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時に随い、自然の流れに随う(17.沢雷随)

雷地豫の次に出てくるのが、沢雷随(たくらいずい)。

沢雷随

沢雷随は「随(したが)う」ことがテーマの卦です。

随は、随行など「後についていく」意味、また随筆など「成り行きにまかせる」という意味を持つ言葉。
 
沢雷随は、秋の雷、または春が来る前の雷にたとえられます。
易では、春から夏にかけて盛んになるとされる雷。秋の雷は、勢い盛んな季節が過ぎてしまった状態。春になる前の雷は、まだ時期が来ておらず力を振るえない状態。
どちらも勢いが弱く、力を存分に発揮できないような状況です。そのような状況下では、自然や時の流れに随い、場合によっては休むことも大切とされます。
 
たとえれば、転職したばかりの時期。新しい環境に入ったばかりの時は、その会社のルールや人間関係を把握するなど、周囲を観察したり確認しながら仕事を進めていく段階です。実力があっても思う通りには力を発揮しにくい時期であり、早く結果を出そうと焦って自分のやり方で押し進めようとしてもよいことはありません。相手や周囲を尊重し、状況に随うことを意識するべき時期です。
 
時や状況に随うこと。
それは、結果をコントロールしようとしないこと、結果にこだわり過ぎないこと、とも言えそうです。
 
自分で結果を左右できないことは多々あります。というより自分以外のことは、コントロールできないことがほとんどでしょう。何かについて相手がどう受け取るかは強制できるものではないですし、新しいものが売れるかどうかなども、出してみなければ分からないもの。まったく同じものや企画でも時代やタイミングによって結果が違ってくることもあります。
 
時に随い、状況に随う。
それは、コントロールできないことを受け入れる心の余裕を持つことでもあるのだろうと思います。
 
自分の思い通りに行かせようと我を出すのではなく。
全体を意識し、波を見て、風を感じ、流れに乗るように。時には、自然の流れに随って休み、力を蓄えること。
 
そして動く際には、結果を得ることにこだわり過ぎず、目の前の喜びに随って、または相手に喜んでもらいたいという思いで動けたらいいなと思わせる、沢雷随の卦です。

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