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おかえりマーヴェリック

映画の感想ってそのうち脳から消えちゃうから覚えているうちに書いておくことにするよ。
自分用だから読まなくても良いぜ。
後半だけ※ネタバレ有※つってあるネタバレある記事出すから、いやな人は途中で読むのやめてね。

※予備知識

今作は当然のように前作知識とちょっとだけ軍事知識を求めてくるよ。
なんで最低限の必要な知識を分かりやすい感じにまとめておくね。正しい知識が知りたきゃ自分で調べてねマジで。
自分"""オタク"""じゃないんで…。

【映画】
・「トップガン」
前作。「トップガン:マーヴェリック」は約40年越しだけどがっつり"トップガン2"として作られているのでこればっかりは見て貰うしかない。

【戦闘機】

・「F18戦闘機」
第4世代型戦闘機。通称"スーパーホーネット"。型落ちのセダンくらいの性能。

・「F14戦闘機」
第4世代型戦闘機。通称"トムキャット"。型落ちの軽の中古車くらいの性能。

・「第5世代型戦闘機」
最新鋭の戦闘機。新車のスポーツカーくらいの性能。

・「マッハ」
マッハ1=時速約1,225km/h
マッハ10は音速の10倍に相当する。

・「コールサイン」
パイロットのあだ名みたいなもん。映画から帰ったら自分のコールサインを考えて後日学校のみんなに発表しよう。


こんな感じっす。普通に記事内でも出すから先回りだよ。俺は常にお前の一手先を行く。

ようこそトップガンへ。

もう前作は見たな?もう見てる前提で話すから。わかったかバカ、好き。
知っての通り今作は40年越しのトップガンで、まあトムクルーズもすっかりおじさんになっちゃってたりしてるから「続編は無理だろうしどっちかというと再出発"リブート作品"になるんじゃない?」と思っていた。
すまねえトム、俺がナメてたよ。

冒頭でも言ったけど今作なんと驚くことにガッッッッツリ、トップガンの続編でトップガン2って感じの作品である。
普通40年も経ったら続編なんてキャスト的な問題で不可能of不可能なんだけど今作はその部分を、"作中でも40年経った"という設定にして乗り切ってしまった。
そもそも前作のトップガン自体が80年代、つまり公開時と同じ時代を舞台にしていたので違和感もない。下手に10年後とかにするより全然良いベストな時代設定だと思う。

で、今回の見どころ。
何といっても空中戦ですよ。
俺は結構空中戦のシーンが好きで『ステルス』とか、『ローグ・ワン』のスカリフ宙域戦とかかなり好きなんだけどこれはマジ体が動いたね。
ゲームで機体に合わせて体動くじゃん、あんな感じ。エスコンのハイパープレイ集みたいなモンよ。
俺としては余裕があれば4DXで見る事をお勧めします。

そんでもってストーリー。こっちもよくまとまってる。
前作が『"トップガン"という若き訓練生たちの物語』だったのに対し
今作は『"マーヴェリック"という伝説の男の物語』といった印象を受けた。
前作を見て欲しい理由の一つがコレ。
トップガン:マーヴェリックには前作キャラがもうワンサカ出てくるし、彼らとの友情や確執、それに向き合うマーヴェリックという男がストーリーの主軸に据えられている。
なので「見なくても空中戦で十分に楽しめるが、見ないともったいないよ?」と俺は思う。
多分100円くらいで借りれるので是非、前作『トップガン』を見てからフライトに臨んで欲しい。




※ネタバレ有※











※はじまると思った?(笑)※








お前は複座式を信じろ

で、トップガン:マーヴェリックの話をするけどよ。
もうずっっっっっとスゲェよこの映画。サンキュートッム。

まず冒頭からしてよけいな前置きとか無しにマーヴェリックがドーーンだもの。このドーーンは爆発のドーーンね。
と同時にこの冒頭は前フリとしてすごくよくできている。

高高度超音速レコードという"夢"を追いかけた時代が、ドローンに取って代わられるという1980年代から2000年代への移り変わりを、
「空からロマンが消える」今の時代を観客に見せている。
しかもダーク・スター(冒頭の速ェーヤツ)とそのチームを、まるでアポロ13の打ち上げみたいに手に汗握る展開で描くことで観客はいつのまにか「空にロマンを求める」側に立っちゃうんですよ。
冒頭のたった20分くらいで知らない奴ですらもうマーヴェリックが好きになる。

