見出し画像

ママをスーパーに行かせてくれない保育園問題

仕事帰りにスーパーの買い物袋を持って保育園のお迎えに行った知人が、保育士さんに「保育園は、仕事の時間に子供を預かる場所なので、スーパーに行く前に、まずお子さんを迎えに来てください」と注意されたそうだ。

海外で子育てをしているフォロワーさんが保育園に子供を預けた時に「やっとカフェでゆっくりコーヒー飲めるわね!いってらっしゃい!」と言われたエピソードと対照的だったので、合わせてインスタに載せたら、ものすごい反響があり、私のところには、現役ママたちから「まさに、スーパーに寄って注意された経験があります!!」という声がたくさん寄せられた。

前回の、1泊2日の旅行で心に余裕が出来たことを書いたnoteは、読者に好意的に受け止めてもらえたようだけど、日常におけるママたちの「心の余裕」のための手段が非難される傾向は、まだまだ根強い。

これまた、身近なところで起きた話だが、打ち合わせが早めに終わり、浮いた時間で美容室に行った知人は「子供を保育園に預けて美容院に行ってる母親がいる」と区役所に通報されたそうだ。

なんでもかんでも「海外は進んでいる!!」と手放しで称賛するわけではないけど、子育てに関してはママが完璧を求められ、行く先々で罪悪感まみれになる日本と比べると、海外は大らかでいいなぁ…となることが多い。

子供のいる人ならわかってくれると思うけど、1人なら10分ほどで済む買い物も、子連れで行くと3倍くらいかかってしまう。ただでさえ夕方は忙しいから「子供を保育園に預けたまま、スーパーに行きたい」と考える親御さんは多いと思う。導線的に、会社→スーパー→保育園→自宅、がスムーズで、保育園に迎えに行ってからスーパーに戻るのは非効率な人もいるはずだ。

もちろん、保育園には保育園側の理由があるだろう。私のフォロワーさんの中にも保育士さんがいて「ただでさえ人が足りないから、お迎えは出来るだけ早く来てほしい!!」とか「仕事以外のことをしてきたのがあからさまだと嫌な気分になるから、せめて買い物袋を隠す努力はしてほしい」なんて意見を貰った。買い物袋を隠さなきゃいけないこと自体に私は息苦しさを感じてしまうけど、これはママ側だけでなく、保育士さん側にも余裕がないせいだと思う。(←保育士さんの待遇や職場環境については、明確に国が悪い)

ちなみに「子供はレジ袋を持ったママを見て、『お迎えより先にスーパーに行ってきたんだな』と感じますよ、少しでも早くおうちの人に会いたいのに、かわいそうです」という趣旨の意見もあったけど、これに関してもよくわからなかった。

家族のご飯を作るための買い物で少しの時間お迎えが遅れるのは果たして「かわいそう」なんですかね?ベビーシッターに預けるのはかわいそう、延長保育はかわいそう、お弁当に冷凍食品はかわいそう……育児の現場に「かわいそう」の呪いが多すぎる。意味不明な「かわいそう」の分だけ、親(主にママ)のプレッシャーは増えるのに。

スーパーなんてサクっと済ませば10分、15分程度のこと。15分お迎えが早いか遅いかが子供の情緒に影響するなら、この国で子育て中の人間は、全員仕事を辞めて育児に専念するしかない。この「かわいそう」だらけの育児って、グローバル基準で「過保護」では...?スーパーで「走り回らない!!」「お菓子買わないって言ってるでしょ、置いてきなさい!!」とイライラされるより、「お好み焼きの材料買ってきたよ~」とにっこり笑ってくれるママが迎えにきたほうが、子供も幸せでは?そして、保育園ってそんなに子供にとって「かわいそう」な場所じゃないはずだ。家庭と違う経験が出来るし、先生やお友達と時間を過ごすことも大事だし、「早く迎えに行った日に子供に、もっと遅く来て、と言われてガクッと来ました~」って経験がある親もいるだろう。子供と園の相性もあるだろうけど、15分程度遅くなるのが、子供にとってそこまでの苦痛になる園ならそもそも転園したほうがいい。

意見を送ってくれた保育士さんの中には「昔は、スーパーなんて行ってないでその分早く迎えに来てほしいと思っていたけど、自分が子供を持ってみて、子供を預けてる間に親をスーパーに行かせてあげたいと考えが変わった」というものもあった。

当事者になると、見える景色が変わり、意見が変わる人は多い。私もその一人で、たとえばスーパーのセルフレジは店員さんの負担が減るし、お店の人件費も減るだろうから、どんどん普及してくれ〜!!と思っていたけど、子育てを始めてからは、出来るだけ有人レジに並んでいる。セルフレジだと、両手を使って会計している間に、子供が走ってどこかに行ってしまうのだ。有人なら、右手で息子を抱えたまま、左手でカードを出せば済む。有人レジの存在、ありがたすぎる。

とにかく、私はこんなことが議論になる現状に割とうんざりしている。子供を保育園に預けたままスーパーに行った親が怒られない未来が日本でもどうか実現して欲しい。

この記事は、特定の保育園や保育士さんを責める意図はない。ただ、働くママたちが見ている景色を、知らせたくて書いた。

そもそも「スーパーの袋を持って保育園に行くと怒られる」という事象が、一緒に子育てしているはずのパパにさえ見えていない気がする。同じことをパパがやっても「夕食の買い物も保育園のお迎えもして、いいパパね~」となり、評価される可能性すらある。

子育てにおいて、常にママは減点方式、パパは加点方式のこの現実は、向こう何年かで変わるものではないかもしれないけど、パパには見えていないママ側の景色をこのnoteで知ってくれる人がいたら嬉しい。


noteの♡マークはnoteにアカウントが無い方でも押せるので、読んで好きだったものや、また読みたいものには、♡を押していただけると嬉しいです。いいねを励みにして更新しています。

記事が気に入ったら、シェアやいいねをしてもらえると嬉しいです。