隠れ家系カフェの主人

隠れ家系カフェを営む若い店主がいました。

この店主は、いつかこのカフェを有名にするぞと意気込んでいました。

しかし、2年ほど経営していながら、未だにリピーターは10人にも満たず、
有名店とはほど遠い状態でした。

ある日、そこそこ売れている喫茶店の主人である友人が、
店主にいいました。

「なぜ広告を出さないんだ?有名にしたいんじゃなかったのか?」

店主は言い返しました

「この店は口コミでお客さんを増やしたい。
 自分から広告を出すなんて、俺には情けなくってできない。」

店主がこういうと、呆れたように

「ではなぜ隠れ家なんだ?広告なくして、誰が君の店に来るっていうんだ?」

この返答に、店主は

「どうしても隠れ家じゃないとダメなんだ!口コミじゃないと嫌なんだ!」

と返しました。友人は見捨てたように、

「そうかい。じゃあやりたいようにやればいいんじゃないか」

と言い、帰りました。

それから1年後、隠れ家系カフェはつぶれ、
元店主はもう一人の友人と一緒にお酒の席に座っていました。

元店主は、友人に語ります。

「俺はカフェやる才能がなかったよ。」

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