数ヶ月ぶりに歯医者に行ったら、私の歯にとんでもないことが起こっていた。

2020年6月20日 08:00

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この数ヶ月、「不要不急」という言葉をよく耳にしたが、それに困惑した方も多くいたのではないかと思う。「重要か」「急ぎか」といった尺度は完全に主観の問題なので、それが世間的に見てどう判断されるかは自分でもわかりづらいからだ。

あれほど“自粛警察”がはびこっていると、自分としては必要だと思っていることでも、「あいつ、こんなことで外出して」と周囲から叩かれる可能性があることを思えば、「まあ、もう少し様子を見ようか」となってしまうのも無理はない。

そうして後回しにしてきたことのひとつに、体のケアがある。若い読者の皆さんにはピンと来ないかもしれないが、44歳のオッサンにもなると定期的に体のケアをしておかないと、すぐにあちこちにガタが来て、使い物にならなくなってしまうのだ。

（「おまえの場合、生まれつき使い物になってないだろ」というツッコミは謹んでお受けいたします笑）

５月の最終週に緊急事態宣言が解除され、６月12日に東京アラートも解除されたことで、私もようやく体のケアに行くことができた。そのなかのひとつが、歯科検診。だいたい数ヶ月に一度のペースで訪れ、虫歯がないかどうかをチェックしてもらい、ワインやコーヒーで汚れてしまった歯の表面をクリーニングしてもらうのだ。

今回もいつもと同じ歯科クリニックに予約を入れ、診療台に横になる。いつもと同じ先生が器具を片手に、私の口の中を覗き込む。先生がやや慌てた口調で切り出した。

「乙武さん、あのですね……」

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先生「乙武さん、まず最初にお伝えしますと、虫歯が２本できています。ただ、見たところ、これまでどおり上手に歯磨きできているので、磨き残しによる虫歯ということではなさそうなんですね」

——はい……。

先生「それで今回、お口の中を拝見してびっくりしたのが、歯の周りのエナメル質がかなり削り取られてしまってるんですね」

——えっ。

先生「それだけじゃなく、クラックと言って、小さなヒビがたくさん入ってしまってるんです」

——ええっ。

先生「何か心当たりみたいなものってありますか？」

——そうですねえ……。

先生「じつは、私、乙武さんのインスタをフォローさせていただいているんですが、例の義足プロジェクトって何か影響してたりしないですかね？」

——うーん、義足での歩行トレーニングは、もう２年近く前から続けていますし、特に歯を食いしばるような場面もないんですけど……あっ、ただこの数ヶ月は外出自粛の影響で、ずっと室内の筋トレに切り替えてたんですね。

先生「そのトレーニング、歯を食いしばるような負荷のかかる場面ってあったりします？」