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漁師のおかみさん特製「イカ飯」づくりの現場から見えたもの

こんにちは。ローカルエディターの三枝です。

今回は、萩ジオパーク推進協議会が7月17日(日)に開催を予定している『地球を食べる食堂〜須佐ホルンフェルスとケンサキイカ〜』で、ランチメニューとしても提供される「イカ飯」の調理場を見せて頂けるというのでさっそく行って参りました!

あさ8時半。
約束した建物に入ってみると人の姿は見えないものの、何やら奥から賑やかな話し声が……。
声のする方に行ってみると、いらっしゃいました! 山口県漁業協同組合須佐支店女性部の皆さんが既に仕込みに取り掛かっているではありませんか!!

大量のイカを1杯ずつさばき、餅米を詰めて楊枝で閉じるまでの作業を分担し、まるで流れるように手際よくこなしていらっしゃいます。
活気ある雰囲気でテキパキと進めていく様子はさすが漁師のおかみさん達。

須佐が誇るブランド『須佐男命(すさみこと)いか』の
お揃いのポロシャツを身に纏い、和気藹々とイカ飯作りに勤しむおかみさん達。

萩市街地から35kmほどの立地にある須佐漁港は、火山活動による複雑な地形が生み出した天然の港と好漁場に恵まれた素晴らしいところで、イカの一本釣り漁業を主幹産業にしています。

この地域では、古くから何か行事があればイカ飯を作って食べるならわしがあったそうで、大きいものを切って食べるというよりは、餅米を入れた小ぶりのイカに味をよく染み込ませ、「パクッ!」と食べるのが昔からの食べ方なのだとか。

本来はご家庭ごとに味も少しずつ違うのだそうですが、須佐支店女性部では県内外の方にも須佐のおいしいイカ飯をいつでも安定した味で食べて頂けるよう、分量を決めて商品化にも成功しています。

イカ1杯ずつに餅米を詰めます。多すぎるとお米が膨らんだ時に
身が破れてしまうこともあるので、詰め方にもコツがあるのだそうです。
ケンサキイカはもちろん、餅米も須佐のもの。
そこに萩産のお醤油で味付けをして、ここでしか味わえないイカ飯を作っています。
茹で上がったイカ飯。この段階でも既に美味しそうですが、
ここからさらにひと手間かけるんだとか。

材料と調味料を鍋に入れて煮えたら一旦ザルにあげ、今度は楊枝を抜きながら1つひとつ丁寧に拭き取ります。これを再度煮て、さらに味とツヤを出していくんだそうです。こうやって見た目・味・食感にこだわることで、須佐のブランドと品質を守っているんですね。

全員でイカを丁寧に一つひとつ拭いて、余分な皮やアクを取り除きます。

「おぉ! こんなにも手間がかかっていたとは!! まるで高級料亭のようですね✨」と、これには萩ジオパーク専門員の白井さんも大感激。
次回、地球を食べる食堂で提供されるイカ飯にも期待が高まりますね!

今回のイカ飯では使わないゲソの部分も綺麗に形を整えて保存します。
「こんな感じでいいでしょうか?」「それでいいわよ」
先輩のおかみさんが、後輩の仕事ぶりを優しく見守ります。

今回、調理場を見せてくださったメンバーは、ベテランのおかみさん3人と新世代のおかみさん2人。まだまだ勉強中とおっしゃる若手お2人の真摯な姿と真剣な眼差しがとても印象的でした。

須佐の漁師とおかみさん達にとって、ケンサキイカは生活の糧であると同時に大切な宝。
家庭で母から娘へと受け継がれるように、ここ須佐では地域が家族であり、おかみさんからおかみさんへと味と技、そして何よりも大切な「おかみさんの心」が受け継がれているのですね。

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【地球を食べる食堂】第3弾 須佐ホルンフェルスとケンサキイカ
「漁師のおかみさんのスペシャルランチ~家庭料理の知恵と技~」講座では今回ご紹介した「イカ飯」ほか、ケンサキイカのお刺身も提供される予定です!!
おかみさん達の味とまごころが染み込んだ伝統の味にどうぞご期待ください。

▶︎詳細(参加募集は終了しました)
https://hagi-geopark.jp/2022/06/16/6688/

取材・レポート 三枝英恵