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日記hibi/ 2019/2/4〜2/10

2019年2月4日(月)
 緩やかに起き上がって、昨日はなぜあんなに一人で楽しんでしまったのだろうか、体がきつくて朝から眠い。辛いなと思いながら起き、出かける準備をしていると、旅行先から今日帰ってくるはずの相方から連絡があり、たいへん体調が優れないので、病院に行ってから帰宅する、ということだった。出かける前から不調のようだったので心配していたのだけれどなにか悪化してしまったようで、不安不安、ととりあえず布団を敷いておいてから家を出た。

 八木書店に納品があったので、30冊荷台に積んで、原付で納品してから事務所に向かっていると「インフルだったので薬飲んで寝る」という連絡があり、一大事! と思うには思ったが、こういう、早く帰りたいときに限ってやるべきものは多くあり、月初で、事務所の資料を使って数字の集計やらなにやら、先週末に、もう来週やればいいやと置いてきたしごとが大量に溜まっていて、それに押しつぶされるようにギリギリの状況で、先週の自分を恨みながらせっせと進める。そうしているとなんだかぼくの方まで調子が悪くなって来てしまって、すわインフルか! と思うのだけれど、たぶんこれは昨日一人でたのしくすごして睡眠が不足しているせいだと思われ、寝ないとすぐに目が痛くなって、開けるのもつらく、それで何も出来なくなる。しかし、今日はもう仕方がないとして、明日は家に一日いれるような形が一番いいのではないか、だとすればいま事務所でできるしごとはひたすら進めておかなければならないのではないか、という思いがよぎっていたため、やれるだけのことをうんうんうなりながらこなし、よし、というところまでやりきり脱出。帰りがけに食事やら、水分やら、ゼリーやらを買い込んで帰ると、相方は家の前の自販機で買った、というアクエリアスを飲みながら寝ていた。

 ひとまず買ってきた食事をあたため、食べ、アクエリアスを飲み、一段落したのちの話し合いの末、そもそもこれ、ぼくは別の部屋で寝たほうがいいんじゃないか、ふたりともかかったら本当に救いようがない感じになってしまうぞ、という方向で両者の意見は一致した。うちの間取りは寝るのに使っている和室と台所、あと小さな部屋が一つなのだけれど、その小さな部屋はぼくの本ですべてが、そう、すべてが埋まっていて、一人寝れる場所を作れたとしても寝返りなどで本が崩れた場合、インフルとはまた別の要素で生死に関わる、ということが明白であったので、台所の床が選ばれた。相方はつらそうに、早めに寝てしまって、ぼくはぼくで目の痛みがもう耐え難かったので、布団に入ると、その「台所で寝ている」という非日常感を楽しむことなく、数秒で眠りについた。

2019年2月5日(火)
 朝、よく寝ると元気だ。昨日は体調が不安すぎたので、早く、といっても1時くらいに寝ることにしてすやすやと寝たところ、大変よい目覚めを得た。7時間くらい寝るといいらしい。それで、起きたので隣室を除くと相方はちゃんと寝ていた、のかと思いきや夜は寝苦しかったようで、深夜にアクエリアスを取りに台所まで来たがぼくはすやすやと寝ていたとのことで、何のための隣室か、ただ移動の邪魔をしただけでは、と思って間が抜けた話で、しかしよく眠れたことは間違いない。それで、起きている時間で汚名を返上するぞ、と家で飲みものなどを準備す。看病もあり今日は家でしごとをすすめて、移動の時間がないのでいつもよりかなり早く作業に取り掛かると、これがなかなかどんどんと進み、朝、すばらしい朝。

 思いのほか早く進んだので、通勤時間がない代わりにすこし休憩してなにか読もう、とメルマガに移行した「読書日記」を開いた。と、日記の中で「Typography」が読まれて、新潮文庫の文字組みやポイント数に触れられており、おや、これはおや、と勤勉なしごとをこなした日に組んだ店で発行する予定の冊子のInDesignを開きポイントを見比べてみるといま組んでいる冊子はかなり文字が小さいようであった。昨日ゲラを打ち出したときにやはり小さいと思ったし、家に帰っていろんな文庫と見比べてみてやはり小さいと思ったし、ここでポイント、明確なサイズとして「Typography」を読んだという「読書日記」の記述を通して比較されて、それでもやはり小さいことがわかり、うーん、うーんと唸った挙げ句、一度組み直した冊子を放棄して、ポイント数を上げることにした。基本のレイアウトグリッドを調整して11Qで、12Qで、と大きくしながらざっくり試してみるとどうしてもページ数が足りなくなり、それでもう4ページ増やすことにした。そもそも、文字と奥付だけの構成というのが、最初の冊子として無理があるというか、かなり不親切な構造であることも気になっていたので、それでまぁ目次や店の説明、なんなら広告をしっかり入れられるほうが良いだろうと制作費については目をつぶることにして組み直していった。と、当たり前だが前に組んだフォントやタイトルとの行間などが全部崩れるため調整、調整、その調整の最中に、カッコ内のQ数を下げた部分なども設定が消えてしまうので直したり、などこなしていると結構時間が経ってしまって、朝のはかどりはしっかりと食いつぶされていった。

