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ネットにない姫だるま@大分県竹田市

「姫だるま」に会いに、大分県竹田市を訪れた。

竹田市とは、滝廉太郎が「荒城の月」の構想を練った岡城でも知られている城下町で有名な場所だ。歴史ある町の一角に、86年続く老舗店「千石や」という店がある。

▼「千石や」の外観。窓一面に姫だるまが飾られている。

千石やでは食事処と竹田銘菓「はら太」を製造販売、姫だるまの製作販売を行っている。それらを50年ちかく夫婦で切り盛りし、そしてたった一人で100年以上つづく姫だるま伝統を守っているのが、二代目吉川公平さん(78)だ。

吉川さんの仕事は、朝6時に「はら太」づくりから始まる。日中はお店を開け、そしてお店が落ち着いたら、ようやく姫だるまづくりに取り掛かる。しかし作業は思い通りに進まない。

▼姫だるまの木型

50年以上使っている木型。木が腐らないように塗料を塗っている。そのまま使用すると木型がボロボロになって使えなくなる(写真奥)

紙と和紙でつくられている姫だるまを、天日干しをして乾燥させる型取り。顔の絵付けは、姫だるまつくりの中で最も重要な工程で、集中したときにしか行わない。そのため早朝5時から取りかかる日もあるそうだ。

姫だるまづくりは、合間を縫ってできる作業ばかりではないのだ。

▼顔に絵付けする前の姫だるま

木型に新聞紙を重ねて貼り合わせ、さらにその上から和紙を貼っていく。新聞の貼り合わせの違いが、姫だるま一つひとつの個性をつくっている。

そんな理由から、本来、1週間程度で完成される姫だるまだが、吉川さんの姫だるまは数週間掛かることもある。

インターネットで「姫だるま 竹田市」と検索しても、吉川さんの姫だるまに関する情報は、ほとんど掲載されていない。そのため多くの人には知られていない。そのことを吉川さんに伝えると、「数多くつくれないから、お客様を待たせず、姫だるまを届けるには、これくらいがちょうどよい」と言った。

100年以上愛されて続けている理由。それは個性豊かな姫だるまと、目の前のお客様と全力で向き合う、サービス精神旺盛な吉川さんの対応を通して、地域と人が強く深くつながっているからだ。

工房を訪ねて以降、吉川さんの姫だるまが、また一段と可愛く見えてきた。

あぁ。今年の夏がすでに待ち遠しい。

わぁぁーーーー!!が、、、頑張ります!!