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ハゲ小説#6 心のままに 01

「こりゃヒドいな」

太陽系第3惑星、地球。ケナーシ星から初めて降り立った日、おれの第一声はこうだった。現地調査の意味もあり、マスター・テカと2人で来星、まずは状況把握と地球の女性にも興味津々で意気揚々だったのだが・・・。

闇を抱えた者が多く、その悲惨な光景を前に、思わずテカが呟いた。

「ハゲ議長、消去しますか?」

「いや、それはおれたちが闇に向かうことになる。確かに消去すれば事は早いが、宇宙戦争になる可能性があるだろう。この世界に特別な存在などいない。いつも通り、見守りながらポイントに光を与えるのみだ」


【消去】というのは、たとえば地球でいえば闇の原因となっているもの、お金や過度な物質を消し去ることだ。不安や恐怖を抱き、ストレスや病を抱える要因として、世界が複雑化しすぎたところに根本の原因がある。消去という行為自体は容易いのだが、それは等しく、「違う勢力」の意に反することになり、最悪は宇宙戦争に発展してしまう。光を与えたがゆえに、違うところに闇が作用する。この世界の光と闇のバランスは常に一定だ。どちらかが多いということは絶対にあり得ない。それは、ブラックホールを抜ければ光が在るのと同じ理屈。相手に闇を飛ばせば、回り回って自分に返ってくる。


「心を中心に動ける世界。自分の心が喜ぶ行為、それによりまわりの多くの者が喜ぶ世界。その基礎的な動作をするのに弊害となる闇が多すぎるな」

「我々の星とは真逆の思考に陥っているようですね。具体的にどうされますか?マスター・ハゲ議長・・・」

「この星の住人の気持ちをより鮮明に感じねば、本当の光は与えられない。よし!しばらくここに滞在してみよう!」

「肉体は重く苦しいですが、よろしいので?」

「ふっ。それは自分の事、つまりエゴであろう?おれたちは全体を考えるのみ、そこに代価も見返りもない」

「はっ!?もうしわけありません!!議長を心配するあまりつい・・・」

「一瞬のことだ。事後、ケナーシ星に戻ればいい笑い話しができるぞ!
おれたちは心が示すまま、光を広げるだけだ!!」


特別な存在などいない。そして世界は驚くほどシンプルだ。

まずは心に従おう。考えるのはそのあといくらでもできる。

そう「できないようにされている」だけ。

おれは喜びと同時に憐みながら、今日も光を届けるだろう。

だが、おれもお前もここに生まれて良かったな。

何もかもが、素晴らしい経験だ!!!


ハゲ小説#6 心のままに 01


愛ゆえに愛が愛に愛という光を・・。 あなたにいつも拈華微笑💖