18/01/05 鳥丸おねえさんの朝 作:鳥丸氏

朝、カーテンを超えて射し込む陽の光で目覚める。顔を洗って、歯を磨き、髪に櫛を通してそれなりに整え、ロビーに朝食を取りに行く。長いこと変わらない毎朝の行動だ。力レンダーに目をやり、今日も変わらず暇で退屈で時間を持て余しながら、それでも寝る時間になるのだろ...?...危ない。危なかった。うっかり「漏れ出す」ところだった。というのも、私には妙な能力があって、感情が高ぶると描いた絵が実体化し動き出してしまうのだ。持続時間や実体化するか否かはその絵に込めた思いで違うのだが、ともかく、そうだ。どうして忘れていたのだろう。今日はかわいいあの子が会いに来てくれる日ではないか!私は浮き足立って、らしくもなく踊り出したい気分になり…痛い。洗面台に腰をぶつけてしまった。これだからあの子にドジだとか言われてしまうのだ。あの子が来るのは午後。それまで、あの子に見せられるよう絵を完成させなければ!そう思った瞬間、蝶がひとひら実体化した。青紫のまるであの子のように静かで可隣な蝶だ。私はどれだけあの子のことが好きなのだろう?そう苦笑いしながら、蝶が窓から飛び去っていく姿を見届ける。あの子は今日はどんな話をしてくれるだろう、私は何を話したらいいだろう。ああもう、午後までが待ちきれない!

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