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ハゲ小説#4 ハゲが一瞬死んだ日と妙な体験 編 03

単純にそう思った。そして闇の中へ―――――。
その後の記憶はない。

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(まだ早い。お前はやることがある・・・・・)

気がつくと、おれはアスファルトの上で横たわっていた。菊宮や三神たちの声がする。

「おい、大丈夫か!?」

自動車を運転していたおじさんも、慌てた様子でこう言った。

「大丈夫!??」

おれはゆっくりとおじさんに支えられながら、立ち上がった。どうやら体は動くようだ。肘や膝にスリ傷はあるが、強い痛みはとくになかった。
空中を舞ってる最中、死を覚悟したおれは一瞬死んだかもしれないが、まだ生きていた―――。

「大丈夫です・・・」

そう答えたが、脳に異常でもあったらいけないからと、おじさんに連れられて病院へ向かった。

異常なし。

自動車のおじさんも、おれの母親も安心していた。
ところが、この頃あたりからおれは見えないものが見えるようになる。



時が過ぎ、19歳の夏—――。
運転免許を取り、変速ギア付きタイヤ4個の愛車を手に入れたおれは、週末夜な夜な、友人の星守とナンパに明け暮れていた。おれもまだハゲる前でイケメンだったが、星守はさらにイケメン、例えるなら、ホアキン....じゃない兄のリヴァー・フェニックスに似た二枚目で女性からよくモテていた。

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ある土曜日、星守と2人で女性2人組をナンパし、オールナイトでカラオケしたあと女性たちと別れ、街から家に帰る途中、朝方5時頃だったこともあり星守フェニックスはすでに助手席で寝ている。おれも眠たいなと思いながらも、ウトウトしながら車を走らせていた。家まではあと10分程度。眠いが大丈夫だろう、あと少しだ。そして車はわりと長めの下り坂にさしかかった。

眠い・・・もう限界。

星守につられるかのように、ハンドルを握ったまま、おれは寝てしまった。
アクセルは踏みっぱなしだ。車は80kmほどで坂を下る。

朝方で対向車こそいないが、車道の右側(反対車線の向こう側)は崖のようになっている。左には歩道に沿って縁石が並ぶ。

(まだ早い。お前はやることがある・・・・・)

ドガッシャーーーーン!!!!!!!


瞬間、おれは目を覚ます。車のボンネットは空を向いてる!

「いってぇぁえええええ―――――っ!!!」

イケメン星守は助手席でこんな顔になっていた。

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シュルルルル~~~ガタッ!。。。。。。

4ドアセダン中古の愛車は、止まった。縁石に乗り上げ空を舞った愛車は見るも無残に、左前のタイヤハウスまわりは全壊。タイヤはパンクしたうえ、90度外を向いていた。ケンちゃんには言えないが、シートベルトなどしていなかったにも関わらず、おれの体のほうは全くもって・・

異常なし。

星守がシートベルトの固定部で腰を打った程度だった。
ところが、このあたりからあの自転車事故のあとに、見えていたものがさらに強く見えるようになる。


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ハゲが一瞬死んだ日と妙な体験 編  完


見えたもの編に続く(気がむいたら、だ!)



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