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『いちばんやさしい音声配信ビジネスの教本』書籍紹介レビュー

はじめに

本記事では2020年12月に発売された書籍『いちばんやさしい音声配信ビジネスの教本 - 人気講師が教える新しいメディアの基礎』について紹介します。

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本記事の対象者は「本書籍の購入を検討されている方、もしくは音声配信ビジネスに興味がある方」になります。

本書籍で構成されているChapterごとに感じた事を綴りますが、一部の紹介になりますので、詳細は実際にご購入いただければと思います。

先に私の書籍満足度をお伝えしますと 4.5 点(5点満点)です。音声メディアに関する情報が少ない中、体系的に様々な情報をまとめていただき、大変参考になりました。特に多くの企業が音声サービス・アプリなどを開発している中で、それぞれの特徴を一覧で比較確認できた事は、とても役立ちました。

読もうと思ったきっかけ
『音声コンテンツが注目されている』『次に来るのは音声メディアだ』などという情報は耳に入っていましたが、本格的に利用してみようという状態にはならず、静観しておりました。一方、周囲でも取り組みを始めたビジネスパーソンも増えた事、個人的にコンテンツマーケティング系の課題を感じることが増えた事もあり、勉強してみたいと思ったことがきっかけです。

Chapter1 急成長するデジタル音声コンテンツの特徴について知ろう

音声コンテンツの特徴の一つとして、ユーザーの視聴状態は「ながら聴き」が標準になります。どのメディアでも言えますが、ユーザーの状態、ユーザーが期待している事を十分に把握することで、良質なコンテンツとして受け入れてもらえるので、この状態を理解することは重要ですね。

その他、米国での音声メディアの成長と国内での市場変化についても触れています。個人的にはウェブ広告に関連する仕事をしていることもあり、音声広告のブランド伝達強度が動画広告と比較して高くなるという結果には興味を持ちました。

Chapter2 音声サービスの種類と分類、デバイスについて知ろう

音声サービスの種類は「音声コンテンツ」「音声配信プラットフォーム」「ポッドキャスト」「音楽配信サービス」「オーディオブック」「音声化サービス」というように分けられます。

また、音声配信の方法として、特定のWebサイトやスマホアプリなど1つのサービス上で配信からコンテンツ再生まで完結できる「音声配信プラットフォーム」と複数のポッドキャスト対応アプリに配信する「ポッドキャスト」があります。

ポッドキャストはRSSフィードというソースコードを通じて外部プラットフォームに送り込む仕組みになり、この辺りは音声配信を実施する上で把握しておかないといけない点なので参考になりました。

個人的には Google製のポッドキャストアプリ「Google Podcasts」が2020年より iOS に対応したことを知り、すぐにインストールしました。2019年8月からはGoogle検索エンジンに「ポッドキャスト検索」を実装したらしく、Google検索経由でも音声コンテンツを発見する導線が充実しているのには驚きました。

Chapter3 音声配信サービスについての理解を深めよう

国内で注目されている音声配信プラットフォーム「Voicy」「Radiotalk」「himalaya」「Spoon」「stand.fm」「REC.」の特徴について紹介しています。それぞれ特徴があり、音声配信を行う上で、参考になる情報が多かったです。そして、改めてポッドキャストの配信の仕組み「RSS」フィードについて詳しく説明しています。概念は理解できたので、この辺りは実際に手を動かしながら理解をしたいと思いました。

個人的に興味を持った企業の活用方法が Radiotalk の美術館の事例でした。

Radiotalk には法人用のアカウント開設プランがあり、その美術館では企画展示に合わせて Radiotalk を起動すると、アイドルの方と美術館巡りをしているような音声体験が味わえる取り組みをしているそうです。しかも、この音声コンテンツは位置情報を活用して、その美術館にいる状態でのみ再生可能ということでした。

美術館には案内用のレンタルデバイスを置いている所はありますが、レンタルや装着のもどかしさ、アナウンス口調の退屈さが、不満に感じるところでしたので、このようなアプリを通じて、ユーザーの体験価値を高めるという方法は、メリットが多く、今後の標準サービスとして定着化することを期待したいです。


Chapter4 実際に音声配信をはじめてみよう

実際に音楽配信を行う上で、大切な戦略設計、運用計画などについて詳しく説明しています。戦略設計として、価値を生みたい対象者(企業、個人)は誰なのか、音声配信で実現したいこと(ブランディング、認知拡大、マネタイズ、リード創出、エンゲージメント、採用ブランディングなど)は何か、ペルソナ設計、コンテンツのコンセプト、企画、運用設計、プラットフォーム選定、運用管理など、重要なことだらけでした。その他、サムネイル、ハッシュタグの活用など、運用テクニックについても紹介しています。

