見出し画像

ミュージカル『スリル・ミー』初日感想:成河・福士誠治ペア

「自分の頭で考えよう!」というお話しに初日はみえました。

最初に「資本主義の病」というキーワードを渡されて「資本主義・・・?」って言葉がずっとピンと来てなかったんです。

「社会派」や「資本主義」は知ってはいるけど、日常では耳慣れない言葉なので、まだ少し自分のものになっていなくて。

今回の成河さんと福士さんのスリル・ミーをみて、あぁ、資本主義の病って突き詰めると「自分の見たいものしか見ずに、主体性を手放して、色んな価値基準やジャッジを自分以外のものに委ねてしまう」って事なのかなぁと。言葉にするのは、もう少し時間が欲しいし、まだちょっと違う気もします。

"資本主義"独特の問題というよりは、ほかのことでも起こっちゃう認知の病に感じました。

"私"が主体性を明け渡しちゃった相手が"彼"
"彼"はそれを分かってて"私"を都合よく利用しちゃった人・・・みたいな。

何かの感想を書く時は、色んなラベルを貼るので毎回、ドキドキします・・・・・・ただ、今この時のまなざしでみえたものを、一旦、留めておく付箋のようなもので。

ここから引っ剥がされて、改めて貼り直すのが凄く楽しみでもあるんです!!

3/8追記-------------------------

裕福な家庭で育った特権階級のおぼっちゃまの非行というキーワードでやっと資本主義の病と繋がりました。

だったら悪事をお金で解決出来た、小さな歪んだ成功体験が過去にある気がします……。

悪い事を倫理観や法律ではなく、お金で裁定した経験があったら、自分たちは他の人とは違うって自意識をこじらせて、エスカレートした可能性があるかも…!

その想像でいくと、それを許した親御さんやお金に目が眩んだ周りの人にも罪がある資本主義の病だなぁと。

-------------------------3/8追記ここまで

成河さんの私と福士さんの彼の関係

「"●●"と"○○"の関係みたい」と何かに例えるなら、それに対するフォローも、文字数を割いて書かせて欲しい!!笑

突き詰めると自分たちも含めてブーメランが来る危険な香りがします・・・ス、スリル・ミー・・・!(鳴き声

2018年版は言いたいことを言い合っているだけの、お互いの話しを全然聴いていない、"分かってない"同士のパワーゲームにみえて。

2021年は会話も出来る二人で、"分かってて"私がズルズル彼に引きずられた結果、"分かってて"私を振り回した彼がしっぺ返しを食らって、どっちも幸せになれなかった物語にみえました。

別名保存できる新しいスリル・ミーでまさにリクリエイションでした・・・。

途中、私が「言われたとおりにやっただけなのに、なんでこんな事になっちゃたんだろう・・・(グスン」みたいな顔をしていたから、余りに哀れで客席でホロリとした後に

「いやいやいや言われたとおりにやっちゃダメ!!??しちゃいけないことってあるよねーーーー!!???」

って思わず、心の中でハ○イチ澤部さんバリにツッコみました。

じゃあ、自分で考えずに彼に委ねていた私だけが悪いかっていうと、そんな事もなくて。

私がどんな事をすれば喜ぶか分かっていて、それを与えて利用していたのは彼なんですよね。

一回目のキス、水音がすごくてドキッとしました・・・言葉で散々振り回して、キスだけで納得させる説得力・・・!

でも彼は彼で、自分という存在のジャッジを父親(彼の中での強い存在)に委ね過ぎて不安定だった訳で・・・うっ、負の連鎖~~~!!

2人はすごく良いテンポで会話をしていたから、違う選択をすれば、もっと良い関係を結べる二人ではあったんじゃないかなと。

成河さんの私

自分のアイデンティティを"彼のために尽くす自分"にしていて、ほんとに何でもしてあげちゃう。そこに"共犯者"なんてお墨付きを貰ったらこれほど嬉しいことはなかっただろうなと。だって僕たちは特別な関係だもの!みたいな。

でも何となく、私と彼のベクトルの質と強度が違う事は、"分かって"て気付かないフリをしていそうな気がしました。もしかしたら本当に気付かないままで、途中でやっと「裏切られた!」って思ってるかもしれないんですけど。

