今回では数少ないお客さんの認識に色が染み込むタイプの衣装。
"発色はヴィヴィットじゃないが、はっきり"とした強い青は
コロさんの池畑だからこそって感じしますね。
まーた強い色がよく似合うんだ、あの人。」
渡邉タルファン(演・渡邉とかげ)
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萩島町役場のトメニア人職員、タルファン。
馬場さんと同じく、こちらもまた今回一から組み立てたお衣装です。
エスニックな柄のキャミワンピにタイパンツ、頭には柄物の布地をターバンのように巻いた、民族風味強めなコーデです。頭の布地、衣装合わせで初めて見た時「ゴールデンカムイのアシリパさんみたい・・・!」と思いました。思いませんでしたか!?笑
森くんもでしたけど、タルファンも半袖とサンダル。トメニアで暮らすと、薄着になる傾向が・・・?とか思いながら見ていました。そうそう、とかげさんは今回カラコンも入れていましたね。ブルーグレーみたいな色のやつ。
木村「タルファンはねぇ
難しかったと思うんですよ。
やり過ぎたら萎えちゃうじゃないですか。こういうのって。
キャラクターの説明っぽさが過ぎると、なんか。
でもピンポイントで出てくるからさらっとしちゃうとそれはそれで美味しくない。
"しっかりやりつつ、逸脱しない"柄やシルエットのバランス
とかげさんに拍手」
計14名の衣装、それぞれのこだわりやちょっとした遊びがたくさん詰まっていました。
ハマカワは衣装部というわけではなかったのですが、本当にいいバランスだなぁーと思ってみんなのいでたちを眺めていました。
この人数のコーデを整え、それぞれの魅力や役のポイントを可視化してくれた衣装部(小林・木村)の二人に感謝と拍手です。ありがとう!
それでは、今回はここまでです。
また次回の更新で、お会いしましょう!
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