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日記hibi/ 2018/11/26〜12/2

11月26日(月)
3日も休んでしまったので、しごと、主に出荷が少し溜まっている。少ししか溜まっていない、ともいえ、どちらかというとめちゃくちゃ溜まっていてくださらないと収益的にはぜんぜんなのだけれど、少しだけ溜まっていたので出荷してから、バリバリと事務仕事を進めた。気がつくとすでに月末がやってきており、今月も入金などを進めなければならないので、バリバリした。

11月27日(火)
朝が早い。朝が早いということは、電車が通勤っぽい感じ、になっているということで、恐れおののいていたが、むしろ少し早すぎたようで、多少の混み具合、という程度で済んだので心穏やかに過ごした。秋葉原から大船に向かう電車は座れるかどうか微妙なくらいで、道中が長いので是非とも座りたいなーと思っていたところ、二駅ほどで空き席ができたので座り、そのままPCでメールを見たり返したりしながら、揺られていった。大船に着くと、頑張りすぎた、おもに起床を頑張りすぎたせいか30分ほど約束の時間まで間があったので、本屋本屋〜と検索すると、すでに改札を出てしまったが駅ナカに1軒、駅ビルにアニールという本屋が1軒、繁華街にくまざわ書店と、おそらく地場の本屋であろう、中田書店というところが見つかった。3軒回れるかは微妙であったが、まずはアニールへ。

無印良品と同フロアで地続きという上階のフロアで、朝も早めだったため人は少なめ、かと思ったがそれは無印だけで、そこそこの人が店内にはおり、スタッフとみられる方も30坪程度の店内に3名ほどおられ、流行っているのだろうか、とぐるっと回ったが、雑誌、ガイド、児童書あたりが強めで、文芸は本当にすこーしだけで、実用書や学術文庫が全体の雰囲気のわりに入っているというところで、ファミリー層とおじいさん、というスタンダードな客層が察せられた。しかし、ここはあくまで駅ビルであるので、若者はどこへ……、くまざわか、くまざわは地図上で見る限り西友に入っているようだけれども、実際はこの辺りが大きめの繁華街なのだろうか、と見知らぬ土地にあたりをつけて向かうと、確かにそこは魚屋もカラオケもある、老若男女受け入れる系のとても良い雰囲気の商店街があり、西友はその、魚屋かカラオケかと言ったらカラオケとかありそう、な側に位置していた。

入り口平台から観察して入ると、右手が人文・文学、左手にコミックという構成であったようで、まずは右手から入ることになった。ふとみると、沖縄本のフェアコーナーがあり、翁長知事の関連本などがまとまって置かれていた。「あ、いいな、手が入っている」と嬉しく拝見し、ふと右下をみると『日本国紀』が一面だけ、とくに目立たせるわけではなく、さりげなく、目的買いのかたどーぞ的な雰囲気で面陳されていた。このバランス感覚は好きなやつだった。それで、だいたい好きになって、この、だいたい好きになるというのがもうかなりその後の判断を左右し、同じように荒れている棚を目にしても、「荒れてるなー、手が入ってないなー」と思うか「味がある」と思うかの境目になるようなところがあり、つまり「味があるなー」という感想で全部を見て回った。文芸や海外文学も店の客層に最大限配慮する形でなるべく揃えてあるようだったし、全体的にしっかりしていた。毎日通うにはちょうどいいという印象で、つまりは好きな本屋だった。いいものを見た。いいものを見た、とほくほくしていたところすでに時間はなくなっており、小走りで棚入れ中であるはずのポルベニールブックストアに向かった。ポルベニールブックストアは、ちょっとオープンに際してお手伝いをしていたので、せっかくなら現地をみつつ棚入れもと行くことになったところで、足早に向かいながら駅からのルートや近隣の商店、人通りの雰囲気などを掴みつつ進むと、5分程度で店までたどりついた。

商店街からは少し外れているが遠くはなく、目の前にコンビニと駐車場。通りは商店街に比べると、というか商店街が栄えすぎていて相対的に、閑散とはしているが左右隣の店舗は空き家ではなく営業中、というところは非常によかった。人通り、というか、人が通る可能性がある施設がある、というのは喜ばしいことだった。中に入りあいさつを交わすと、少しお店のことを説明していただき、それからはガッツガッツ棚入れを行った。本棚があると目移りしてしまって人の目を見て話さなくなるという傾向がぼくにはあり、今回も棚ばかり見て話を聞き、棚を直しながらお話をした。夜にはB&Bのイベントアテンドの予定があったため、昼過ぎには辞することにしており、それまでは棚を触っていた。帰りがけに、駅近くの中田書店に赴き、ここは昔からある地場の書店という趣きで、店前を掃除しているおばあさんに会釈して店に入り、ざっと見て回る。

