THE FIRST あとがき


※個人的な考察と想いになります。

THE FIRSTが無事に幕を閉じて一週間。
デビューメンバーが発表され、慌ただしく日々が過ぎて行きました。

THE FIRSTを、個人的な推しがいて、この子がデビューして欲しい!という視点というよりは、SKY-HIは、自分の理想のグループにどんなメンバーを選ぶんだろう、という視点で見守っていました。

その中でも、ランが今回デビューメンバーに選ばれなかったことは、私の中で驚きがありました。
物語の1ページ目を飾ったラン。Twitterを追っていても、人気の高さは感じていました。
その物腰柔らかで、優しさの滲み出るような性格とは裏腹にダンスのクオリティは高く、ヴィジュアルも申し分ない。非常に華があり、SKY-HIに"王者の風格がある"とまで言われたほどの、何か不思議な魅力のある人でした。

THE FIRST終盤時に日経エンタメに寄稿されたSKY-HIのインタビュー記事"ボーイズグループはルックスへの覚悟が必要"
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO73365580Z20C21A6000000?channel=DF280120166614&n_cid=LMNST011

こちらを読んでも、最終審査前にラン個人へのメッセージで、「ランのためにグループが存在する時間を5秒作って欲しい」という言葉からも、個人的考察からグループの顔としても動いて欲しいという希望があるのではないかと思っていました。

しかし、今回は精神的な部分の弱さを指摘され、デビューメンバーには選ばれませんでした。

私たち、ずっと追ってきたファンはメンバー個人の性質であったり、得意不得意をある程度知っていると言えますが、デビュー後に初見で見る人はどうしてもヴィジュアルを先行して見てしまうと思います。深く追うことで性格や人となりを知ることとなり、さらに応援したくなる、という過程があると思います。

私は、西島隆弘さんのファンですが、彼を知ったきっかけは彼が出演した映画でした。そこから彼の所属するAAAを知ることとなり、楽曲を聴き、グループのことも丸ごと応援したくなる、という過程がありました。

AAAは、デビュー当時からしばらくはメインどころのボーカルが3人、ラッパー1人、その他のメンバーはコーラスやダンサーの役割という形で、どうしてもメインどころが目立つような売り出し方だったと思います。そのメインボーカルを西島くんは任されていました。活動していく中で徐々に全員が歌うという方向性に変わっていきましたが、最初のその流れと、彼の華やかさやチャーミングさ、演技力など様々な要因が重なり、彼はファンの間だけではなく世間からしても飛び抜けて認知度や人気があったように思います。

きっと事務所からの期待も一心に背負っていたと思いますし、音楽以外の仕事にも関わり、クレジットには必ずAAA 西島隆弘と入れるほど、個人活動をグループに還元しなければ、と動く人でした。

AAAはアーティストか?アイドルか?
きっと本人たちはアーティストとして音楽を届けているという自負があったと思いますが、グッズはヴィジュアルを使ったものが非常に多く、会社側としてはヴィジュアルに自信を持って売り出していると言っても過言ではなかったと思います。なので、やはりアイドルという側面も大いにあったのだと思います。
(BE:FIRSTが今後どのような売り出し方をするのかはわからないですが、写真販売などがあったことから、ヴィジュアルを使ったグッズが出てくるもことも予想されます。それはまず、資金集めという点でも避けられないことなのかもしれません。私がなぜこのような書き方をするかと言うと、私自身が特にヴィジュアルを使ったグッズを手にすることに重きを置いていないからです。グッズを楽しみにしているファンもいるように、そうではない人もいます。)
そうなってくると、やはりアイドル特有の"推し"という概念で応援するファンが多くなってくるのは避けられません。メンバーごとのカラーや特徴、Twitterファンの間でファンマークと言われるものができたように、そういった事柄に付随され具現化されたグッズが売られる。
これはよくよく考えると、とても残酷なことなのではないかと、ハッとしたのです。

私たち、それを購入し消費する側は、推しのグッズを買い、それを身につけてライブを楽しむ。しかし、アーティストにとってはどうでしょうか?そのグッズを身につけることで人気の差というのは顕著に出ます。また、売上にも正確に反映されると思います。素直に嬉しい、という感情では片付けられない複雑な心理も湧くのではないでしょうか。

