2018年12月9日(日曜日) 日記9日目

 久しぶりにスマホのアラームを設定して寝ました。つい一年前までは当たり前の生活だったのに、人間はあっという間にものに頼らなくなる、その癖、パソコンとスマホ自体からは離れることができないのですから、どうしようもないですね。
 一応、以前に人と会う時の為に買っておいたコートを引っ張り出して、忘れ物が無いことを確認して家を出ました。久しぶりの東京ですから、とても楽しみでした。
 元から東京に住んでいた、東京を仕事場にしている人にしてみればあまりそういう感慨は起きないと思いますが、普段が田畑と森に囲まれておりますので、大きなコンクリートでできた建物が並ぶ大通り、その間に潜む路地、そして無数の室外機と、誰かが使っているであろう小さな飲食店や、入り口に階層ごとの事務所の並んだ看板が貼ってある小さな階段……などなど。何か形に残しておきたいようなオブジェクトばっかりです。
 久しぶりの東京はすっかり形を変えていて、一番驚いたのが、私がいつも見ていたある地方のアンテナショップがあった大きな建物が、すっかり取り壊されて更地になっていた事でしょうか……。あんな大きな建物でさえ、取り壊してしまえるのが不思議です。
 誰があの大きな建物をわざわざ取り壊しているのでしょうか……って、それは大きな工務店の仕事だと工事中の掲示板には書いてありますが、そういうことではなく、田舎にいれば大きな建物はテナント利用者がいなければ、しばらくの間そのままになっているのが当たり前だったりします。
 そうして誰も利用せず外壁がどんどん老朽化していく建物の事など意識されなくなった時に、どこからか工事の手が入ってあっという間に更地にされます。そうなってしまうとその土地に、どのような形の建物が建っていたかことすら忘れてしまっている。
 長い時間の循環によって、その土地は誰かの物だったということを意識するときでもありますが、これは商業利用されている大きな建物だった場合で、もしかしたら私が普段見ている風景の中には人の手が入っておらず、実はもう風化していくのを待つだけという家や建物もあるのかもしれません。
 そのような朽ちていく風景を意識はしますが、実際にはそれらを見に行ったり、管理者を調べるような手間をかけていない私には分からない部分でもあります。すべてが意識の中で朽ちていく世界です。
 あれ、何を書きたかったのでしょうか? そうです、東京に行ったという話です。

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