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日記hibi/ 2020/4/29~5/5

2020年4月29日(水)
 両国>蔵前>両国
 一〇時起き。メールを返して、たこ焼きが作りたいいづちゃんを残して店に。取次の新刊の出荷。たくさんある。「しししし」の三号は、クリックポストに二冊、レターパックプラスでも三冊しか入らなくてお手上げ。「アメリカンブックショップ」もクリックポストはかなりギリギリの厚さ。結局、五冊以上はゆうパックを選択する。ゆうパックは六〇サイズは安いが、八〇サイズから急に値段が上がる印象がある。二九個口。宅急便多め。集荷をお願いしたいが、アプリのスマホ割を使っているので窓口差し出しの値引き額が馬鹿にならない。平時なら問題ないのだけれど、窓口に持ってきてくれれば安くするよ、という行為を推進してきた郵便局の取り組みは、いま両者の足かせにしかならない。一七時半に終え、一八時までとなっているゆうゆう窓口に向かう。地図では六〇〇メートルと出る。台車に二九個の荷物を乗せ、むか、むか、むかい……、向かえず、だが向かい、なんども段差でダンボールを落としそうになりながら行き着く。出す。帰りにリーディンライティンの分を直納して一八時。

 店戻り、原付きに乗り、帰ると233が風呂に入りたそうにしている。わかってはいたが荷造りに時間がかかりぎりぎりになってしまう。だいたいいつもそう。時間の余裕とはなにか。入れる。それからZOOMでZINE講座の打ち合わせ。これも遅刻。終わってからなんとか豆腐麺を作ることができて、「生活」のかけらを死守する。あとはそして計算計算。月末月末。死。日々どんどん落ち込んでいく。

2020年4月30日(木)
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 振り込みは一五時までで、朝からその時間目掛けて勤勉に働いた。銀行のATMはいつもの月末ほどは人が並んでいない……ような気がしたが幻想かもしれない。

 233が寝た後、いづちゃんが今日こそたこやきを作りたいというので、一緒につくることにしたものの、原稿・チェック・UPできれば、あと出勤簿を……と思っていたらたこやきは焼き上がり、ただたこやきを食べにきただけの怠惰な人になる。食べながらエヴァ。見たはずだかあまり覚えていない。

2020年5月1日(金)
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 朝は最悪で、それは昨日遅くにビールを飲んだからだし、そもそも遅くまで起きていたからだった。

 夜は最悪で、何一つ新しいことがしたくない、というテンションで、目の前のものをちぎって投げるだけの作業。ちぎっても、体積は見た目には減らない。

2020年5月2日(土)
 両国>蔵前>両国
 週一くらいで店を開けるのがいいのでは、というのがいまのテンションで、それで店を開ける。週一くらいで、店でガッツリやらないと作業がたまるということでもあった。

 出荷だけで店番は終わる。三一個なので、一〇分で一個の計算になる。途中でお昼を食べたり、おやつを食べたりしているのでまぁ妥当と言えた。ツウハンと、取次の方と、あと平日の仕事の通販出荷もこの店に在庫を持ち込んでいるので、それもある。だからこその量で、平時であればもちろんうれしいが、このペースがもし平時なのであればしごとのやり方、スケジュールから立て直さないといけない、ということでもあった。新しい看板用のステッカーが届いたが貼れずに帰宅。233はすでに入浴中だったが、なんとか出るときには間に合って、保湿剤など塗りたくるしごとをこなす。

 寝かしつけている途中で、「ハンターハンター」のキメラアント編の大部分が無料公開されているようだったので、それを読む。「ハンターハンター」はちょうど、宮殿に突入する、くらいのところで止まってしまっていて、たいへんに気になるところだった。

 ……………。

 四時になっている。最後のほうは課金してキメラアント編を全部読む。男が女を引き連れて、心中する話になぜこんなに“おもしろさ”を感じるのか、わからない。わからないけれどもものすごく面白くて、しばらくハンターハンター脳になってしまう。

2020年5月3日(日)
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 朝は遅く起きて、いづちゃんに睨まれる。いづちゃんが買い物に出ている間に、233と二人でコーヒーを飲んだり、布団を片付けたり、洗濯を干している間に、「ハンターハンター」のことを考えていた。