ウェブマーケティングに関われている方であれば、この一連の戦略設計は体験された方もいると思いますが、「音声コンテンツ」だからこそ考えられる発想なども多く、考えていてテンションが上がりました。提案書としてそのまま使用できるフレームを用意しているので、実務の活用性も高いです。

Chapter5 音声配信のマーケティング活用

音声メディアをマーケティングチャネルとして活用する手法として、オウンドメディア(自社音声メディア)とペイドメディア(音声広告)の2つに分けて紹介しています。

オウンドメディア(自社音声メディア)としての活用には可能性を感じました。音声以外の代表的な手法は ブログ(検索)、SNS(テキスト、画像)、動画(youtube)などが挙げられますが、音声は「ながら聴き」できるという特性があるので、独立した手法として確立できそうです。

また、ペイドメディア(音声広告)では、「タイアップ広告」「スポンサードコンテンツ」「運用型広告」「予約型広告」に特徴を分けています。タクシー広告ではクラウド系のビジネスソフトウェアの広告が多いように、音声広告ならではの出稿業界というのも生まれてきそうな予感です。

個人的な趣味にはなりますが、深夜ラジオ「オードリーのオールナイトニッポン」のヘビーリスナー( = リトルトゥース)です。

冷凍食品を選ぶときには、やはり「ニチレイ」を購入したくなります(※ニチレイ様はオードリーのオールナイトニッポンの冠スポンサー)。番組の愛着が強すぎて「お世話になってます!ありがとうございます!これからもお願いします!」というような不思議な愛着を抱くようになりました(笑)。少し話しが脱線しましたが、ニッポン放送では、パーソナリティ(タレント)が商品やサービスの宣伝をするというタイアップ枠の広告もあり、非常に記憶に残りやすいです。

Chapter6 音声メディアのマネタイズを理解して収益化しよう

音声配信のマネタイズ方法として「広告モデル」「コマースモデル」「課金モデル」の3つに分けて紹介しています。

国内ではマネタイズの成功事例は多くはないようですが「課金モデル」が多い印象です。配信目的にもよりますが、個人的には、オウンドメディアの位置づけとして活用する方針が多くなるのではと考えられます。音声メディアを通じて、商品・サービスを知るきっかけになり、音声以外のメディアとの掛け合わせにより、エンゲージメントを高め、購入の意思決定に至るというプロセスです。音声メディア単体で独立収益を挙げやすいビジネスモデルとそうでないモデルがあるので、メディアとしての明確な位置づけは重要だと感じました。

Chapter7 次の時代の音声コンテンツとの付き合い方

スマートスピーカ、音声検索、音声広告、音声SNSなどの現在と今後の展開について紹介しています。

次世代の音声広告手法として私が興味を持ったのが「対話型音声広告」です。

対話型音声広告では、音声アプリの再生中にリスナーが音声広告と会話できる機能が盛り込まれ、音声広告からの質問に対して、リスナーが声で回答することで、広告の詳細を聴くことが出来るというものです。従来の一方通行な情報発信ではなく、コミニケーションとして成立する広告の可能性を感じました。

その他、音声SNSの一つとして紹介されていた「Dabel」というアプリをインストールしてみました。

「Dabel」はホストが作成した「ラウンジ」の中で複数人が通話を行うことが出来る会話アプリになり「会話に加わる」「聴くだけ」などのスタンスで参加が出来ます。実際に「ラウンジ」に参加してみましたが、会話に加わる勇気は持てませんでした。文字を書き込むという簡易的な行為ではなく、音声を発するという行為は現実感が強く、抵抗を感じました(私がシャイな性格ということもありますが)。

ちなみに、ラウンジの主催者は高校2年生の男子学生でした。私のニックネームを見て「最近、告白してフラれた先輩と同じ名前だ・・・」と狼狽していましたが、そんな傷心した17歳男子に、40歳の私は声をかける言葉が見つからず、私の指は退室ボタンに自然と流れていました。

さいごに

スマートスピーカー、ワイヤレスイヤホンなどの普及により音声コンテンツを聴く環境の利便性が向上されたこと、コロナ渦によるステイホームなどの時間増加も後押しになり、音声コンテンツがますます身近なものになってきました。

上手く活用できるかはやってみてにはなると思いますが、音声コンテンツを活用したアウトプットに挑戦してみようと思います。



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