雑誌と文庫、実用書。二階があるようだったので上がるとそこはコミック売り場となっており、新刊とすこしコアな作品も扱っているようだった。隣だったか、よく確認しなかったが確か近隣のビルに学習塾がはいっていた気がしており、そのせいだろうか、コミック好きな店員もいるのだろうというのがディスプレイからなんとなく察せられた。本屋成分が充足したので満足し、帰りの電車のなかでこうして日記を書いている。いた。

11月28日(水)
八木書店に新刊を搬入する日となっていたため、午前中に他の仕事と出荷の準備を整え、昼過ぎから神保町へ向かった。無事に新刊を搬入し、出荷の短冊をお渡しすると、そういえばいま大分からカモシカ書店さんが来ていますよ、とそのままご紹介いただいた。活躍は拝見していたし、一度同じ本でぼくのインタビューとカモシカ書店さんの寄稿が同時に掲載されたこともあり、もちろん存じてはおり、しかしながら初対面でもあったため、おずおずとご挨拶すると、お相手の認識も同様のようであった。そうすると、今日の夜は空いていますかとおっしゃられ、やることはあるがマストの予定はないという空き具合であったためほいほいとついていくことにし、一度もどって夜までしごとをしたのち、落ち合うこととなった。
落ち合うと主に、なんだろう、なんだかとてもたのしくお話をした。たのしかったという記憶だけが明確にあった。

11月29日(木)
昨日の夜はほかに本屋ではないお仕事をされている方がお二人おり、その方々のお一人が「そうか、ビジネスではなくアートの話なんですね」とおっしゃられたことだけなぜかよく覚えている。何の話だったか、覚えていることはおぼろげで書くとなにかが散逸してしまう気がして書かないし書けないのだけれど、なんだか腑に落ちたし、アートの話のまま本を売り続けて生きていくということが明確にされた。

現実は非常である。というよりも、実務でありシステムであり、そうしてぼくは入稿直前まで準備されていなかった新刊のスリップを作っている。作業が漏れていたのであって、急いでいるので急いで作り、入稿した。それが午前の話で、夕方になると、もう一件、今度は取次扱いとなる予定の本の表4表記の確認をいただいたので、レイアウトの相談に応じ、はたと気がつきスリップの話をするとマダ、ということだったのでこちらでラフを作ってお渡しした。多少の修正を経て、そのまま入稿、スリップも初版で作成してくださるということになったので安堵した。チラシばかりつくったあとはスリップばかりつくっているし、おそらくこのスリップを入稿した本が再来週には出来上がってくるのでそのチラシもつくる、というタスクをメモしたので、来週はきっとそうなる。

11月30日(金)
八木書店に行くかどうか、で朝から迷っている。というかまだ午前中なので、そんなに長い時間ではないけれども迷っていて、行くなら早く行くべきだった。明日はHABでオムライスラヂオのイベントがあり、それなりに人が入る事になっていた。来てくださる方の雰囲気的もたのしく本を選んでくださる方が多いだろうなと思ったときに、『ガザに地下鉄が走る日』がないことが急に気になりだしてしまった。この本がいま店頭にないということは、特に明日いらっしゃることがなんとなく想定される方々に失礼ではないかというか、というのはいいわけで、ぼくに、最低限ここはありますという姿勢を保っておきたいという小さなプライドが生じていて、つまりほぼぼくのプライドのため、この本がピンポイントで置いておきたいというどうしようもない気持ちが高まってしまい、いま行くのであれば八木書店で買い付けてくるという方法になるなと朝から思っている。思っていると八木書店に行くべき理由はいくつも思い浮かび、同様にイベントの関連書籍、しかしないならないで問題ない、そういう本があったほうがいいだろうとか、昨日納品した新刊の受注状況がいいのでそろそろ追加を搬入するべきなのではないかとか、そういう理由をもろもろ付けて、結局は八木書店へ行き、本を仕入れてからほかの仕事に行くことにした。

年末に出る予定の本の校正がかなり溜まってしまっていたため、今できている分を紙に印刷ことにして、裏紙をとってくると、それはちょうどぼくが約一年前に校正していた本のものだった。ゲラなのに裏紙に印刷していないのは、お正月で実家に帰っていた際にどうしても印刷したくてコンビニに走ったためと、デザイナーさんにPDFで校正を送るために裏写りしない新品の紙が使われたのと、そのどちらかのはずだけれども、それがあり、その紙の裏にこれから赤入れをする新しい本のゲラが印刷されることになった。なんだかこれは感慨深いものがあるなと一人で感じ入り、やる気も出たのでしっかり赤入れをこなすことにして、原稿に向き合った。

