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樹木医さんと行く「三見の樹木お宝巡り」②

私は普段、三見に行っても比較的大きな道を車で走るだけ。
道路から見える「スダジイ(入口)」の看板がいつも気になりながらも、スーッと通り過ぎるだけでした。
一人ではなかなか始まらない・・・。そんな人こそ、このような機会を利用すれば思い切って行けるのでおすすめなのです!

「三見歩こう会」のメンバーと一緒に歩き、いざスダジイの待つ場所へ。
いつも見る看板とは逆の方向から入ります。
「エッ、ここ本当に通っていいの?」というくらい細い道を皆で進みます。

マジですか。いいんですか、こんなとこ入っちゃって・・(汗)。一人ドキドキする私。

実はこの細い道も、昔は駅の向こうまで続く重要な道だったそうで、荷車が通ったり、馬が通ったりもしていたそうです。な〜んだ!そうだったのか。

そういうことを知ることができるのも、地元の方と一緒に歩くところの良さですね。

途中で「こちらですよ」看板が出てくるので見逃さないようにしましょう。


さらに細くなった道を進んでいくと・・・ありました✨

石丸小山田

スダジイ」

まだ角度の低い朝の光を受けて神々しく輝くスダジイ。森の一部として溶け込んでいます。

このスダジイは昔から〝椎神様〟といって大切にされてきたそうで、現在も土地の方の善意によって周辺が綺麗に保たれ、いつでも見られるようになっています。

看板には幹周が6m、樹齢は500年と推定されるとありました。

木がただそこにあるだけではなく、環境を守る人がいるからこそ保てる命がある、そんな風にも思えました。

草野先生の説明を聞きながら、スダジイを見上げる一行。


三見駅
古木サクラ」(ソメイヨシノ)
三見駅には同時期に植えられたサクラの木が3本あり、そのうち1本は駅舎の中央にありましたが、かなり弱っていました。
大正時代、三見駅の開業(1925年)に合わせて植樹されたと思われることから、樹齢は100年ほどと推測されるそうです。

「三見の樹木お宝巡り」で歩いていたその日。駅舎前の古木サクラが100年の役目を終えて三見駅を去る直前の瞬間に、偶然にもに立ち会うことができました。

お役目を終えた古木サクラ。工事の方が暫し作業を止めてくださり、
樹木医の先生のお話を聞きながら、最後の姿を見ることができました。


後で個人的に調べたところによると、ソメイヨシノは樹齢30〜40年で枝や幹の成長がゆっくりになり、樹齢50年を超えると老木の域に入るそうです。老木になってから半世紀…よくがんばりました。
時代を越えて、地域の人たちのいろんな表情を見てきたんだろうな。
残った2本のサクラ、もうしばらく健康で長生きできますように。

次は駅の近くにある大歳神社。

大歳神社
大ムク」

大きなムクノキ。そのスケールを実際に間近で見て感じる参加者たち。

草野先生が「葉の裏をさわってみてください。ザラザラしていているのがわかりますか? この葉っぱは紙ヤスリにもなるんです」と言うと、「本当だ!」と感激しながら、手でさわって確かめる皆さん。

〝写真では伝わらないものが実物では伝わる〟

それこそが、現地へ足を運んで学ぶことの一番の素晴らしさですね。

大歳神社の大ムクの幹周りを測ってみると、3m66cmありました。

ムクドリという鳥がいますが、ムクの実を好んで食べることからその名がついたそうです。


「古木ツバキ」
花が首からポトリと落ちるので、縁起が悪い花なんて思われることもあるようですが、むしろ逆で、縁起の良い花なのだそうです。
名前の由来は葉にツヤがあるという意味で、「艶葉木」が「ツバキ」になったという説があるそうです。

葉のツヤを目で見て確認。実際に感じたことはとても刺激になり、記憶にも残ります。


一長谷椿谷
ヤブツバキ」
かつてこの山には草木が覆うように茂っていて、それを払ったところ古いヤブツバキの林が出てきたといいます。

通りからすぐのところに細い山道があり、そこを登って群生するヤブツバキに会いに行きます。
三見小学校の児童の勉強にも使われる一長谷椿谷のヤブツバキ。幹周は121cmありました。

生えている場所や環境にも左右されるそうなので、凡そではありますが幹周の太さから、三見小学校で使っている計算式では195歳くらいと推測。

先生の見立てによると、山を覆っていた草木を払ったため、日が当たるようになってから急激に成長した可能性があるため、幕末から明治頃に生まれた木ではないかとのことでした。

萩市では笠山のツバキ自然林が有名ですが、日本列島は〝ヤブツバキの島〟と言えるほど、もともと自然にあったものを防風林としても利用しているそうです。
北限は青森県の陸奥湾にあるんだとか。機会があればぜひ見てみたいものですね。


次回、「吉弘のバクチノキ」に続く・・・