2020/02/08

カネゴンはこの年になって初めてWha-ha-haを立て続けに聴いてのけぞってしまいました【4周遅れのおれカネゴン】



恥ずかしながら、この年になって初めて坂田明のWha-ha-haを立て続けに聴いてのけぞった【周回遅れのおれカネゴン】

一聴して驚くのは何もかもが「端正」なこと
めちゃくちゃやっているようでいて、すべてが水も滴るようなイケメンぶり

しかも可愛げすらある
福山雅治がラジオで下ネタを話しても下品にならないみたいな、キワキワに絶妙な可愛げ【可愛さ余るはおれカネゴン】
お子様赤ちゃん連れでも安心してご覧いただける仕上がり

強いてケチをつけるなら、アルバムジャケットのデザインを手抜きせず、うんと金をかけるべきだったというぐらいか【後出しじゃんけんおれカネゴン】

当時のパンク・オルタナ業界は、めちゃくちゃやって本当にめちゃくちゃになる以外に生きる道がなかったというか、どちらのバンドの殺気がよりほど走っているかを競い合った挙げ句、野試合で相打ちで果てるしかなかった風情があったけど、そことはまったく居住する空間が違う


Wha-ha-haのは、ライブ盤すら端正
床がヌルヌルしてたりコーラの瓶に蹴躓いたり客同士が殴り合ったりしない感じ

それでいてWha-ha-haはジャズ・フュージョンにまったく毒されていない
特に「ビッチェズ・ブリュー」に毒されていそうで毒されてないのは評価したい
このアルバムを通過しているのは明らかだけど、額に皺寄せて滅々とした陰キャな空気を一切持ち込まなかったのは特筆に値する


演奏技術は高いけど意識は高くない人が集まって、先を争って手癖を順繰りに披露するだけのアルバムは、演奏者の身体に長年降り積もった倦怠感・煮詰まり感・閉塞感・お仕事感・早く終わらせて飲みに行きたい感がじわじわ伝わってきて、よほどのものでないともう一度聞く気になれないのだけど、Wha-ha-haはもう一度聴きたくなる何かがある


もうひとつ、いたいけな少女たちを大量に不思議少女地獄に引きずり込んで黄泉の国に沈めた大量破壊兵器「ラジオのように」(ブリジット・フォンテーヌ)のコンタミネーションを奇跡的に免れていることにも喝采したい

この罪深いアルバムは自覚症状が出る前であっても強い感染力を有するので、仮にかすかにでも接触があればWha-ha-haは生まれる前から死んでしまったかもしれない【コロナウイルスおれカネゴン】

Wha-ha-haはそれでいて、インプロビゼーションで何かおいしい演奏が出てくるのではないかと期待する助平心もない【むっつりスケベのおれカネゴン】
すべてを意識的にきっちり構成・アレンジし、しかも完成させている
オルタナバンドにありがちな一発ギャグ的な投げやりさとは無縁

トータルな完成度においてWha-ha-haに一番近いのは、意外にもYMO「増殖」だったりするかもしれない
ライブでMC-8を使ったところとか、育ちの良さも似ている

ところでWha-ha-haの系統・人脈は、YMOのそれとは絶妙につながっていない
ニュートンとライプニッツが同時に微積分に到達したみたいに、それぞれの派閥で機が熟した時期がたまたま同じだったのだと思うことにする
なお「シンクロニシティ」という言葉を使うとカネゴンから罰せられます

なおカネゴンは神谷重徳と神尾明朗をごっちゃにしていたことにたった今気づきました【逆転有罪おれカネゴン】

坂田明はトークの面白さで有名だけど、実は文章も山下洋輔に匹敵するぐらいめちゃくちゃうまい
坂田明によるPIL「Flowers of Romance」を記憶から再現:

基本的に打楽器と声だけでできているアルバム。打楽器の音をいろいろ工夫して処理しているが、日本人には馴染みの深い「和音を使わない」​演奏形態。音程なんかどーでもいい、という次元で共鳴した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?