12月1日(土)
先週の三連休で一度も営業しなかったし、昨日も八木書店で新刊を仕入れてきてしまったし、品出しがとても溜まっていた。出して、スリップに日付を記入して、机に積み上げていると、リトルプレスの納品があり対応し、顔見知りの方であったのでたのしくお話をしてわかれると、当然のように本の山がより積み上がっていたため、張り切って品出ししようとしたところ、今日の夜にイベントをするルチャ・リブロの青木さんがいらっしゃり、打合せなどを簡単にこなしながら棚に本を出していった。本を出している途中で青木さんはほかの打合せのためまた夜に来ますねとたのしくお別れをし、引き続き品出しを進めていると先日webから購入したオリジナルTシャツを、作った方がわざわざ直接納品してくださり、それに付随してその方が発行されたペーパーを楽しみにしていたので受け取りその場でたのしくお話をして別れた。少しづつ来店されるお客さんの合間を縫いつつ品出しを進めると16:30近くになっており、イベントに参加する顔見知りのお客さんがあつまり始めたためたのしくお話をし、なんとか最低限のスペースを確保した自分のデスクスペースを受付とイベント関連本が販売できるように整え、そうこうしているうちに顔見知りではない、イベントに参加するお客さんもいらっしゃりはじめたので、椅子などを出して店をイベントできる体制にし、青木さんも戻ってこられてたのしくお話をしながらイベントのことなど簡単にお伝えし、ひとまず一階の看板に「イベントの方のみ入場」という張り紙をつけて戻ってくると、いよいよ集まり始めた参加者の方への受付を開始し、そうすると、イベントに付随している「HABで使える500円図書券」なるものがあるのだけれど、それを使って早めに買い物をする方もいらっしゃったので受付と平行して会計を行い、会計と受付がなんとなく済んだあたりでイベント開始時間となったため、店の設備について簡単なアナウンスをして、そのままぼくも登壇者であったためにイベントはシームレスにスタートした。イベント中はたのしくお話をし、お開きとなったあとはお客さんともたのしくお話をし、そのときに今日の昼に納品してくださったTシャツを不自然にセーターの上から来ていたのだがそのTシャツについて言及することをすっかりわすれていたことを思い出したがどうすることもなく、「HABで使える500円図書券」をみなさま使うために店を物色し買い物をされるので、それぞれの方とたのしくお話をしながら会計を終え、お一人の方はなんで「百年の孤独」のTシャツなんですか? ラテンアメリカ文学押しなんですか? と問うてくださったのですべてに満足し、快くイベントは終えられ店を片付けたのち、みなさまと近くの居酒屋に行ってたのしくお話をした。

12月2日(日)
昨日が昨日だったせいか、まずは平常運転にもっていくために、店を片付けて本を陳列しなおすところからスタートし、そうするともともとこの椅子や本はどこにあったのだったけ? というか、物理的にこの量はここにもどらないのではないかな? という自体に直面して、どうにかやりくり、店を作り直すつもりで平台や棚をいじって平常に戻していった。椅子が一脚、どうしてどこに置いてあったか思い出せないということになり、置き場所も全くないのでバックヤード、というか流し台がある狭いスペースに置いてしまって、その先にはトイレがあり、使うのはぼくだけなのだけれどもその通行がとても不便になってしまったが、もうこれ以上どうにもできない、というかいままで本当にこの椅子はどこに出ていたっけ? ということがまったく思い出せなかったため、そのまま置いておくことにして、ひとまずの平穏が訪れた。
昨日の反動か、あるいはぼくの気が急いていたため相対的にそう感じられたのか、お一人でいらして、じっくり本を見てくださる方がとても多く、良い感じで、人と本が真摯に向き合うプレシャスな瞬間、がいま店に訪れた。そう感じて、なんならぼくは店にいない方がいいですか? と思ったし、間違いなくそのほうがよかった。本と向き合っていただき、可能ならぼくの存在感はひたすら消して行きたい。イベントとか、ネットとか、間口の広さだとか、いろんな人に本を読んでほしいし楽しんでほしい。ほしいし、そういう場面では積極的にやっていきたいし、昨日もとっても一日たのしかったしまたやりたいけれども、ことこの店に限ると、日々の理想はそこにある気がした。

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