 昼にうどんを作って食べ、それからちょうど両国、蔵前にいるのであればと小一時間中座して、相方にひと声かけて小伝馬町と清澄白河に納品に行くことにした。寒い、相も変わらず寒いがいま風邪を引くわけには行かないためできるだけの防寒を施し、二箇所の納品を終え、夕飯のための買い出しも済ませて帰宅することに成功し、そして定番のコーヒーを入れる。買ってきた芋けんぴの砂糖がなんだかとても身にしみる。疲労と砂糖の相性は素晴らしいものがあり、回復。その休憩の時間で『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史』を読み終える。文庫による追加部分は単行本発売から2016年の文庫化までのベイスターズを補完していて、しかしながらこの2016年の段階ですら、いま、2019年から読み返すと切ない気持ちにさせられる。梶谷のことを、高城のことを思う。しかしいまのベイスターズを見ると、本当に球団史のなかでももっともいい時期、期待と希望がある時期に位置しているような気もしている。広島みたいになれるかは、今年が勝負だろうけれども。とかなんだかいいつつ実際は、中日以外はみんな負けしまえ、と思っている。

 シチュー、ぼくの数少ない風邪の人にも食べてもらえそうなレシピシリーズからシチューが選択され、ぐつぐつ煮込んで出すと、なんとか食べることは出来たようで、食欲はそこそこあるというので一安心して、またInDesignをいじって昨日の夜段階の進捗、ひとまず全部組み終わってゲラを出す、というところまで巻き返し、再度出力を終えた。赤字を入れたかったが、このまま深夜まで作業するとまた不調をきたし、なんならインフルになってしまう可能性を考慮したところ、無理をしないということで作業を終え日記を書いている。お風呂にはいって暖かくして本を読んで寝たい。
 『4522敗の記憶』を読み終え、再び『クレネルのサマーキャンプ』。本日も引き続き台所に布団を敷いて本を読みながら就寝。

2019年2月6日(水)
 一日とはいえ事務所を開けるとたまるしごともあるもので、せっせとこなしている。昨日今日と比較的よく寝たおかげか、妙な集中力を発揮していて、いつもなら野球ニュースに、いつもならTwitterに、とほかのことで時間を浪費してしまうタイミングで、次のメールを開き、次の作業をこなし、とひたすら集中してどんどんこなしていくことが出来ている。睡眠は偉大なのだろうか。しごとは終わるし、その後に、昨日の冊子ゲラに赤字も入れて、著者のみなさまに校正チェックをお願いするところまで、一気に進めることが出来た。全く脇目も振らず、ひたすら直進。

限界。疲労。台所。睡眠。

2019年2月7日(木)
 脱力。昨日の集中が嘘のように、脱力し、ふらふらと泳ぐ視線と、力の入らない体を動かして、それで細々としたことをこなしている。昨日もひたすら細々としたことをこなした。それで、簡単な作業から進めることになってしまって、結局大きなもの、というか、本腰を入れて進めたい原稿依頼や、インタビューの構成などはどんどん溜まっている。百書店大賞の申し込みへのお返事もまだで、これいつお返事すれば、じょじょに、がいいのはわかっているのだけれど、いま新しい作業に手を付け始めるのが、すべてが中途半端になってしまいそうで怖い、という状況で、ぎゅうぎゅうと圧迫されながら過ごしている。相方は、今日はだいぶ体が楽なようでよかったと思うのだけれど、それでもわりと早めに家に帰るのが良かろうと思っているが、どこで切りをつけるのがいいものか。なるべく事務所にいるときにできる作業から先に、と思うとなおさら家でもできる原稿や、百書店のお返事が滞り、結局家でも持ち越したしごとをやっていたら手が付かない、という状況に陥っている。

