ARK ETFの組み込み発表によりコインベースの株価上昇! ETF組み込みの仕組みも
この記事ではARK ETFが株式を組み込む方式について説明します。具体的には「コインベース」 $COINのIPOとARK ETFの組み込みを例として、どのように銘柄を購入し、ETFに組み込んでいるかをご説明します。
コインベースのIPO
2021年4月14日に暗号資産(仮想通貨)交換業者のコインベース(ティッカー: COIN)がNASDAQに上場(IPO)しました。
初値は381ドルで、株価は一時429.54ドルまで上昇しました。しかし、終値は328.28ドルで初値から14%ほど低くなりました。時価総額は一時1120億ドル(約12兆2000億円)を超えました。
キャシーウッドのARK ETFがコインベースを購入
ARK ファンドが発表したデータによると、ARK ETFは合計でCoinbase株を749,205株購入しました。Coinbaseの1株あたりの終値328.28ドルに基づくと、彼らの株式は約2億4600万ドル分購入したことになります。
ARK の影響でコインベースの株価が上昇
ARK ETFファンドがコインベース株を組み込んだと発表した事により、コインベースのプレマーケットでの株価が9%ほど上昇しています。
ARK ETF の運用の仕組み
なぜARK ETFがコインベースを組み込んだと発表されることで、コインベースの株が上がったのでしょうか?
では、まずETFの仕組みから説明します。その次にARK ETFの仕組みを説明します。
ETFとは?
まず、ETFとは何でしょうか?
ETFはExchange Traded Fundの略称で、日本語では上場投資信託のことです。つまり、上場している投資信託のことです。
逆に上場していない投資信託は日本ではそのまま「投資信託」と呼ばれています。
ETFには大きく分けて2種類あります。
インデックスETFとアクティブETF
1つは特定の指数に連動した投資成果を目指す「インデックスETF」です。
もう1つはリスクをとってベンチマークを上回る投資成果を目指す「アクティブETF」です。
コインベースが組み込まれたのはインデックスETF?アクティブETF?
今回、コインベースがARK ETFに組み込まれたのはARK のアクティブETFになります。ですのでアクティブ運用ETFの特徴について説明します。
アクティブ運用ETFの特徴1. 組入銘柄の入れ替え
アクティブ運用ETFの大きな特徴の1つ目はファンドマネージャーがETFの組入銘柄の入れ替えを行えることです。ですので、運用方針の中で銘柄を自由に組み入れることができます。
ARKですとキャシーウッドが最終的な決定権を持っています。
アクティブ運用ETFの特徴2. 透明性
次に構成銘柄の公表についてです。
アクティブ運用ETFは構成銘柄を日々開示しなければなりません。基本的には日々、組入銘柄をホームページ上で公開することが義務付けられています。
今回もコインベースがARK ETFに組み込まれた翌日には、公表されています。
アクティブ運用ETFの特徴3. 実際の組入は外部委託
3番目の特徴はファンドが実際に売買しないという点です。ファンドはETFの組入銘柄とその割合を決定しますが、株式の売買は外部に委託しています。これにより、銘柄を相場操縦することなくに公平にETF運用の運用することが可能になります。
ETFの価格と組み込み銘柄の株価を連動の仕組み
では、株式の売買を外部に委託しているのに、株式価格とETFの価格が連動できるのでしょうか?次にここを掘り下げたいと思います。
ETFの価格連動の仕組み
1. 発行市場と取引市場
ETFの価格連動の仕組みを理解するためには、2つの市場を理解する必要があります。
1つ目は取引市場です。これは、一般的な株式の取引所と考えて大丈夫です。例えば、アメリカであればNASDAQやNYダウ、日本であれば東証などがこれにあたります。
2つ目は発行市場です。こちらは、ETFの価格を株式に連動するための市場になります。
図の発行市場の中の管理会社というのがETFの構成銘柄を決定しているファンドになります。今回であればARKがこれに当たります。受注会社はARKが株式の管理を委託している会社になります。指定参加者は受注会社と株やETFの交換を行う業者になります。
2. 構成銘柄の組入と交換
2.1. ETFにおける構成銘柄の組入手順
次にETFが銘柄を組み込む手順をご紹介します。
管理会社がETFの構成銘柄と比率を決定すると、受注会社は指定参加者から株式(バスケット)を購入します。これにより、決定したETFの株の比率と実際に管理している株の比率を合わせます。一方で、指定参加者は取引市場から株式等を購入し、受注会社に納めます。
このようにして、決定したETFの株の比率と実際に管理している株の比率を合わせます。
では、次にETFの価格と実際に管理している株の価格はどのよう連動させるのでしょうか?次にそこを説明します。
ETFの価格と実際に管理している株の価格の連動
ETFの価格と実際に管理している株の価格が連動していないケースは大きく分けて2種類あります。
1つ目はETFが人気化し、ETFの価格が実際に管理している株式の価格(バスケットの市場価格)を上回る場合(ETFの価格 > バスケットの市場価格)です。
2つ目はETFの人気がなくなり、実際に管理している株式の価格(バスケットの市場価格)がETFの価格を上回る場合(バスケットの市場価格 > ETFの価格)
1. ETFの価格 > バスケットの市場価格
ETFの価格 > バスケットの市場価格の場合, 指定参加者は取引市場からバスケットの株式を購入し、ETFを空売りします。これを受注会社に引き渡すことにより、株式とETFの空売りが相殺されます。これにより、ETFの価格を下げ、バスケットの市場価格をあげることができます。また 指定参加者は裁定取引(サヤ取り)によりサヤを儲けられます。
2. バスケットの市場価格 > ETFの価格
次に、バスケットの市場価格 > ETFの価格の場合、指定参加者はETFを取引市場から購入します。これを受注会社に持っていくと、受注会社のバスケットを引き渡されるので、バスケットを取引市場で売却します。これにより、ETF価格とバスケットの価格の差がなくなります。
以上のように1と2を繰り返すことで、ETFの価格をバスケットの価格と連動することができます。
今回のコインベースのIPOではどうなった?
今回のコインベースのIPOは新株を発行しない直接上場(ダイレクトリスティング)によって行われました。
ですので、ARKのETFでは市場からコインベースの株式を購入する必要があったと思います。
そのため、ARKの指定参加者が取引市場でコインベース株を買い集めていたことが分かります。
なぜ、コインベース組み込みの影響で株価は上昇した?
ARK ETFによるコインベース株の買い集めが完了していない可能性があり、連日に渡ってARK が買い集める可能性があるからだと思います。
2021年4月15日現在、3つのARK ETFでコインベース株が購入されたことが発表されました。
今回はコインベースは以下のARK の3つのアクティブETFに組み込まれました。
1. ARKF(ARK Fintech Innovation ETF)
金融の仕組みを変える技術・サービスを提供している企業が中心のETF
2. ARKK(ARK Innovation ETF)
ジャンルを問わず「破壊的イノベーション」を生み出す企業を構成銘柄とするETF
3. ARKW(ARK Next Generation Internet ETF)
次世代のインターネットの進化に貢献しそうな企業が中心のETF
以上、コインベースを例にARK ETFの仕組み(銘柄組み込み)を解説しました。さらに、ARK の組み込み発表により、コインベースの株価が上昇する仕組みについてもご紹介しました。
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