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「気持ちワルイ」が「可愛い」に変わることを知った「E.T.」

我が家の両親は映画好きだった。昭和後期、金曜ロードショー、水曜洋画劇場、午後のロードショー、名作からB級ホラーまで、テレビは今よりはるかに映画を放送しくれていて、割と早いうちから映画好きになった。
同年代の子供たちがアイドルの歌を歌ってた頃、一生懸命覚えたのは『ブルース・ブラザーズ』に出てきた「ローハイド」。小学校のバス旅行で、リクエストがあれば音楽をかけてくれるというので、お願いしたのが『知りすぎた男』でドリス・デイが歌ってた『ケ・セラ・セラ』。ネットもない時代になんつー無理難題をリクエストしてんだ。係の子には見つからなかったと謝られた。そりゃそうだ。せめてアニソンとかをリクエストしておけば…。
空気の読めないめんどくさい子だった。
まあそんな子供時代、映画館で最初に見たのはアニメ映画「ドラえもん のび太の恐竜」と特撮映画「モスラ対ゴジラ」の二本立て。ただこれは、自分が行きたいと言って連れてって貰ったのか、親が勝手に決めたのか定かではない。なぜなら、そんなに「ドラえもん」にハマってた記憶がないから。「ドラえもん」は見ていたが、子供ながらいつも効率の悪い道具の使い方してるな〜という印象だった。嫌な見方をする子供だ。「ゴジラ」も特に好きだった印象はない。
だがしかし、「ドラえもん のび太の恐竜」はすごく良かったし、今でも名作だと思ってる。ピー助かわいかった…。
そして「モスラ対ゴジラ」これも名作。素晴らしい二本立て。
始まる前はややキモと思ってた双子の幼虫モスラたちだったが、話が進むにつれてすっかり感情移入し、小美人さんたち可愛い、愚かな人間め、ゴジラ恐ろしで、終盤には「モスラがんばれ!」になってた。まあ、モスラ幼虫に関して言えば、ご近所が養蚕してて、何匹かもらって飼ってたことあるので、そこまで抵抗なかったのもある。

で、次に映画館で観たのはアニメ映画「セロ弾きのゴーシュ」。これははっきりと自分で行きたくて行ったことを覚えてる。宮沢賢治が好きで、動物が好きだったからだ。(監督が高畑勲さんだったのはさっき知った!)

そしておそらく、その後観た実写映画が「E.T.」だった。
これは好きで行った訳ではなく、親に連れて行かれたのだとわかってる。
何故なら、映画を観る前にCMがさんざTVで流れていて、感動的な作品なんだろーなーとは思いつつも、E.T.の造形がグロくて気持ちワルイと思ってたのをハッキリと覚えているからだ。だってミイラみたいな肌質に、ブヨブヨの体、シワシワの長い首の上に乗っかったバランスの悪い大きな頭と、不自然にでかい青い目。細くて長い枯れ枝みたいな指が光ってる! 小学生には不気味だよ! これで子供ウケすると思ったスピルバーグすげーよ!
なので、連れて行かれる際も乗り気ではなかった。
だがしかし、そんな評価は、映画を見終わった時には「E.T.可愛い!」と180度変わってた。なんなら、E.T.がぬいぐるみに紛れて隠れてた序盤には、もう可愛いになってた。ちょろすぎである。スピルバーグ作品の中で、私的不動のNo. 1。当時は「E.T.」のような友達が欲しいと切に願ったし、今でも思ってる。
2019年にYouTubeで公開された「E.T. Came Home For Christmas」は胸熱だった。
https://www.youtube.com/watch?v=52roM4-5GWs&t=3s
そしてこの映画で、可愛さや愛嬌ってのは、見た目や造形じゃなくて、仕草や行動から生まれて、印象もそれによって180度変わるんだということを学んだ。

今でもそうだが、ハリウッドは一見可愛くない造形を、キャラクター性や動作で魅力的に見せるの上手いな〜と思ってる。
これが日本だったら、きっと「E.T.」は見た目から可愛いキャラにされてしまってただろう。だが、「E.T.」はあの造形だから愛おしいし、あの造形が絶対なのだ! 
#映画にまつわる思い出

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