2024/04/26



はてブでたまたま上のおすすめ図書を目にしてしまったので、カネゴンも遠い昔のカネゴンに向けて、文芸コンプレックスや哲学コンプレックスや教養コンプレックスや編集工学云々に毒されていない最小限のデトックス済みおすすめ図書リストをこしらえてみました【顔の分厚いおれカネゴン】

他の人が推しているような当たり前の名著名作の類を今さらカネゴンが紹介したところで、パンツの上からまたパンツを穿くようなものなので、サナギ時代のカネゴンの血が騒ぐかどうかだけを基準に選定いたしました【妖刀村正おれカネゴン】

注意: あくまで遠い過去に脱線転覆して谷底で深々と逆さに突き刺さって足をバタバタさせているサナギ時代のカネゴンに向けて、時空を超えて送り込む緊急救援物資なので、どうか皆さまはくれぐれも誤って拾い食いなさらぬようご注意くださいまし【棒チョコぎっしりおれカネゴン】

当時出版されてない本とかも当然入ってきますが、やむを得ず可能な限り手はつくしました【医療訴訟とおれカネゴン】

なお漫画については、まんが日本の歴史やまんが世界の歴史的なものも含めて読んでて当たり前という前提なので特に紹介しません【漫画でわかるおれカネゴン】

世界のSF文学

たいていのSFはアイデアをフェッチできれば十分なので、SFを片っ端からコンプリートしようなどという腹減らしなことをせずに済みます

映画秘宝でレビューが面白そうだった映画を実際に見てずっこけた経験のある方ならおわかりのように、本物よりレビューが面白いなどということは普通にあります

特にボルヘスの「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」は、実際の短編集よりもここで紹介されているあらすじの方がよっぽど面白かったりします

チューリングを読む

高校生でも読めるように著者が冒頭でチューリングの問題意識と当時の数学の状況をみっちりと解説してから怒涛の本編に突入する一冊
チューリングの論文の誤植やミスも訂正され、当時の超絶読みづらい記法も現代的に改められているので、論文をじかに読むより全然よかったりします

読めばコンピュータサイエンス魂にたちまち引火して爆発飛散炎上すること疑いなし【火付盗賊おれカネゴン】
オラクルマシンのところまで来たらさあ大変、もう引き返せなくなります

なお、先に「無限論の教室」を読んでおくとぐっと読みやすくなること請け合いです

だれが原子をみたか

そんじょそこらの哲学めいた本や哲学史の本をひとつ残らず無用にする便利な一冊

目に見えない原子の存在をどうやって誰もが納得できる形で裏付けるかという、古代から連綿と続く手に汗握る死闘が繰り広げられ、本物の物理学と哲学をまっとうな形でルンルン楽しめます【山岡士郎とおれカネゴン】

なお今や原子が結合する様子まで撮影されるようになりましたが、彼らの尊い犠牲があってこそです

モノつくり解体新書

工学魂にしれっと点火してテルミット反応並みの高温まで高めるシリーズ

トランペットの作り方から青函トンネルまで、この時代までの大小さまざまなものづくりを堪能できます

なお、精密な金文入りの特大青銅器や曜変天目茶碗の作り方は惜しくも紹介されていません

定本 Cプログラマのためのアルゴリズムとデータ構造

これはプログラミングのためというよりも、文章術を学ぶのにふさわしい、極上の文章に満ち満ちた一冊

読み始めてみると、あらゆる文章が徹底的に消化されつくしていて、一瞬たりとも前のページを見返さず必要がないので一切の摩擦が発生せず、まるで巨大な鏡面を超高速で滑走しているようなフライング気分を満喫できます

理工系書籍にありがちな「同じことを二度書きたくない」病と一切無縁であり、スムーズに読み進められるよう何度でも関連事項を辛抱強くおさらいしながら説明するという手法が大成功を収めています

