モテる奴を見る

同じクラスに弘中アナウンサーのような女の子がいる。

今まで周りにそういう人がいなかったので、本当に存在するのか、と驚いた。あの子はすごい。勉強ができるし、わからないところを人に聞くのがうまい。そして見落とすところがない。授業中、何度も何度もすごいなあと思っている。
それは人間関係にも応用されている。要するに、めちゃくちゃカワイイ。いつもニコニコしていて、彼女と喋る男はみんな目がハートになっている。



同じクラスに白濱亜嵐のような男がいる。

今まで周りにそういう人がいなかったので、本当に存在するのか、と驚いた。あいつはすごい。ほぼネイティブ並みに英語を操り、話すのも書くのもレベルが高い。この人みたいになれたらなあ、と思う。
そしてカッコいいし優しい。
プレゼンで同じグループになったことがあった。ほぼ全部のスライドを作ってくれて、プレゼンが終わった後にハイタッチを求められた時はあまりの眩しさに狼狽した。



1限の教室に、そのふたりが一緒に入ってきたらどう思うか。しかも10分ほど遅れて、である。

背中に嫌な汗を感じた。昨晩を想像してしまい頭が痒くなった。動画でしか、漫画でしか、活字でしか見たことのない行為。時にロマンチックで時には悪であり汚い。


そして、その男が目の前の席に座った。

嫌だ!とてもじゃないけど嫌だ。これからグループでディスカッションをしなければならない。気持ち悪いと思ってしまった。彼にではなく、自分自身に、である。性描写のせいでねじまき鳥クロニクルを読むのをやめた人間の前に、彼は刺激が強すぎる。しかし格好いい。表情に余裕がある。彼の表情を見ただけでは昨晩何があったかなど全く想像がつかない。

他愛のない話をして、「そういう」雰囲気を作る。そして身体を触って、最終的に服を脱いでひとつになる。

ぐるぐるぐるぐる考えていた。どうしてそんなことができるのか、どうして自分にはできないのか。疑問だった。


先生から、問題に答えるよう指名された。

顔がかあっと熱くなり、急いで教科書を見た。焦っていると、彼が教えてくれた。

自分にはまだ早い、直感した。

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