 ひとまず、いったん「今日やる」という作業を落ち着かせたのちは、なにがいいだろう、冊子だろうか。これはもう早めにやらないと製作が遅れていくだけだし、せっかく原稿をいただいているのにリリースが遅くなるのは申し訳ないなと、それで冊子の調整を行い、まだ作っていなかった目次や奥付を作る。と、微妙に隙間が残ることがわかり、これどうしようか、空白でもいいけれど……。しかしなにか、ぼくもなにか書いたほうがいいだろうか発行者としては、と思って、巻頭言やら創刊の辞みたいなものはまったくもって違うだろうというか、ぼくが取るべきスタンス、この冊子や、あるいは店、が取るのは巻頭言ではなく、全体の雰囲気にいち原稿として寄り添うものがいいなと、それでhibi/を書こうかと思ったんだけれども、日記じゃない、日々じゃないhibi/とか、書けるのだろうか、破綻しているのでは? というかhibi/は普段どういうテンションで書いていただろうか、とそれで普段のhibi/、つまりいま書いている、書かれているこの文章から書くことにした。そう、そういえばこういう、ちまちまとしたことしか書いていないから、ちまちま書こう。生活。生活を。

2019年2月8日(金)
 あさイチで店に向かい、出荷の作業をしたのち、会計士さんと経理の打合せ。前月の出し入れやら、源泉税の納付やらを確認していて、それでだいたい今日のしごと、というか、しごとを本来するための日中の時間は終わりを迎える。

 冊子の製作、たいがい遅い時間に、昨日書いたぼくのhibi/の原稿も差し込んで、ほぼ完成した冊子を、仮でプリンタから小冊子印刷で出力してダミーを作る。全体的には悪くなさそう。ページ割も大丈夫そう。それで、今回の冊子は印刷代節約のために、大きな紙に両面印刷して、ぼくが織り込んで冊子状にしよう、ということにしていたため、紙を織り込んで面付けの位置を確認して、ページごとにInDesignから出力したPDFをIllustratorで配置して、プリンタで印刷して織り込んでみると、裏表が合わない。長辺とじではなく短辺とじで両面印刷しなければいけないようで、再度印刷して、それで織り込んでみるとそれはうまくいった。いまあるプリンタだとA4サイズしか出力できないので、その紙をもってコンビニに向かい、印刷機でA3に拡大コピーしてものをこしらえて、それを折り折り、冊子状にすると、なんと、求めていたものが完成したようであった。遠い道のり。
 それで一段落したので、家に帰り、それから少なくとも2月中にオープンするのは間違いないから、もう有料に登録してしまおう、とSTORESのサイトを開き、課金を選択する。と、すぐに制限は解除され、商品登録も5点以上できるようになった。それで同様にドメインの制限、というかこれは拡張機能が追加され、自由に取得できるようになったので、HABっぽいなにかでと、「HABookstore.com」を選択したところ、これがすでに使用中とのことで、まじかこんなピンポイントのドメイン、だれが取得するんだろうと思い打ち込んで見ると、見事に「H.A.Bookstore」の、つまりぼくの、メインサイトが表示されて一人でケラケラと笑った。それで、末尾は「.com」以外に「.net」と「.shop」があるようで、その2つはまだ利用できる、というか、ぼくがほかサイトで利用していない、ということで、その確認をして、これはもう「.shop」一択だろうとそれが選ばれて、ドメインは取得……されない! どうも認証に数日かかるようで、しかし、認証されない、という可能性はどのくらいあるのだろうか。もうなるはやで入稿したい気分の冊子に、webショップのURLを入れたいのだけれど、入れてみて入稿したあとで認証されない、ということになるとなにかとまずいのではないか、というか本当はQRコードを作って、それで冊子を見たらそのままwebショップにもアクセス出来ますよー、みたいな動線を作りたいのだけれど、QRコードはサイトの実態がないまま作成していいものだろうか。いまどきURLを直接打ち込む人もいないだろうから、印字が違っていても大きな問題ではないような気がするが、QRコードがアクセスされないのはこれ、けっこういろんな方のエラーというか、機会損失というか、ご迷惑をおかけする気がする。では初回はもうQRコードなしでも、いやなぁ、それもなぁ。などとぐだぐだしていたら、というか、するまえからもう大概深夜だったので、なにか、放り投げてしまいたくなって、それですべて忘れて、泥のように眠ることにして、泥のように眠った。

2019年2月9日(土)
 朝から雪で、店に運びたい本が多めにあったし買い出しもしたかったので原付移動のつもりでいたのだけれど、それに乗れない、というかギリギリまで乗る方向で検討していたのだけれど、外に出てみて、やっぱこれないわー、となって徒歩と電車で店に向かう。いずれにせよ、こんな天気でいらっしゃるお客さんもいないだろうという気もしていて、今日は店番をしながらデスクワークだなという決心を固めている。というか、最初からそういう気持ちで望まないと、お客さんがこなくて切なくなるだけだし、いらっしゃったらいらっしゃったで、なにか奇跡のような気持ちになれるのではないかと思って、そうしている。マインドセット。セルフコントロール。自己暗示。そうすると、本屋を巡っているのです、という一行の方々が来てくださり、こんな日にどうもどうもという気持ち、そしてそれが奇跡! と思う気持ちでこころを豊かにすることができた。マインドセット。セルフコントロール。自己暗示。結局、その方々以外にも数名、いやほんと、数名だけだけれども来てくださり、それだけで店を開けていてよかったなという気持ちにはなる。