一方の候補生チームはちゃんとデコボコ。
でもみんなキャラもちゃんと立ってて脇役って感じがしない。
ただ今回は主役がマーヴェリックなのでそのデコボコチームがマーヴェリックという鬼(強い)コーチの中でまとまっていく感じになっていますけどね、これもうスポコン漫画やろ。
でも自然とみてる方も候補生を応援しちゃうんだよな。ルースターが加速しただけで授業参観のお父さんみたいになっちゃうよ。
ちなみに俺はハングマンが好きです。

そして前作キャラとの関係性も丸っと、余すところなく回収していったのも良かった。
ファンサービスで前作キャラ出すのって最近流行ってるけど俺は嫌いだねあんなの。物語上必要ないなら出すなよって。
その点ではトップガン:マーヴェリックにファンサービスは無かったと言える。
特にアイスマンはマーヴェリックに『育てる覚悟』を決めさせる重要な役だ。出演時間は短かったけど、迷える主人公を導くオビワン的立ち位置を見事にこなした。アレは本当に胸を打つ演技だ。
余談だがアイスマンを演じるヴァル・キルマー氏は咽頭がんを患っており撮影時は本当に声が出せなかったらしい。泣かせるね。
勿論ペニーとのラヴロマンスもトップガンの伝統以上に重要だった。
それまでマーヴェリックは『最悪俺が飛ぶ』=『俺が代わりに死ぬ』つもりでいたが、『みんなで飛んで生きて帰る』マインドになったのは帰る理由にベニーがいたからだろう。

あと空中戦。
凄かったよな。マジで。ゲームセンターあらしの戦闘機プラモ回みたいなテクニックがガンガン出る。これが前編ほぼノーCGノースタントだぞおい。
というか飛行機が飛んでるだけで楽しくなるような、そういう展開と見せ方の上手さが凄い。
候補生が鬼教官にバタバタ撃墜されて腕立て伏せ送りにされるシーンはコミカルで面白いし、マーヴェリックがテストコースをチギるシーンなんて武装使ってないのに「おいおいマジかよおいおいおいおいおい!!」って候補生みたいな気分になっちゃう。

そして外せないのが第5世代機VSF14。
トップガンと言えばトムキャットなんだけど、ファンサービス以上の、まさに満点の方法で空に復帰させてきやがった。トムキャット愛がすごい。
それも第5世代機に乗ってる方も雑魚じゃなくてエースパイロットっていうのが良い。ユニコーンのやたら強いジェガンパイロットみたいだね。
あの無名のパイロットマジで強くて、マーヴェリックみたいな回避した時の「ああ、向こうにもマーヴェリックみたいな奴いるんだ…」。っていう絶望感よ。しかも負けたけどキッチリ生還してるし。

そしてハングマン。
アイスマン枠に収まらない爪痕を残していくよね。
というかハングマン、ず――っと仲間を気にかけまくってるので、ルースターに突っかかる邪魔者役であるのに全く嫌いになれない。
最後のシーンも「コイツ仲間の事助けに行きたくてウズウズしてたんだろうな」っていう、なんかもうお前ずっとイイ奴じゃねえか。

みんなパイロットになりたかったあの頃

トップガン:マーヴェリックは総評すると「ロマンにあふれる映画」だったと思う。
凸凹チームが最後は作戦を成功させるのも、実質不可能なテストコースを目標-11秒で飛ぶのも、最後の爆弾が目視なのも全部ひっくるめてこれは"途方もない空のロマンの物語"だったと思う。

兵器が近代化するほど戦場からはロマンが失われていく。
無敵の英雄は存在せず、あらゆる戦闘はデータ化され解析されてアーカイブされる。情報戦の世界で人の意思には何の戦術的優位性もなく、自立兵器が敵味方を識別して殺戮は自動化されていく。
多分トップガン:マーヴェリックを撮れる最後の年が2020年だったのかもしれない。2030年では有人戦闘機は"ウソっぽく"なっているかもしれない訳だから。
36年も経って今!?と思ったけど今を逃すと一生撮れないかもしれなら、
そりゃあトム・クルーズが製作総指揮しちゃうわ。

そういう意味でトップガンは失われていくロマンの、現実への最後の抵抗に見えた。

F-14、通称"トムキャット"は2006年時点で全機が退役している。もはや博物館以外でその雄姿を拝むことは無い。
そんなトムキャットを最後にもう一度空に戻したトップガン:マーヴェリックは本当に愛にあふれる映画だった。
俺らの世代はトップガンをスクリーンで見れなかったけど、あの頃世界が熱狂した空を追体験するきっと最後の機会なのでぜひみんなも見に行ってみて欲しいな。

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