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手描きなのにAI生成認定された件


1:AI疑惑のはじまり

某ダウンロード販売サイトから、「あなたのイラストはAI生成です」と言われました。

ことの発端は、某ダウンロード販売サイトから「AI生成作品ではないかとのユーザー様よりご指摘がございました。」(原文ママ)というメールからです。(ちょっと文章おかしい)
正直なところ、自分の絵はAI生成ではないので単なる問い合わせ程度と考えていました。
「AI生成ではありません」と回答したところ、「ではレイヤ分けされたPSDデータの提出をお願いします」となりました。

少々雲行きが怪しくなってきました。

自分はiPad proでクリスタを使って描いてます。
PSDへのデータ変換は可能なので応じることにしました。
ただ、作業中のデータ容量軽減のため、線画が出来た時点で下描きレイヤは削除しています。
(第一世代iPad proなので、いつでもストレージパンパン)
そのことを記載して、PSDデータを送りました。

2:PSDデータでの判断

実際に、自分がAI生成を使っているかと言われれば「NO」なのですが、まったく使っていないかと問われるとこれも「NO」です。
というのも、自分には背景を描く技術がなく、いままでは3DCGで作ったものをレンダリングして背景にしたりしてました。
AI生成という技術が出てきてからは、背景にAI生成を使っています。
これについては問い合わせの中で「背景のみでありましたらAI一部利用でのお取り扱いは可能とみられます」との回答を貰っています。

それを踏まえてのやり取りとなりますが、結果は

「(提示PSDデータが)AIを利用していないと判断できない内容となっておりましたため、当該作品の販売再開はできないものとなっております。」(原文ママ)

との回答。

どういうことなのでしょうか。

3:AI生成判断基準の問い合わせ

当然のことながら納得できません。
こちらの落ち度というか、判断材料として足りないと言われるかな?と思っていたのは、

1、下描きレイヤを削除した
2、背景を入れたものは統合したデータしかなかった

の2点だと思っています。

これはデータ送付前に説明しました。
この2点から「判断が困難である」との結果であれば、不本意ですが諦めることも考えていました。
※そもそも販売申請が通った作品のデータを、何か月も整理しないで保存しておくものでしょうか?

今後のこともあるので、判断基準を問い合わせました。
その回答は、

「AI作品につきましてはその都度、弊社複数人で協議の上総合的に判断しております為、明確な基準をお伝えすることが出来かねます事、ご理解いただけますと幸いです。」(原文ママ)

いかがでしょうか。

「俺がAIと言ったらお前のイラストはAI」と同義です。

AI生成作品の定義は「イラストの主体部分についてAIを利用している」です。
自分の中では、イラストの主体部分は「キャラクター絵」と思っています。
なので、「背景にAI生成を使った場合はNGですか?」の問い合わせをして、「それは許容される場合があります」と回答を得ていました。
今回の判断は、こちらが手描きだと主張しても「キャラクターイラストの主体部分についてAIを利用している」とされたということです。

そもそもなんですが、当初の販売申請の時は問題なしだったのに、なぜ他ユーザーから指摘があってから「AI生成と判断します」と言ってきたのか。
AIの審査基準が変わったのなら、その時点で該当するものが販売停止になるはずです。
どうしても「AIAIうるさいのがいるから停止しとくか」という印象を受けてしまいます。
(某A先生のC102での騒動があったので)

4:実験

判断するPSDデータが不十分だったというで一旦納得し、ここで抵抗しても無意味であると考えました。
そこで、現在作成している作品で、知らん顔して申請してみようと思いました。
すると、

「ご申請いただいた作品を拝見いたしましたところ、先日ご連絡させていただいておりました作品と同様に、作品の主体部分にAIをご使用いただいているものとお見受けいたしました。」(原文ママ)

と連絡がありました。
想定通りです。

今回は、レイヤを消したり背景を統合したりせずに、作成データを残してあります。
直ちにPSDデータを送りました。


5:自作が手描きであることについて

自分の恥を晒すようで嫌なのですが、手描きとして以下の特徴があります。

色塗りのミス

今のAI生成の技術は知りませんが、こんなヒューマンエラーみたいなものまで再現してくれるんですか?
あと目の虹彩部分は、こんなブラシストロークまで再現してくれるんですか?
さらに、こんな細かくレイヤ分けできるんですか?(なんかできるらしいですね)
人間味あふれる下手さだと思うのですが、いかがでしょうか?

