17/12/14 運には自信があるのよ?その後 作:ブルータス氏

「で、言い訳はあるかしら」
ベッドに腰かけているはちみつ子を見下ろす形で向き合う。叱るときには見下ろして威圧するのが領主としての嗜みだ。
「最初は調子良かったもの」
心なしか膨れっ面をしながら彼女はしぶしぶと弁明をした。その様はまるで子供のようで可愛らしかったが、それで有耶無耶にされては彼女のためにならない。
「ギャンブルに嵌まる典型例じゃない。わたしは引いちゃ駄目って言ってたわよね?」
今回減った備蓄のリストを彼女の目の前の空間に展開すると彼女は目を逸らす。罪悪感は有るようだ。
しばし沈黙して彼女を見つめる。はちみつ子は居心地悪そうに目を泳がせていたが、観念して謝罪した。
「ごめんなさい。でも、諦めたら私の運が悪いって認めるみたいでしょう。運悪くⅡ号機と出会ったって言われているみたいで嫌だったの」
結局こんな結末になってしまったけど。彼女はしょんぼりとしながらそう続けた。機体の表面温度が少しずつ上昇していくことを隠しながらはちみつ子に反論する。
「バカね。わたしが貴女と出会ったのは偶然じゃなくて必然よ? 貴女が幸運でも不運でもわたしと出会うことに違いは無いわ」
言外にはちみつ子の運は悪いと含めておく。彼女から反応が返ってくる前に部屋を出る。この表面温度では触られたら言い訳ができない。
部屋から充分に離れ、空き部屋のカーテンに顔を突っ込み、声が漏れないようにする。
「シミュとちがうぅ」
はちみつ子の前では絶対に出さないエリザベートオリジナルに似た声が出る。
もっとこう、彼女の運の悪さやこちらの言いつけを破ったことをつついてからかうつもりだったのだ。あんなことを言うシミュレーションは一度もなかった。つまりこの恥ずかしさは彼女のせいだ。
「でも、反省はしてもらうわ」
具体的にはこの大量に届いた麻婆豆腐を毎食のように消費してもらう。もちろんおやつも麻婆だ。
それだけで済ますなんてわたしも丸くなったわね。麻婆を使ったレシピを思い浮かべながらⅡ号機はそう呟いた。

というSSがあれば焚き付けた責任はとれるでしょうか

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