ハゲ小説#7 ミカちゃんの憂鬱 02

地球発信である極まった愛。まだ進化を続ける究極の愛ともいうべき、地球だけで循環していたそれが、光の者たちの気づきにより、宇宙全体に廻りはじめた。それにより、ミカちゃんやラファちゃんたちは、全体へ究極の愛を浸食させるべく、忙しく飛び回っていた。それは地球から遠く離れた、おおぐま座やかじき座、りゅう座領域にも同じように。そして、ポーデの銀河にあるフッサリーノ星もその浸食は例外ではなかった。

「ちょっと闇が多いわね、どうする?ミカ?」

「う~ん、この毛むくじゃらの生物たち?知識は高いんだけど、感覚がとっても低いわ。地球人のほうがその点ではやりやすかったわね・・・。あそこは感覚磨いてくれるが多かったから。さすが愛の星ね。闇も多かったけど、ここフッサリーノほどじゃないものね」


フッサリーノ星人には、愛という認識や感情が殆どなく、ただただ知識だけを極めて、その科学により文明を進化させていた。作ることが得意であるがゆえの置き去りにされた愛。知識だけではなく想像力を豊かにし、気づきを増やして得た感覚を大切にしないと、闇に向かうことになってしまうというひとつの例だろう。


「マスター・ハゲちゃんがある程度は光を浸食させてるはずだけど・・。
彼は、どこ行っちゃったのかしら?ウリちゃん分かる?」

「えっ?私、ハゲには全然興味ないからわかんないわ!ごめんね~」

「んもうっ!希望の光が誤解されて、科学の希望だけに集中しちゃってるのかしら!?とりあえず、この毛むくじゃらの人たちに少しずつ愛のおすそわけからね♥」

ミカちゃんは、フッサリーノ星人に姿を変えると、最寄りのフッサリーノ星人を抱き寄せて、ハグして、ほっぺにチューした。フッサリーノ星人からしてみれば、今まで感じたことのないその感覚!凶暴かつ科学一辺倒であったその思考は、まるで初めて自分が他人に認められ、ご褒美にメロンを貰ったときのように、歓びと驚きで心が舞いあがっていったのだった。

「わたしとラファとウリ・・・。3人である程度までこの方法で浸食させたら、あとはここの個体に委ねるしかないわね。数が多すぎるわ」

「え~、ちょっとミカ!私、ハゲに興味ないけど、毛むくじゃらにも興味ないんだけど~~?フッサリーノ人に変身したくなぁい~!」

「ウ・・ウリちゃんっ!?それあんまり言ってると闇堕ちするわよ!!」

「はっ!?そ、そうね!気が進まないけど、やるしかないわね!」

こうして、フッサリーノ星は次第に愛と光に包まれていった。それはあたかも光と闇をまるごと包み込むような、究極の愛による浸食。地球から発信されたその特異な愛は、これまでの宇宙に新たな変化を与えるものなのかもしれない。光と闇を覆うかの如く、愛が全体に満ち溢れた時、この一元宇宙がどういった反応を起こすのかは、誰ひとりとして想像もできないだろう。

複雑になりすぎた闇により意図せずして生まれた究極の愛。愛の星、地球からすべてにそれは広がっていく。記憶の場を介して。

「ミカちゃーん!次こっちの星だってー!」

「え~、もう!行くけど、ちょっとアクエリアス飲ませて!!毛むくじゃらに変身してすっごいエネルギー使っちゃったから!」






ハゲ小説#7 ミカちゃんの憂鬱 02



愛ゆえに愛が愛に愛という光を・・。 あなたにいつも拈華微笑💖