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ごじゅうおん

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記事一覧

ちかつうろ

 あなたは地面にもぐっていく階段の一番上の段に立っています。階段はとても古く、砕けたコン…

蜂本みさ
4年前
9

たらちねの

 わたしには生まれた時から母がなかったので、近所の石材置き場にあるひとつの岩を母と定めて…

蜂本みさ
4年前
8

そらりうむ

 受付を済ませて入室すると、紫外線が肌にぶつかり、ぱちぱちと跳ね回る感覚に全身が襲われて…

蜂本みさ
4年前
5

せみころん

 どっちかいうと好きではなかった。きらいというのでもないけど、苦手。笑うと目がなくなって…

蜂本みさ
4年前
7

すくりぷと

 かちゃり、と子機のあがる音がしたので、相手の応答を待たずインターホンに名前を名乗った。…

蜂本みさ
4年前
5

しもばしら

 ひとりで住む家は寒い。冬になってようやく気づいた。あたりまえだが、自分のつけたところに…

蜂本みさ
4年前
13

さいりうむ

 すべての花の色が夕闇に沈みはじめる頃、庭を掃いていると、子どもが手を光らせて帰ってくる。通りすぎた後ろ姿に「あんた」と声をかけると拳をぎゅっと握って立ち止まるが、親指の付け根や指の股からこぼれる青白い光は隠せない。「またやったんか。やめ、言うてるやろ」子どもは振りむき、ふてくされたように腕を組んで、手首から先が見えないようにする。「一匹だけやもん」それが嘘であることは、半ズボンにまで飛んだしぶきが夜空の星のように点々と光っていることからもわかる。はー、とため息をわざと聞かせ

こおりおに

 お前にだけ教えたるわ。  先生にも看護師さんにも言うてへん。言うても入院なごなるだけや…

蜂本みさ
4年前
14

けんかうり

 生まれてこのかた殴り合いの喧嘩というものをしたことがない。ひとりっ子だったのできょうだ…

蜂本みさ
4年前
11

くまんばち

 最近、自分の夢がクマンバチの意識と繋がってもうたみたい。夜寝たら絶対おんなじ夢見る。暗…

蜂本みさ
4年前
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きりおとし

 ヤモリ飼いはじめてん。ヤモリいうか、厳密にはヤモリのしっぽ。本体がないから地味やけどな…

蜂本みさ
4年前
6

かくれがに

 好きじゃなくなったから別れてほしいと恋人が言う。理由は「蟹が死んだから」だそうだ。蟹?…

蜂本みさ
4年前
11

おるすばん

 正反対の夫婦って時々おるけど、おれんちのおとんとおかんがそう。おとんガリガリやし、おか…

蜂本みさ
4年前
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えかきうた

 「同窓会なんか行くもんちゃうで、なあ」って、あみちゃんがメニュー取りながら言うた。「ほんまにね、みんなしわっしわやもん」てわたしが言うたら、ルゴルサーティワンが「あんたもやろ!」てでっかい声でつっこんだから、あみちゃんとわたしで「しーっ」て指で注意した。ルゴルは隣の席の若い兄ちゃんがこっち見たのに気づいて、「ごめん」て下向いた。  三人とも適当にコーヒー頼んだらちょっとひと心地ついて、逆にさっきまでのひどさが身に染みてきた。「酒の勢いかなんか知らんけど、あほちゃう、この年で