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呟怖〜競売〜

#競売
#怪談

『本当は怖い競売』

或る屋敷が
競売にかけられた。

家主が殺され犯人は
捕まったが遺族は居らず、
土地家屋管理者が
居なくなり
国所有となった為。

偶々或る資産家が
別荘用に購入。

閑静な高台にあり
海を眼下に一望できる
ロケーションであり
事故物件故に低価格で、
正に掘り出し物だったから。

元の所有者は彼の天敵で、
その家屋を購入する事は
溜飲を下げるのに一役買った。

家族は全員事故物件である事を
嫌がり購入取りやめを説得するも
其を固辞し独断購入を貫き通した。

夏時期家族は別荘へやってきた。

購入時あれだけ
難色を示していた
家族も最高のロケーションに
心奪われ事故物件である事を
忘れ夏を満喫していた。

だ数日後悲劇はいきなり起きた。

長男が崖から海へ飛込みをした際
打ち寄せる波に隠れていた岩肌が
いきなり現れそのまま岩に激突、
落下時の衝撃で上半身と下半身が
その場で切断され即死となった。

だが遺体は波に拐われ隠され、
家族は行方不明となった長男を
探す事となった。

妻が長男死亡現場へ到着、
偶々干潮で死体が現れ、
其を発見したのである。

余りの悲惨な光景に妻は
その場で意識を失いそのまま
バランスを崩し長男と同じ所へ
落下し滑落死したのである。

そんな事等知るはずも無い
家主は尚も長男を探し続けた。

然し彼も又、何かに導かれる様に
長男と妻の眠る場所へ辿り着き、
二つの死体を発見するに至る。

腰を抜かしその場にへたり込むも
何とかせねばと立ち上がろうとした
その刹那誰かに後ろから押された形で
彼も又、妻と子供が眠る場所で永遠の
眠りにつく事となったのである。

聞けばここは源平合戦の古戦場跡で
逃げ場を失った平家が崖から身を投げ
恨みの言葉を吐きながら海の藻屑へと
消えていった場所だったのだそうである。

そして図らずも土地の元の所有者は
平家の血筋で末裔にあたる。

更に悲劇は続き彼の
土地を購入した資産家は
何と源氏の末裔だったと言う。

二つの家が産んだ悲劇が
その悲劇を現代においても
繰り返したとでも言うのだろうか?

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