SKY-HIが語っていた、ルックスへの覚悟を持って欲しい、という話を聞いたときに、真っ先に西島くんが浮かびました。
"自分が優れた器量というのを自身が受け入れて、パフォーマンスに昇華する。目の前のファンを熱狂させることにためらいを持たないでほしい"そのことをSKY-HI自身はなかなか受け入れることが出来ず、長い時間、職業アイドルの自身を斜に構えていた、とインタビューにありました。

AAAの中でその役割を担って、引っ張っていたのはおそらく西島くんであり、その力も一つの要素として、グループに活気が出たと言えると思います。
しかし、人気が若干一人歩きしてしまった、というのもひとつの結果です。
そうなってくると、先に書いたグッズの売り上げの差にも繋がってくるわけです。グッズに限らず、"人気"というものが直接的に目に入る現実、そのときにグループであるアーティストには、強靭な精神力が問われると思います。

ランを見ていると、SKY-HIはその優れたヴィジュアルをパフォーマンスに落とし込むことで、グループを牽引していくようなアーティストに成長することを期待しているように思いました。とはといえ、まだ業界に入ったばかりのひよっこのような存在。現代のSNSの力も相まって、人気度合いは目に見えて自分に迫ってきます。その時に、その波にのみ込まれないような絶対的音楽ファーストな精神力、メンタルが必要になってきます。

人を想う心や他者に気を配る心は素晴らしいことです。しかし、グループのアーティストである以上、あまり感情移入をしてしまうと、自分の中の軸がぶれ、納得のいくパフォーマンスはできないのかなと思います。全ては音楽のために、という信念が揺るがないような一本芯の通った覚悟、というものが必要なのかもしれません。

AAAはそういう意味でも、メンバー個々がグループを1番に思う心をずっと絶やさなかった、そんなグループ愛が精神力に現れていたように思います。
AAAに限らず、長く活躍しているグループアーティストそれぞれに黄金バランスのようなものが存在しているのでしょう。人数が多いグループほど、人気は分散されますが、人気が集中するパターンも多いです。グループ自体は知っていて、あの人は知っているけど、全員の名前は知らない、という世間の現象はどのグループにも起こっていると思います。


AAAは男女混合グループということで、男性オンリーのグループよりも界隈が荒れたり、メンバーへの誹謗中傷が多かったという印象があります。
全くもって不毛ですが、推しの違うファン同士が争っているところを何度も目撃しました。
もしそういったものを本人達が目にしていたとしたら...本当に申し訳ない気持ちでいっぱいですし、いちファンとして恥ずかしいですが、これが現実です。
一人一人の人間性が違うように、応援の仕方や愛し方を統一することはできません。

SKY-HIは自分自身が耳目を集める存在だからこそ経験した華やかだけではないアーティストの側面があったことも考えた上でアーティストを一番に守るべく音楽ファーストを掲げたBMSGを設立したのだと思います。
最終審査でも語っていたように、

"色んなドラマを背負った人が君たちを見ることになる。それぞれの人生を背負って色々な辛いことがあった人が、一瞬のきっかけを求めに君たちに会いにくることが、これから沢山増える。沢山の人の人生を劇的に良い方向に変える権利、力もあると同時に怖いほどに影響力もある。想像力を働かせて愛情を持って、誰よりも世界で愛されるグループになってほしい。誰よりも世界を愛するグループになってほしい。"

 自身が長いアーティスト人生の中で経験したであろう、ファンの心を動かす力を持つことになる未来を感じさせること、自身が身をもって体感した、しなくてもいい苦労はなるべくさせたくはない、という愛のもと、慎重に選んだ末のデビューメンバーだったのかな、と思います。

今回のトレーニーは言わば、ダイヤモンドの原石。
これからランだけではなく、レイ、ショウタ、ルイも磨かれていくのだと思います。付け焼き刃で世間に披露するのではなく、じっくりでいい。
デビュー組もそうです。これからも同じように切磋琢磨し、ひとつひとつの山を乗り越えて、アーティストとしての確固たる自信を持つようになるのでしょう。

この複雑な業界のしくみを知り、その上で音楽を愛し楽しみ、基礎を磨いて。次に彼らに会える時には、気持ちの面でも成長し、一段と見違えたアーティストとして世の中に出てくるのだと思うと、未来が楽しみになりました。
気長にSKY-HIチルドレンである、4人を待ちたいと思います。
未来は明るい。






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