カネゴンはこの方の文章をずっと手本としているのですが、書いても書いてもちいとも近づけません【ミラージュ追うのはおれカネゴン】

土 地球最後のナゾ~100億人を養う土壌を求めて~

何と今のところKindle Unlimitedで無料で読めるんですよ、奥さん

地学や鉱物学は普段あまり日の当たらないところに置かれがちなのだけど【うっすら無礼なおれカネゴン】、本書は何から何まで驚きの連続

以下のゆっくり資源解説と合わせると倍楽しめます

小数と対数の発見

こちらもKindle Unlimitedで無料

山本義隆の文章は晦渋で読むのが大変なのだけど【弱音を吐くのはおれカネゴン】、この一冊だけでも遠い昔のカネゴンに読んで欲しい

とにかくシモン・ステヴィンの業績がすごすぎ
ルネッサンスの真打ちと言ってよいくらいなのに、なぜにここまで陽が当たらないのか
一刻も早く高校数学と科学の教科書でステヴィンの肖像画と業績をババーンと紹介しないと祟りがあります【呪いを放つおれカネゴン】

細胞の中の分子生物学 最新・生命科学入門


カネゴンが幼虫の頃にもブルーバックスの分子生物学の本が家のどこかに転がっていて、セントラルドグマなどの言葉を覚えたりしたのだけど、最新の分子生物学はもう比較にならないぐらい驚天動地のどえらいことになっていることを遠い昔のカネゴンに届けたい

合わせてこちらのゆっくり進化生物学動画もどうぞ

古代マヤ・アステカ不可思議大全

学校で学ぶ世界史や地理の解像度がいかに低いかを思い知るには絶好の、歴史と異世界を垣間見る一冊
単にコルテスを最も凶悪な侵略者の親玉と見るのは早計で、コルテスよりはるかにひどい神父やら軍人やらもざくざく登場します

血生臭い歴史や儀式や遺物、壮大かと思いきやひたすら展開がグダグダの神話などの数々を目にして、我々の文化とあまりにかけ離れているので滅されてもOKなどと考えるのは早とちりで、三体人が隅から隅まで観測すれば、当時のマヤアステカも当時のスペイン人も現代人も何の違いもございません


考古学魂が灼熱の炎に包まれ、ピラミッドを見るとついふらふらと掘り返したくなってしまいます【盗掘専門おれカネゴン】

甲骨文字の読み方

甲骨文字が「ちゃんと読める」文字だと体験できる、言語学魂を危険なまでに過熱する一冊
白川静とかよりこっちの方が断然おすすめ

鳥人間様の中国史動画も合わせて視聴すれば楽しさ倍増

なお秦の始皇帝が文字を統一するまでは、地域によって文字はまるっきりバラバラでしたのでご用心

「集合と位相」をなぜ学ぶのか

不完全性定理やら公理的集合論がいったいどこからどうやって生えてきたのかをつぶさに知りたい、そんな欲張りなカネゴンにぴったりの一冊

元はといえば数学門外漢だったフーリエの解析方法を数学村がよってたかって理論が薄弱だのなんだのと小突き回しているうちに、実は当時の積分の概念がふわっとしすぎてて危ういことがだんだん判明し、何とかしないとまずいと村の衆が一同顔面蒼白になって駆けずり回っているうちにだんだん集合論ができてきたということらしいとカネゴン理解しています

フーリエ変換の本は世に山ほどあるのに、フーリエが熱伝導を研究していてどうしてフーリエ変換ができたのかという話をこれまで誰もカネゴンに説明してくれなかったのですが、その恨みを晴らしてくれました【うらみはらさでおれカネゴン】

以下の本も合わせて読むと楽しいでしょう
雰囲気重視でも理論を示して終わりでもなく、高次元空間を一歩一歩念入りに手で触れながらたどっていて、ほとんど冬山単独登山のような心持ちで高次元空間にガチの殴り込みをかけている一冊

駅をデザインする

カネゴンはデザインがからっきしできないくせにデザインが気になってしまうタイプなのですが、 こわもての建築家のように一切を難解な言説で煙に巻くこともなく、かといって馬に食わせるほど溢れかえっているプログラミング入門のようなそこらのハウツー本にもならず、デザインという仕事がいかに飛び道具と無縁で地道かつ重要かということをこんこんとカネゴンに解き明かしてくれた一冊

デザインでもプログラミングでも楽器演奏でも格闘技でも英会話でも何でもそうなのだけど、門外漢は「きっとこんなのはちょっとしたコツさえ教わればちょちょいのちょいでできるよね」という錯覚を抱きがちだったりします【抱いて寝るのはおれカネゴン】が、そういうカネゴンの錯覚をまたひとつ丁寧に正していただき感謝にたえません

興が乗ったらまた書きます【徹底適当おれカネゴン】


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