傾けた心・・・共犯者という関係に見合った、"自分が大好きな彼"からの見返りや承認…自分だけの彼で在ることを強く求めて、最後あんなことをしたイメージ。

2018年 ♪M6.スリル・ミーの後の私は、とても満ち足りた声と表情だった気がしたのに、今回はなんか寂寥感のある何とも言えない雰囲気で、観ていてとても気まずかったです・・・だから、何となく気付いてそうかな・・・というか。

割と何処にでもいそうな人だったから、本っっっっっ当に♪ M8.戻れない道が切なかった・・・・・・。

途方に暮れた悲しみや、理想の場所のキラキラした感じ、永遠に焦がれる気持ちとかグチャグチャしたものが、声・表情・たたずまい、あらゆるものから、どっと流れ込んで来てポロポロ泣いてしまった………身から出た錆だけど、もう本当にレイさん何でこんな事になっちゃったんだろうね???

遠くからなら冷静に見られるけど、目の前にいたら感情を受けてオロオロしちゃうのが人情ってもんですよ!!(バンバンッ

リアリズムじゃなくて、リアルを目指したい(?)的な言葉どおり、すごくお客さんを信頼した引き算にみえました。

引き算もしているのに、曖昧な余白をとても雄弁に描いていて、"34年"、"前(夏休み)にもそんな事があった"あたりの情報量が異様に多かったです・・・。あと「二人の日々・・・なんだったのか」の「・・・」の間ですよ・・・あの溜め・・・!!あれだけで日々や色んなものが浮かび上がって来るかのようで!!(解釈

引くからこそ「99年」「永遠」の鮮明さがより際立っていた気がします。「永遠」なんてものは存在しないから、逆に恋い焦がれるのかなぁと。

「永遠」や「ずっと」って、個人的には幻だと思っていて。あぁあでも、心からそれを信じている人を否定するつもりは全然なくて、スタンスの違いというか・・・私は変化があるから愛おしい派なんですけど、いつまでも変わらないものが愛おしい人もいますよね!!(おろおろ

2018年公演の私は、34年前と今を交互に定点でタイムスリップした印象があって「すごい!まほうみたい!」って驚いていたんですけど、2021年版は”誰も知らない私の34年"の経過が確かに存在していた気がしました・・・すごかった・・・。

ただ34年の歳月を持ってしても、私に殺人の反省を促す事は出来ていないように見えました。反省って難しいですよね・・・あくまで周りが納得するための側面が強い気がします~(頭を抱える

当事者意識が薄くて、私も一緒にやったことなのに、殺人もどこか他人事みたいで。どちらかというと彼を喪ったことの方を、未だに引きずっているようにみえました。そして懲りてない・・・!!!

福士誠治さんの彼

2018年の彼は、見栄っ張りで常に装っている頑なに心を閉じた人なイメージで、そこが凄くミステリアスで蠱惑的な色気と侵しがたい品に繋がっていた気がして。

2021年の今回は魅力的だけど高慢で意地悪で、それでいて実は素直な人にみえました。彼に素直さを感じるのってとっても面白い・・・もしかしたら2018年と無意識に比較しちゃって、そう感じているだけかもです。

M6.スリル・ミーの歌が2018年と全然違ったんですよ・・・2018年は彼を覆う重たい蓋があって水槽の中で酸素を失って、藻掻きながら溺れているみたいでした。

今日は力いっぱい空気を吸って全力で私に拒絶を表明していて、素直にみえる彼だからこそ、すごく明確に「必要なのはそんな事じゃない」「"今は"ダメだ」ってヒントをくれていたようにみえました。

「じゃあ今、彼にとって必要な事は何なのか」を彼と私が一緒に考えられていたら、未来は違ったんじゃ・・・(うつろ

"何なのか"は、その時、見つからなくてもきっと良いんです。誰かと一緒に探せることが大事というか。

「何を知りたい?」で言うと、彼にとっては"何が"必要だったのかなと・・・。

"S"はサービスの"S"ともいうから、彼自身は相手が望むことをよく知っている人なのかなぁと。だからこそ、みんな彼に夢中なんだろうし。

私が欲しいものをくれる時の彼が、語り口も含めて本っっっっっ当に魅力的だったんですよ・・・・・一緒に行った初見の子が「♪スポーツカーが凄く良かった!」って話してくれて!そう!すごく!!!一瞬垣間見せる闇がとても怖かったけどそれ以外はとても好青年で素敵だった!!!!

