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検証CLP問題 クラファン開始後も立民の支援継続 終了申入れは2020年8月か
インターネット報道番組を制作・配信していたChoose Life Project(CLP)が立憲民主党から広告会社等を経由して資金提供を受け、その事実を公表しないままクラウドファンディング(CF)を行っていた問題で、CLPが支援終了の申入れをしたのはCF開始から3週間以上たった2020年8月ごろとみられることがわかった。支援期間は同年3月分〜8月分だった。立民の福山哲郎前幹事長の議員事務所が筆者の取材に回答した。
ただ、CLP側は支援が8月分までだったことは認めたが、申入れ時期について明言を避けた。
CLPは同年7月11日から「公共メディア」「市民スポンサー型メディア」と掲げてCFをスタート。最初の2週間で目標を大きく超える1800万円以上が集まったが、その後も約1ヶ月間、支援が継続していたことになる。
CLPはこれまで「立憲民主党から資金提供を受けていた当時は、CLPをまだ法人化していない状況」だったと説明。福山氏も「自立できるまでの期間だけ」支援を行ったとコメントしていた。
ただ、支援がいつまで続いていたのかや、終了の申入れ時期については明確にしていなかった。
このため、立民から支援を受けていたのはCFを始める前のことで、CFを始めた後は支援を受けていない、とも受け止れる説明だったが、実際はそうではなかった。
立民は1月12日に調査結果を発表。CLPへの支援目的の支出は「違法ではなかったが、適切ではなかった」と見解を示し、調査を終了した。
CLPは弁護士らに調査報告書の作成を依頼しているが、公表時期は未定。
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福山氏 8月に「自立できる資金が集まった」と認識 支払の遅れは「党側の事情」
CLPは2020年7月25日、「クラファンを始めて2週間が過ぎ、頂いたご支援は、2431人の方からおよそ1850万円となりました。目標の231%にもなるご支援です」と報告していた。
すでに1800万円以上も集まっているとわかっていながら、なぜ福山氏はCLPへの支援を8月分まで続けることにしたのか。
この点について、福山氏の議員事務所は「クラウドファンディングの資金が2020年9月以降に入るので、2020年8月をもって支援を終了してもらいたい旨申し出があり、受諾したものです」と回答した。
CFで集められた支援金は、募集期間が終了してから一定期間の後、入金される仕組み。CLPが実施したCFの募集期限は9月10日だった。実際の入金が9月以降になるとの説明を受け、8月分まで支援を行ったということだ(佐治氏は、CLPへの実際の入金は10月末だったと説明)。
立民が広告代理店に支払いを行ったのは8月7日〜10月9日だが、このタイミングになった理由について、福山氏は「実際には随時請求が来ていたものの、党側の事情で支払いが9月・10月となった」と説明。立民の現執行部は記者会見で、最後の請求は9月1日と明らかにしている。
CLPは、2020年3月ごろから立民の福山氏から支援を受けるとの確約を得たうえで、事前に番組制作費を制作会社から受け取っていたとみられるが、立民はその制作費を後で広告代理店を通じて補填した形だ。
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福山氏は、CLP側からCFの事前説明はなかったと説明。8月ごろにCLPから連絡を受けた時点で「自立・独立して運営できるだけの資金が集まったと認識」したという。
そうであれば、CFを募っていた7〜8月分の支援を行わないという判断もできたはずだ。
この点について、福山氏は「実態としては、自立できるまでの期間だけ番組制作を支援した」と強調した。
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佐治氏、8月分まで支援受領を認める一方、申入れ時期の明言避ける
CLP共同代表の佐治洋氏も、筆者の取材に対し「8月の番組制作費について資金提供を受けた」ことを認めた。
支援終了の申入れ時期について、当初「CLPは2020年7月10日に法人化の手続きを取り、株式会社CLPとなり、クラウドファンディングの準備に入りました。そして、このタイミングで立憲民主党に資金提供の停止を申し入れました」と回答していた。
これは1月6日付コメントと同様、CFを開始したタイミングで資金提供の停止を申入れをしたとも受け取れる内容だった。
