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きじ車の絵付け体験@みやま市

地元福岡の郷土玩具に会いたくて、この1か月間、探しに探して、ようやくたどり着いた場所がある。

みやま柳川ICを下り車で10分。山道を少し上ったところに1件のお店、自然食ダイニング「TAKeyA」というお店だ。

ここには多くの登山客や参拝客が訪れ、山菜料理やぜんざいなどを食べて行く。この場所でなんと、「きじ車」の絵付け体験ができるのだ。

▼右がオスで左がオス

ーきじ車の由来ー
大同元年(806)伝教大師が清水山に登られる際、一羽のきじが前方に降り立って先導したという、清水寺の縁起物として製作されたもの。開運、縁結び、家庭円満のお守りとして、全国的に知られるようなった。

用意されたのは、絵付け前のきじ車。これに水性絵具と墨汁を使い、お手本を見ながら色を入れていく。

■絵付け体験

▼絵付けのようす(絵付けの目安になる線の有無は選べる)

「アレンジしようか。それとも基本通りに塗っていこうか」

そんなことを話しながら、世界でたった一つの郷土玩具をつくるため、思い思いに絵付けをスタートした。

「正解なんてない」と豪快に塗っていく兄と

黙々と塗りすすめる夫。

そして線からはみ出さないようにと、慎重に塗る私。

三者三様の塗り方で、気づけば夢中になっていた。次第に会話も少なくなっていた。

■和子さんときじ車

そのようすを、武田 和子さん(79)は、嬉しそうに見守ってくれた。和子さんは生まれてからずっと、みやま市に住んでいる。子どもの頃は、清水寺を遊び場として遊んでいたそうだ。

▼TAKeyAから徒歩3分の場所にある清水寺

高校卒業後、家業に携わり、それから60年以上きじ車の絵付けをしている。店内外にあるすべてのきじ車は、和子さんの手によって描かれたものだ。

きじ車は小さいものは2㎝、大きいものだと1m以上ある。小さくなればなるほど絵付けがむずかしく、一番小さいものは「もう作れないと思う」と話してくれた。

数年前まで何名いた、きじ車の作り手は高齢化や後継者不足になり、現在はTAKeyAが唯一のきじ車の製造販売元となっている。

▼店の外に飾っているキジ車

小さいものはアカマツ、大きいものはクスやケヤキの木をつかう。木は切った後1年以上寝かせて乾燥させ、のこぎりやミノを使って成型していく

「地元では、一家に一つずつ、きじ車が飾られている。それが地元では当たり前すぎて、こうして絵付けして喜んでくれると、私もうれしい」

和子さんは嬉しそうに話してくれた。その気持ちが伝わるくらい、何度もようすを見に来てくれ、私たちが絵付けする様子や、きじ車をたくさん写真に撮ってくれていた。

▼和子さんと一緒に撮った写真

■オリジナルのきじ車

絵付け開始から1時間半。ついにきじ車が完成した。普通に見せ合うのは面白くない。そう思った私たちは、好きな場所で写真を撮って、それを見せ合うことにした。

▼誠作(錦鯉をイメージして作ったきじ車)

和子さんがこのきじ車を見た瞬間、笑顔が消え「何か違う!何か違う!」と言っていた。

▼徳之新作(秋の空)

最後に描いた羽を「描かなければよかった…」と後悔していた。しかし写真がズバ抜けていい。

▼春奈作(新参者ですが、よろしくお願いします)

基本に忠実な私の作品は、和子さんのお気に入り。「このままお店に並られるね!」と嬉しそうだった。

■きじ車の絵付けを終え

絵付け体験をして、郷土玩具は、作り手の個性が色濃くでていることを実感した。絵の具の塗り方や、線のゆがみが少し変わるだけで、まったく別の作品になる。

そう思うと、郷土玩具はその土地や文化を表現しているだけでなく、作り手の魂も宿っているような気がした。

「次はオスのきじ車を作りにきてね」

帰り際、和子さんがそう言った。お客さんと話すのが大好きで、お店を365日開けている和子さん。明るく元気な和子さんとの約束を守りに、またお店を訪ねたい。

▼きじ車に絵付けをしているようす

■問い合わせ先

▼竹うどん定食(すべて竹の器。清水山で採れた山菜うどんが絶品でした)

住所:みやま市瀬高町本吉954
電話:0944-62-5028
営業時間:11時~15時(閉店時間は多少前後する)
※絵付け体験は事前連絡をおすすめします。

わぁぁーーーー!!が、、、頑張ります!!