裏返すと、彼は相手の望みによく気がつくのに、誰も彼の望みに気づいてくれないから、より一層、孤独なのかもしれない・・・。

ニーチェの超人も言ってしまえば、私と同じで、自分の見たいものしか見ずに、良きように解釈してるんだろうなぁと。でも、みんなも自分も似たところはある気がします!!!!これを感想で書く矛盾!!!!!

リアルでも作品でも男性陣をみていると、息子がお父さんに認めて貰えないって、やっぱり心理的にすごく大きい事なんだろうな、というのは何となく感じて(シン・エヴァンゲリオンとかもうなんかすごかった・・・

そういう意味で、彼のSっ気は欠落を満たすために、私が何処まで許してくれるかを試して、いっときの満足感を得るための振る舞いにもみえました。

彼が相対的に強く在るためには、弱そうな私の存在が側に必要だったけど、幼い私に承認されても、彼はちっとも満たされない、みたいな。

彼も誰でも良かった訳じゃなくて、私なら何だかんだ話しが通じるし、気が利いて、頭も良くて彼としても認めている部分があるから一緒にいた気もします。

彼は魅力的な人だし、これから何にだってなれるのに、なんであんな事に・・・(頭を抱える

2021年の彼の歌は、旋律から言葉の1つ1つが浮かび上がって、本当に話しているみたいで…………すごく……………素敵でした…………再演って1人の俳優さんでこんなに違った魅力が体験が出来るんですね……………………(噛み締めている

もう細かい好きなところを書き始めると止まらないので、今度、お休みが出来たらじっくり書きたいです。あとこの流れで好き!ってすごく書き辛い!!!!!笑

三人目の演者・ピアノ

松岡さんと山崎さんペアのピアニスト・篠塚さんがとってもニュートラルなピアノに聞こえて、スリル・ミーの楽譜から受け取ったイメージに一番、近い音だったんです。

まさに一発目のまっさらな今だけしか出ない音!な感じで。

こんなにピアニストさんで音のイメージが違うとは思わなくて。成河さん福士さんペアの落合さんのピアノもとっても楽しみでした!

2018年柿澤さん・松下さんペアで聴いた落合さんのピアノは、凄く音の1つ1つが際立つ煌めきのような印象があったので、今回も、瞬くようなピアノで、あーー!落合さんの音だ!!とテンションが上がりました。

フォロワーさんも落合さんの音を寄り添う音とおっしゃってたんですけど、朴さんたちとはまた違う在り方にみえて、とっても良かった・・・。

自分の頭で考えたいか

私の最後の表情や・・・ふだん色んな人を見ていて、みんな実は、望んで自分で考えないようにしている人も多いんじゃないかなぁと。

自分で考えて、自分の意思で行動したら、言い訳したり、何かのせいに出来ないじゃないですか。それは色んなものが磨かれるための大事な痛みだと思うんですけど、その痛みがそもそも嫌だ!って人も多いんだろうなと。いやなるべく痛くない方が良いな!とは思いつつ。

これは人それぞれの特性でもある気がしていて、自分で考えるのが元々好きな人と、他のものに託すことで自分らしさ(?)や満足を得られる人は、スタートラインが違う気がします。

今どっちにいたとしても、その人や周りの人が幸せだったら、それもそれでとても素敵だと思うんですよ。

ちょっとお互いの立ち位置が違う所から、何かを投げかけるために、みなさん演劇や作品、エンターテイメントに種を忍ばせて届けるんだろうなぁと。もちろんそれだけじゃなくて、色んな成り立ちのものがあるとは思うんですけど。

前回のスリル・ミーから色んな作品の感想を書き続けて、そんな事を思いました!まだ初日の感想なので、ここから印象が変わるのかな!すごく楽しみです。

成河さんと福士さんのスリル・ミーは本当に楽しみ過ぎて………。この目で観るまでは信じられなくて、ソワソワしながら初日を迎えたんです。

劇場に入って、あのゾクゾクする世界に出会った時にやっっっっと感激が込み上げて来ました。本当に幕が開いて良かった!!!!!!

あと幕が開くのがこんなに楽しみな作品、劇場、スタッフさん、俳優さんと出会えたことも、とっても幸せです〜!!素敵な再会を有難う御座います!!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?