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いつもより早く家を出た朝

駅に向かう自転車を走らせる

頰には痛いほどの寒風が突き刺さって

まだ少し眠いわたしを起こしてくれる

空はまだ完全に明けたわけではなくて

すこし夜を残した色

早起きして外に出てみるのも

案外悪くはないかもしれない

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今流行りのアイドルの曲を聴く

今流行りのロックバンドの曲を聴く

最近の音楽っていうのは生々しいものがない

生々しさこそが共感を生むと思うが

生々しすぎるのも批判を呼ぶのだろうか

そんな中である曲のある一部分に共感を覚えた

「あんたはわたしの何を知る」

その曲はショッキングで

タイトルはどうも共感できないが

歌詞を眺めると共感を覚える

もともとそういう曲を好むのは知っていたけれど

ここまできたか、という感じだ

センターで踊る少女は

時に微笑み 時に激しく 時に強く

その少女が歌うのが先ほどの歌詞なのだが

デビュー時の初々しさと強さ

2ndシングルのさわやかさ

3rdシングルの切なさ

そんな面々からは想像できぬような

激しく声を荒げて叫ぶ

「あんたはわたしの何を知る」

確かにそうだ

誰がわたしのことを知るというのだ

でもこの間テレビで踊っていた少女は

ある種病みに取り憑かれたようだった

何が少女を苦しめているのか

何が少女をそうさせているのか

彼女から笑顔は消えてしまった

彼女はこの仕事を

「自分を変えたくて」

という経緯で始めたが

今の彼女は変わるどころか

変わり果ててしまっている

だれか彼女を縛りから開放してやってほしい

だれか彼女を救ってほしい





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