しかし、福山氏が資金提供停止の申入れがあった時期を「8月ごろ」と筆者に回答したことを指摘すると、後日「資金提供停止の申し入れの日付は、いま精査している途中ですが、6日付の「説明文」に書かせて頂いておりました通り、クラウドファンディング開始後に申し入れをしたという認識でおります。詳細は、報告書の結果を待ってご回答させていただきたく思っております」との返答がきたが、申入れ時期の明言を避けた。
「報告書」の公表時期については、佐治氏も調査対象者の1人であるため、現時点ではわからないと答えた。CLPはこの問題の調査報告書を外部の専門家(弁護士や研究者など)に依頼する方針を明らかにしたが、本日(1月23日)時点で詳細は明らかにされていない。
立民が広告代理店に支払った時期が9月以降であったことについて、佐治氏はInFact・立岩陽一郎氏が報じた福山氏の回答を受けて「初めて把握した」という。
いずれにせよ、CLPがCF開始後の8月分まで制作費を受け取っていた事実は変わらない。
佐治氏は1月6日付コメントで
政党から資金援助を受ける形ではなく、市民の手によって支えられるメディアこそが求められているという実感から、2020年7月に、CLPの理念をまとめ法人化し、「公共メディアを作る」としてクラウドファンディングを開始しました。その後、立憲民主党に資金提供の終了をお願いし、終了しました。
と、CFの開始時に新しいメディアの理念とともに、立民の支援を受けない方針を固め、資金提供終了の申入れをしていたかのように受け取れる説明をしていた。
だが、実際は、CFを開始する時点で、ただちに立民側に申入れをしておらず、支援を受けない方針を固めていなかった可能性が高い。
しかも、CLPはCFの開始当時、「手弁当」で番組制作・配信を行っていたと説明して支援を呼びかけたことも明らかになっている(冒頭写真)。
これは立民の支援により制作費の前払いを受けていた実態と異なる説明を、支援者に行っていたことを意味するのではないか。
なぜ、CFの開始時点で、以後は一切支援を受けないという判断をしていなかったのか。「手弁当」と説明して寄付を募ったことに問題はなかったとのか。こうした疑問点についても尋ねたが、佐治氏からは「報告書の結果を待って、ご回答させていただきたく思っております」との返答だった。
(回答があり次第、追記ないし続報します。)
佐治氏・福山氏の主な回答
佐治氏への質問と回答
(佐治氏の1月6日付コメントでは立憲民主党の支援を受けたのは「2020年3月から」とされているが、福山哲郎氏は立民が広告代理店に支払ったのは8月〜10月と説明しているのは、なぜか?)
当時、CLPは任意団体であり、広告代理店との直接契約が難しい状況でした。そこで、CLPの番組制作にかかる諸経費全般、また各業務委託先への支払いは、制作会社にお願いしていました。 立憲民主党が、広告代理店に支払いをした時期については、今回、質問を受けて初めて把握したところです。
私の理解といたしましては、すでにChoose Life Projectの配信は動き出しており、制作会社には、私から当該決定に基づいて、制作会社と広告代理店の間での契約締結以前に、番組制作費を先払いしてもらえるようにお願いし、了承して頂いていました。 つまり、ご指摘の件ですが、CLPが番組制作費として資金提供を受けていた時期は、2020年3月分〜2020年8月分までとなります。
(2020年8月はすでにクラウドファインディングで1800万円以上は集まっていたのに、支援を受けたのはなぜか)
2020年3月以降、毎月私への報酬と番組制作にかかる諸経費などの支払いは制作会社にお願いをしていました。支払いの期間は3月〜8月です。したがって、8月の番組制作費について資金提供を受けたのが最後で、9月、10月の番組制作に対する資金提供はありません。
また任意団体だったCLPは2020年7月10日に法人化の手続きを取り、株式会社CLPとなり、クラウドファンディングの準備に入りました。そして、このタイミングで立憲民主党に資金提供の停止を申し入れました。クラウドファンディングで集まった資金の着金以降(2020年10月末)も、資金提供を受けた事実はありません。
(立民に資金提供停止の申入れをしたのは、クラウドファンディングを開始する7月11日より前だったのか。申入れをした日付を教えてほしい)
資金提供停止の申し入れの日付は、いま精査している途中ですが、6日付の「説明文」に書かせて頂いておりました通り、クラウドファンディング開始後に申し入れをしたという認識でおります。詳細は、報告書の結果を待ってご回答させていただきたく思っております。
(7〜8月分も支援を受けたのは1月6日付コメントと矛盾するのではないか、それまでの制作活動は「手弁当」だというクラウドファンディング開始当時の説明は誤りだったのではないか、立民に支援金を返還する考えはあるか)
報告書の結果を待って、ご回答させていただきたく思っております。
福山氏への質問と回答