 生まれついての絶対的権力者が、その権力を維持できるだけの圧倒的能力を持っていたとき、その人生は退屈だろうか。自明の道。それを切り開く努力すら不要な能力。統率という本能を持つ蟻と雑多な人間の両方の形質を持つ不幸。彼女を守るために場所を変えたのは自分の能力に微塵も疑いがないからだし、会長と対話を望んだのも自分が圧倒的強者だからだし、その迷いのなさはかっこよさではなく、すでに持っているから余裕があるだけ。人間の良さを理解したというその結果が、管理と飼育である、その思考がどうしようもなく幼い。彼女を通じて、一人の“他”を知ることができても、“その他”多くの個まで考えが及ばない、想像できない。そういう存在は、ぼくにとって嫌悪の対象でしかない。ただただ、二人が自らの道を自らの手で見つけたこと。それだけがほか全てを凌駕して尊い。尊いような気がする。クソみたいな男がその一点のみにて尊い。それは安易に称賛できないが、だからといってダメなことでもないはずで、こういう白黒のつかなさがいい、と結論づけてしまうは早計なのだけれども……。

 家のテレビにVGAケーブルでiPadを繋ぐと、大画面で映像が見れるようになる。音声はクリプシュのスピーカーにつなぐ。いづちゃんは、ケーブル持ってくるから今度星野源のライブが大画面で見れるようになるよ、と言ってもピンと来ていないようであったが、接続して映像を出すと即座に「これはいい」と評価していただけた。適当に「ぼのぼの」を見せたら、233の食いつきが非常に良くて驚く。ぼのぼので? ぼくは嬉しいけれども。生後六ヶ月ですでにぼのぼのを嗜まれるの?
 三人で散歩をして、233はスーパーでは楽しそうに商品を見ていて寝ない。混んでいるので途中から外で待っていて、荷物を按分して持って、家に帰る。
 夜はお好み焼き。このまえたこやきを食べたばかりだが細かいことを気にしてもしょうがない。チーズを入れたら、焦げ付いてしまったのか二人してぜんぜんチーズ味がわからず、「これ、ただカロリーを増やしただけなのでは?」とくすくす笑った。

 夜からしごと。noteのフォント変わった?

2020年5月4日(月)
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 ずっと家にいるはずなのだが、なんで時間がないのだろう、という感じ。空き時間を見つけてはしごとをしている。引き続きデータを整えるだけの作業。HABの原稿はどうした。入金確認はどうした。月初だぞ。という声が聞こえてくるがどうしろというのか。わりとずっと働いているが、どうしてもHABのしごとまで到達しない。巷では連休なだけで、月の日数は変わらないし、出荷の負荷も増えているので当然と言えば当然かもしれない。
 問い合わせに対応する元気はあまりない。

2020年5月5日(火)
 両国>蔵前>両国
 朝は233に叩いて起こされる。げんき。しばらく二人で過ごす。手持ち無沙汰なので、数日ぶりに本でも、と手に取るが233から不満の声。それで結局洗濯やら掃除やらを一緒に行う。動いていると労働とみなされて静かにしているが、止まっているとサボっているとみなされて自己への遊びを要求してくる。スパルタなのだ。
 それから手が空いたらもういい時間だったのでしごと。途中でなにがなんだか分からなくなってしまって、おひるごはん? いま? なにを? 買う? つくる? なにを? いつ? いま? みたいな謎の混乱をきたしてしまってなにも決められない。結局作らないし食べない。や、あとでチキンラーメンを食べた。日常がわからない。

 オンライン本屋博がやっている。すごいなー、すごいなー、とは思っているがいまSNSで何かをする気が起きない。追う気も起きない。

 233が急に、なにかに気づいたかのように一息に長い文字列を発音するようになる。「うあうあうおいおうあおまうあおあういあう」。会話が弾む。唇と舌で発音を変化させられることに気づいた、ということだろうか。偉大である。

 深夜に緊急地震速報がやってきて、デスクから飛び出して布団の部屋に向かうといづちゃんも起きていた。233もじきに起き、食事の時間だったのでミルクを作ることにして、今日の業務は強制終了。

 いまできるのは本を作ることだけなのに、それが全くできないのは不健全だし不健康だし、なにかが間違っている。

#READING  『ハンターハンター』(冨樫義博、集英社)

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