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非連続的成長をする企業の3つの特徴

急成長する企業の特徴はたくさんありますが、周りの非連続な成長を遂げているスタートアップから感じた特徴を、あえて3つに絞ってみました。

1. 終始一貫されたユーザ視点

顧客第一主義はよく言われることですが、上手くいっていない企業を見ると、それが中途半端に実施されています(もしくは掲げられているだけの場合も)。

また、ただでさえ事業を創る者は盲目になりやすいです。想いが強すぎて、自分の正しさを裏付ける情報ばかりを拾い、反する情報を見落とします。ユーザを理解するという意識だけでは、日に日に薄れていきます。

その結果、使われないプロダクトや機能が生まれます。一時は上手くいったとしても、ユーザの気持ちは時代と共に変化します。常に理解を深め続けなければ、その変化についていけなくなります。

上手くいっている企業では、ユーザ視点が徹底されています。

圧倒されるほどに、誰の気持ちが中心かがはっきりしています。それを環境で示すために、ベゾスのように会議の際に空席のユーザ席を設けている企業もありました(オンライン会議でも「ユーザ」という名前のアカウントで一席設けていました)。

こちらの記事で強調しているのが、「多くの企業では、理念が実施できていない。」、もう一つが「顧客は常に不安を抱えている。そんな顧客を喜ばせたいという強い想いが、顧客のために創造し続けることへとAmazonを駆り立てている。」の二つです。

多くの企業の行動指針では、表現はまちまちですが顧客第一主義が掲げられています。弊社のバリューでも、「釣り人の課題を捉える」ことを掲げています。

しかし、多くの企業ではそれが徹底されていません。言うは易く行うは難しの代表例かもしれませんが、懸命に実施して実現できないのと、掲げているだけで行動が伴っていないのとでは雲泥の差があります。

プロダクトの全ての意思決定が、ユーザへの深い理解のうえになされているのか。企業の都合によりなされているのか。その度合いは企業により差があります。非連続な成長を遂げている企業では、例外なくユーザの課題が解像度高く把握されています。

また、記事にあるような「顧客を喜ばせたいという強い想い」を持っています

ユーザ視点に立つ目的が何なのか。それは顧客に喜んで欲しい、困っている人たちが笑顔になってほしい、という純粋な欲求です。その想いが最適な解決手段を生み出しています。

その源泉がない状態で、ただ「ユーザ視点になろう」と言っても枯渇していきます。

企業の存在意義は何なのか。組織の存在理由を明確に定義し浸透している企業が、終始一貫されたユーザ視点を実現できていると言えます

2. 自分の想いへの諦めが悪い

これは一見先ほどとは真逆のように聞こえるかもしれませんが、急成長している企業(経営者)は、本当に諦めが悪いです。

理想の世界を実現するために、あの手この手で挑戦しています。

おそらく多くの人は、何度か壁にぶつかり、まだ全然届かない。実現には程遠いと感じると、萎えると思います。しかし急成長を遂げている経営者は、そんなことではめげず、常に次の手を考えます。

エジソンではないですが、この手がダメだったと判明したことを良しとし、その結果から次の最適な手段を仮説立てします。

そうこうしているうちに、徐々に実現に近づいていき、ついにはその壁を乗り越えていきます(そして次へと走り続けます)。その諦めの悪さが文化になっている企業は、非常に強いです

急成長する企業では、諦めの悪さが経営者からメンバーに伝染しています。

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メンバーが諦めそうになった瞬間に、経営者がどんな言葉をかけてあげられるのか。その言葉がけにより、次の行動が変わることがあります。安西先生ではないですが、メンバーの特性や気持ちを理解して、対話ができる経営者が組織を強くしていきます。

生きる最後まで諦めずに悪あがきしたほうが、人生きっと楽しいです。

3. 無茶振りが頻出し克服している

これは1と2に関連するものですが、ユーザのために高い理想を実現するためには、現実との差を埋めなければいけません。

その際、今の実力でマイペースにできる範囲のことをやっているだけでは、その実現が100年後200年後とかになってしまうこともあります。しかしそんなにも待ってはいられません。