(8月7日に広告代理店への1回目の支払いが行われているが、その時点でCLPのクラウドファンディングで1850万円以上が集まったいたことは知っていたか)
Choose Life Project からは、クラウドファンディングの資金が 2020年9月以降に入るので、2020年8月をもって支援を終了してもらいたい旨申し出があり、受諾したものです。
実際には随時請求が来ていたものの、党側の事情で支払いが 9 月・10 月となったものです。
(福山氏の1月6日付コメントは、立憲民主党からの資金提供はあくまで CLP が「公共メディア」として理念を固め、自立できる資金を得る前のものだったとの誤解を与えた可能性はないか)
支援をする時期と支払い時期とに一定期間の間が開きましたが、実態としては「自立できるまでの期間だけ番組制作を支援すること」としたとおりです。
(支援を8月分で終了する旨の申し出を受けた日はいつか。CLPが「公共メディア」としてクラウドファンディングを始め、自立できるだけの資金が集まる見通しが立った後も7・8月分の支援も行っていたと理解してよいか)
CLPがクラウドファウンディングを開始したことについての詳細な報告は、事前に受けていません。
8月頃になり、CLPから「9月以降になったらクラウドファンディングのお金が入るので、8月で支援を終了してもらって良い」旨の連絡があり、自立・独立できるだけの資金が集まったことを認識しました。
その連絡をうける形で、8月分までで支援を終了することとしました。
その後、実際に広告代理店から党に請求が来たタイミングと、党の支払いタイミングにずれがあったことから、当初ご回答したとおりの時点で、党が広告代理店に支払いをしました。
これまでの経緯
2020年
3月〜 CLP、立憲民主党・福山哲郎幹事長から支援を受けることとなり、3月分から制作会社を通じて制作費を受け取る(8月分まで合計約1500万円)=CLPの説明
7月10日ごろ CLP、法人(株式会社)設立
7月11日〜 CLP、クラウドファンディング(当初目標額800万円)を開始
7月12日 初日で目標額を超えたことを報告
7月25日 クラウドファンディングで1850万円に達したと報告
8月ごろ CLPから立民側に8月分までで支援終了の申入れ=福山氏の説明
8月7日 立民、広告代理店に447万5390円支払い=福山氏の説明
8月14日 クラウドファンディングで2000万円を超えたと報告
8月26日 ネクストゴールを3000万円と発表
9月1日 広告代理店からの請求(最後)=立民の調査報告
9月4日 立民、広告代理店に563万7090円支払い
9月10日 クラウドファンディングは3147万8500円に達し、終了
10月9日 立民、広告代理店に251万1420円支払い
10月9日 立民、広告代理店に238万4370円支払い
10月末ごろ クラウドファンディングの資金がCLPに入金=CLPの説明
2021年
12月29日 出演者ら3名にCLPの佐治洋共同代表らが大枠で立民からの資金提供を認める=津田大介氏の説明
2022年
1月5日 出演者ら5名が抗議声明
1月6日 CLPの佐治洋共同代表が経緯説明と謝罪のコメントを発表
1月6日 立憲民主党の福山哲郎前幹事長がコメントを発表
1月7日 立憲民主党の泉健太代表が記者会見で「知らなかった。少なくとも現執行部では行っていない」とコメント。調査開始を指示
1月8日 福山氏が資金提供した時期について回答=InFact・立岩陽一郎氏の取材
1月9日 CLP、番組制作配信を当面休止し、外部専門家に報告書作成を依頼すると発表
1月10日 津田大介氏がポリタスTVで経緯の詳細を説明
1月12日 立憲民主党の西村智奈美幹事長が調査結果を発表
1月14日 立憲民主党の泉代表「わが党の説明は終了した」とコメント
1月21日 立憲民主党の泉代表「説明することがあれば福山氏が説明」とコメントし、第三者調査を否定
津田大介氏が公表した経緯
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参考記事
・立憲民主党から政治資金を受け取っていたChoose Life Project 何が問われているのか(2021.1.8 立岩陽一郎)
・Choose Life Projectへの資金提供で立憲民主に政治資金規正法違反の疑いも(2021.1.9 立岩陽一郎)
・立憲のメディア資金提供問題 立憲の説明と実際の支払い時期は異なるとメディア側が証言(2021.1.17 立岩陽一郎)
・メディアの「独立」と「信頼」を、Choose Life Project、読売新聞と大阪府から考える(2021.1.8 奥村信幸)
・「Choose Life Project」への立憲民主党資金提供は何が問題なのか(2021.1.7 鎮目博道)
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