見出し画像

季節はめぐる(12.天地否)

地天泰の次に出てくるのは、天地否(てんちひ)。

天地否

地天泰とは反対に、天が上に、地が下にあるのが天地否です。正しい配置のようですが、上へ向かって昇ろうとする天の気と、下へ向かって降りようとする地の気が交わらず、陰陽の気が乖離してしまい通じ合わない、閉塞の状態を表します。
会社でいえば、上の人の意向が下の人たちに共有されておらず、また現場の人たちの考えや感覚なども上の人に伝わっていない状態。上の人も下の人も自分たちの立場からしか、ものを見ていないような状態でしょうか。
意思がうまく疎通せず、物事が動かず進展がない、目の前の扉が閉じられていて交流が行われないような状況です。
 
天地否は地天泰とは反対の意味を持ち、人にたとえれば、内側に弱さを抱えていて、外に対しては強がっているような人。一見問題がないように見えて、空元気を出している状態。または、権力などが年配の人に集中しているような状態などと見ることもできます。
 
天地否は、陽の中に陰が増えてくる形でもあります。夏至で生じた陰が増えてきて、下の三本が陰となった、時期的には初秋の頃。まだまだ暑い日が続くものの、朝晩の空気に季節の移り変わりを感じたり、風にふと秋を感じたりする季節。
 
地天泰と天地否は、二つで一つのことを表しているような、まるで陰陽図のような卦です。

地天泰は物事がスムーズにうまくいきやすい泰平の時、天地否はうまくいきにくい閉塞の時を表していますが、どちらも季節の移り変わりのように絶えず循環の中にあること、そして泰平の中に衰退の要素があり、閉塞感の中に次の明るさを拓くきっかけがあることも表しています。人は安泰の中にあると気が緩んだり変化を厭って停滞の道へ進んだりしてしまいがちな一方、色々なことがうまくいかない時に現状を打開すべく模索を続けたり目の前の小さなことを大切にして過ごしたりしているうちに新しい道が開けることもあるもの。物事は、地天泰と天地否のような状態を繰り返して進んで行くものなのかもしれません。
 
地天泰が動くのに適した状態で、そのことに感謝しつつ期を生かすことを表すなら、天地否はまるで目の前の扉が閉じられているように塞がりを感じる状態でも、そのような閉塞がずっと続くわけではないことを教えてくれます。
今だけではなく少し先を見て、または大きな視点を持って行動すること。変化の流れを意識することが易の一貫した教えです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?