 夕方から雪はある程度収まっていて、ライオン堂の野球本読書会に向かい、横浜、大洋について好きに語り、ただただほくほくとして帰ってくると、その帰りの電車の中で相方から連絡があり、それはなるほど、なかなか衝撃的というか、人生! 人生ってなんだかすごいんだなぁ、と思わせる連絡があり、それでどきどきとかわくわくとかしながら帰宅した。

2019年2月10日(日)
 ちゃんと晴れてくれた。朝から快晴でよかったと胸をなでおろし、原付に乗って意気揚々と買い出しに向かった。浅草橋のシモジマに着くとまずは上階までエレベーターで上がり、梱包用にプチプチのロール、階段で徐々に下の階に降りながら、いつものレジ袋とそれから手提げのビニール袋、取次の配送用に大きめの袋を調達したかったので合わせて安そうな紙袋を手に取り、ふと見るとOPPテープが安くなっていたのでそれも手にって、とこの段階で300枚の紙袋と100枚のビニール袋にプチプチロールという出で立ちで、大きなプチプチロールを台座にその上に紙袋を重ねて、よいしょよいしょと階段を降りているとふと、そういえば梱包用に大きめの紙袋を入手したけれども、規格品ならA4封筒の方が安いのかな? と文房具売場で封筒を見ると、なんとどう考えてもいま手の中にある袋よりもしっかりしたつくりで大きいサイズのA4封筒がより安い値段で売られていた。需要と供給が価格に反映されているのだろうか、経済だなぁと感心して、しかしここでA4封筒を買うということは、いま手に持っている配送用の紙袋は上階に返しにいかないといけない、ということになる。この、両手がふさがった出で立ちで、階段をまた上昇するのか、という逡巡と、しかし少しでも安いほうがいい、という気持ちがせめぎあい、それでA4封筒の束を追加で手に持って、また階段を登り始めた。登りきって袋を置き、流石に帰りはエレベーターで1階に降りて会計をする。総じて満足したお買い物ののち、時計を見るともう11時50分となっていた。袋の選別に時間をかけすぎたということで、それで急いで原付の荷台に袋をしまい、無理やりプチプチロールを載せ、というか懐に抱え込んで店に向かってオープン。3分くらい押してしまって、このケチ臭いこころがこの3分のロスを生じさせたのだ、この、こころが……! と憎しみと後悔とともに今日の営業がスタートした。

 総じて平均な一日で、本は買われたり買われなかったりしていき17時が訪れて、そろそろと店を閉めようと閉店作業をしていたらお一人いらっしゃり、それで何も買わずにお帰りになられたので、またそろそろと店を閉めようとしたら、その方が戻ってこられ外に出していた本を、これとこれを、とお買い求めいただき、ありがたいありがたい、これは棚ぼたというか臨時収入感があるなと思いうきうきと、ふたたび店を閉めようとしていたら、またお二人いらっしゃり、そんなことはこれまで17時からちょっと延長して店の看板を出していてもぜんぜんなかったことで、これは、今日は蔵前で祭りでもやっているのか、となんだか不思議な感じで店番を延長している。が、そのお二人で流石に打ち止めで、18時を過ぎて店は閉められた。とはいえ、やはり18時閉店くらいにできるのがいいだろうか。そういう、いままで取りこぼしていた需要はもちろんあるだろうということ、というか、いまぼくが店の営業時間を広げたい、と思っているからこそ多分そういう方向に現象を解釈したがっていて、それでやっぱり18時くらいまで開けたいな、という気持ちになっている。マインドセット。セルフコントロール。自己暗示。

 ごはんを食べて、23時ごろまでせこせこ作業したところ、冊子の入稿を終えることができた。もう面倒くさくなってしまって、webショップのアドレスは入れないで済ませる。そもそも、冊子にこれみよがしにwebショップのQRコードが入っているとか、なんだかちょっとはしたない感じがするよね、と思ってそれで入れずに入稿することにして、しかしそれも、いまぼくがもう早く入稿したくてたまらないからそういう方向に解釈したっているだけで、きっと次回、第二号では入れるのであろうなということまでわかっているけれども、そう解釈したいからいまこの瞬間はそう思っている。マインドセット。セルフコントロール。自己暗示。

 ドメインはまだ取得されない。

#READING  『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史』(村瀬秀信、双葉社)
#READING  『クネレルのサマーキャンプ』(エトガル・ケレット、 母袋夏生訳、河出書房新社)

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