見出し画像

突然のゴッドファーザー

東大阪を訪れたとき。
かねてから、営業担当より「東大阪行ったら、このお店でエビフライカレー食べてください」と伝えられていた。

機会あって、いざ店内にはいる。創業54年の老舗。外観、内観ともに文字通り「純喫茶」。緑ともグレーとも言えない、レザーの椅子が年期を語る。

カウンターに座ろうとしたら、奥さんが「テーブルにしぃ、その方が落ち着くやろ」の先制パンチ。そう、私がこのお客様を訪問するのは、今回がはじめてなのだ。一定の距離感を保ちつつ、エビフライカレーとホットコーヒーをオーダー。常連さんがお店をでて、店内は私一人となった。

何度か奥さんに話しかけてみる。「近くよったら、ぜひエビフライカレー食べてください。って、営業がおすすめしてました!」が、最初は短い返答で間合がなかなか詰まらない。

エビフライカレーが出てきた。結構大盛りで、ルーから手作りのようだ。無音、無言の中、勢いよく食べきった。めちゃくちゃ美味しい。しっぽを残そうか迷ったけど、空気感に押されて(勝手に)、しっぽも全部食べた。

ジャー。豆が挽かれた。カチャカチャ。サイフォンのロートを混ぜる音。そして、カタン。ソーサーにカップがのせられた。っと同時に…

突然のBGM。タラタラタラタラターン。登場曲、ゴッドファーザーに合わせ、奥から店主が現れた。打ち合わせ、しとったんですか??と内心驚く。コーヒーの入ったカップを持って、店主が向かいに座る。「もう、創業54年や。死ぬまで萩原さんと一緒に頑張るで」

あぁ、ゴッドファーザー。
その後、奥さんも一緒になって、お店の歴史をたくさん教えて頂いた。そんな喫茶店での時間が、やっぱり好きだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?