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読んだ本1 経済政策で人は死ぬか?公衆衛生学からみた不況対策

やっと読んだ。

これ、2014年の本。作者は公衆衛生学者と疫病学のお医者さん。
不況と経済政策と国民の生死を指標に、過去の事例からその政策かどう影響を与えたのかを書いた本で、彼らは、「経済政策が人体に与える影響」と表現しています。

アメリカ、イギリス、ギリシャ、スペイン、イタリア、スウェーデン、アイスランド、デンマーク、ソ連、ロシア、ポーランド、タイ、インドネシア…と、様々な不況時の政策、不況の原因、それと健康の状況(自殺率、アルコール依存症の数、ホームレスの数、うつ病の数、それから伝染病、交通事故者数も!)を比べて、国民市民がこれから来る不況時にどういう政策を選択、もしくは支持できるように、丁寧に書いてあります。

1930年代の大恐慌で雇用創出、セーフティネット強化に主軸においたニューディール政策を積極的に取り入れた州は健康状態が改善したのに対し、そうでないと州はそうはならなかった。

ここに気づきを得て、調査を始めています。おそらくいろんな人が今頭を抱えている進むべく道をデータに基づいて説明しているなんて、ものすごい本です。
経済と健康の関係性は誰しも漠然と感じ取っているはずだけど、それを明確にするなんて、膨大なデータと歴史を紐解かないといけないことは容易に想像でき、自ら調べよう!とはならないわけです。
丁寧に丁寧にデータと歴史を調べあげ、その上、私でもわかるように優しい言葉で本にしてる(ちょっと長いけど。)ってものすごいこと。

「賢明な選択をすれば、人命を犠牲にすることなく、経済を立て直すことができる」

なんて、ビシバシ心の突き刺さるお言葉…
そして、本の中では、いろんな感染症のことも出てきます。デング熱、HIV、マラリア…

おそらく、新型コロナウイルスの感染拡大による不況がこれからやって来ます。この中では過去に基づく作者の結論が事例ごとに出ています。今から来る不況にどう対応するかの正解ではないけれど、一度読んでじっくり考えた方がいいと思います。

経済成長率が上がっても、それがわたしたちの健康や幸福を損なうものだとしたら、それに何の意味があるだろう? 一九六八年にロバート・ケネディが指摘したとおりである。

本当にその通り。命か経済かじゃなくて、命と経済、両方が成立しないといづれ両方ダメになっていくんだろうな。

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