もちろん世の中には、世代を跨いで実現する、長期的な事業や施策も存在するので、その限りではありません。大きな志ほど、一世代では実現できないことが多いです。

一方、企業が急成長を遂げるには、ある程度のスピード感で、実現できる範囲を増やし続けなければなりません。

そう考えると、理想と現実のギャップを埋めるために、度々無茶をしながら乗り越えていく場面が出てきます。故に急成長するスタートアップでは、この無茶振りが必ずあります。

逆に無茶振りではない状況というのは、
a 設定された目標(タスク)がそれほど高くない。
b 目標が高くても、その人に実現能力が備わっている。
c 目標が高くても、上役により事前に整えられている。

このいずれかだと考えられます。

aは、スタートアップではあまり相応しくない目標設定です。低い目標ばかりを熟しても、非連続な成長は起こりません(緩やか成長を理想としている企業もあるため、決してNGという意味ではありません)。

bは、理想です。しかし卓越した人材ばかりが勢揃いしている企業は稀有です。殆どの企業では、事業や企業の成長とともに、(経営者も含めて)メンバーも成長してできるようになっていきます。

cは、一見良い状態のように見えますが、これは仕事を振る側に負荷が掛かっている状態と言えます。

無茶振りを因数分解すると、「納期」「品質」「資源」のいずれかが厳しい状況であることが多いです(中には最適な解決手段が思いつかない、本質的課題を捉えられないなどの根本的な問題も発生しますが)。これを事前に上役が整えるということは、厳しい状況を上役が可能範囲に解決して渡していることになります。

悪くはありませんが、この場合は長期的な企業成長は見込めません。なぜなら、メンバーの成長が阻害されているためです。

前述したように、強い組織はメンバー全体が諦めの悪い状態です。その諦めの悪さが成長を促します。そう考えると、何か無茶だと感じるような山に登っていないとその状況を起こり得ません。

また、それを事前に整えて渡す時間があるなら、上役はもっと別のことに(上役にとっての無茶に)時間を使ったほうが良いです。そのほうが企業の成長が見込めます。

新しいことに挑戦するときは、必ず無茶が発生します

これはどんな成長企業でも起こっており、それぞれのメンバーがその無茶を乗り越えることにより事業と人が成長していきます。「納期」「予算」「資源」の変数を自身でマネジメントしながら、目標達成していく必要があります。

上手くできない人のパターンでよくあるのが、弄れる変数を弄ろうとしないことです。それにより詰んでいきます。もちろん場面によって、納期は絶対動かせない。予算はこれ以上増やせない。などはあります。

しかしどれも動かせないという場面は、逆に少ないです。

故に、無茶振りの際は「今の場面ではどれが動かせる変数なのか?」をまず見極めることが大切です

そうすることにより、その変数を動かして実現する手立てを考えることができます。これができる人は、ある程度の難題が降ってきても論理的に導くことができます。

「諦めが悪い文化は経営者から伝染する」と先ほどお伝えしましたが、これも同様です。まずは経営陣が無茶を克服できなければ、メンバーもできません。

多くの企業文化は、経営陣の背中を見て育まれていきます。

これら3つの特徴は、企業の業績に影響を与える大きな要因です。すべてが徹底されている企業は、必ず成長しています。企業の成長要因には色々なことが言われますが、シンプルにこの3つを実施(克服)すれば、最も成功確率が上がると感じます。

人生の幅を広げたかったら、無茶振りをどんどん受けてみると良い

先日、元陸上選手の爲末大さんがこんなことを仰っていました。

これは興味深い考察だと感じました。

たしかに自分の人生を振り返ってみても、思い当たる節があります。偶然の出会いや出来事により、予想できないことや今まで経験していなかったことができ、視野が広がった経験が多々あります。

自分のやりたいことだけをやっていると、次第に範囲が狭くなるというのは、自分では気づかないことです。

自立させるために、子供に自由に選択させていたら自分の心地よい範囲から出なくなるというのは、子育てをしている身として考えさせられます。そしてこれは、企業組織でも言えることです。

そう考えると、合理的な出来事ばかりではなく、非合理な出来事も常に起こることにより、人生は彩豊かになっていくのかもしれません。その中で人との偶発的な出会いや、その人たちから与えられる内容は、天からの恵みだと捉えることもできます。

人生を豊かにしたいと考えている人は、周りからの無茶振りをどんどん積極的に受けてみるのも、一つの手かもしれません。


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