6:結果

データを送って、待つこと22時間。
結果についてですが、

「PSDファイルを確認いたしましたので、上記作品の登録作業を進めさせていただきます。」(原文ママ)

でした。

つまり、今回のデータを審査した結果、AI生成ではないと判断されたということです。(は?)
下描きと背景レイヤがあるだけでOK?
キャラクターの線画も塗りも、指摘のあった3作とまったく変わらない構成なのですが?
主たる部分とはどこですか?

まさかの結果です。


7:延長戦

さて、新しく申請を行った作品は、PSDデータ審査のもと無事に通過しました。(してしまいました。)
そうなると、指摘を受けた3作品について再確認しなくてはなりません。

現在、

「指摘を受けた3作品も本作と同様の方法で制作されています。3作品についてのAI生成疑惑はそのままでしょうか?」

と、問い合わせ中です。

結局、こちらがAIでないと主張し、かつそれを証明するための資料を提出しても、某ダウンロード販売サイトが「ん~…これはAI」という判断をしたらAI生成作品となります。

正直、「この人痴漢です!」と言われた気分です。
「やってない!」と言っても、誰も信じてくれません。

こちらについては、結果が分かり次第報告します。

こちらについて、回答がありました。

「今作にて該当ページ全てのpsdをいただけたこと、またその内容をもとに社内で再協議を行い、該当3作につきましては販売再開とさせていただきました。」

やったぜ!

ダメって言われる覚悟はしていましたが、うれしい結果です。
そりゃAI生成ではないので当たり前といえば当たり前なのですが、判断基準が非公開のためAI生成と言われてもおかしくはありませんでした。

ひとまずクリアです。

8:今後について

今後、この某ダウンロード販売サイトに販売申請するたびに、同様のことが起こり却下される可能性があります。
また、作品を登録するたびに他ユーザーから「こいつはAI生成だ」と指摘を受け、そのたびに確認のメールが来て対応しないといけないのは苦痛です。

そのあたりも問い合わせ中なので、分かり次第報告します。

こちらについては、今後も同様なことがあるかもしれないので、その場合はPSDデータの提出を都度求めるとのことです。
これは信じてもらえてないというより、「今後のことは誰にも分からない」ということでしょう。
まったくないかもしれないし、次作でまた指摘されるかもしれない。
ただ、自分としては全PSDデータを提出すれば誤解は解けるということが分かったので、気分は多少軽くなりました。

私は3Dデッサンモデルを下地に、自分で描いています。
何時間もかけて描いています。
それに対して、出せるだけの説明資料を提出しても認められないのであれば、完全に販路を1つ失うことになります。
自分から広めておいてこう言うのはなんですが、某ダウンロード販売サイトからAI認定されたということは、「こいつはAI生成だ」と他者から見られるようになったと同義です。

プロじゃないし趣味なんだから別に売れなくていいじゃん?という考えもありますが、売れるという成果がやる気に繋がっているのは事実です。
それを封じられてしまうと、やる気が削がれるのは自明の理です。

指摘された3作品の名誉回復が望まれます。


9:おわりに

自分としてはAI技術を否定することはしません。
自分でも背景にAI生成を使っている通り、権利を侵害しない範囲で使用するのであれば有用なツールであると考えています。
AI技術の登場で、今回のような疑惑がかけられる事態も発生することとなりましたが、それはあくまで基準がまだ整備しきれていないことと、一部のAIを過剰なまでに嫌がる人の存在からなので、技術自体に悪い部分はないと思っています。
自分のような経験をする人が、今後出ないことを祈ります。

AI生成を指摘した人へ。
「AI生成だ」というなら、その確たる証拠を出すのは指摘した側です。
作成側が証明しないといけないのは、その証拠に対してのみです。
・・・AI生成ならもっと上手い絵になるやろがい!(本音)

※本件において、二次創作における著作権については言及していません
※二次創作における権利侵害の話ではありません


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