【義足プロジェクト #6】 義足エンジニア・遠藤謙氏との出会い。
この記事は、今月12日(日)に「FRaU×現代ビジネス」にも掲載されます。
いま私が取り組んでいる義足プロジェクトについて説明するには、私と同世代のある人物について語らなければならない。
当時の私は、ネットメディアで連載対談のホスト役を務めていた。毎回さまざまなジャンルのトップランナーの話を聞くなかのひとりとして、彼との出会いが待っていた。
遠藤謙氏。
一九七八年、静岡県生まれ。ソニーコンピュータサイエンス研究所に所属し、ロボット技術を用いてどうしたら身体能力を拡張できるのかを研究するエンジニアだ。その一方で競技用義足の開発を進め、義足アスリートをサポートする株式会社Xiborg(サイボーグ)の代表も務めている。
Xiborgは二〇一四年に設立された。陸上競技用の板バネ義足は、アイスランドのオズールとドイツのオットーボックの二社が圧倒的なシェアを誇っていて、パラリンピックなどの大会では、日本人選手を含めほとんどの選手がいずれかのメーカーの義足を使っていた。しかし、二〇一六年のリオデジャネイロパラリンピックでは、この二社以外にXiborgの義足が使われた。
リオデジャネイロ大会でXiborgの義足を使用したパラアスリートは、陸上短距離の佐藤圭太選手だ。右足に下腿義足を装着して、男子百メートルと男子四×百メートルリレーに出場。四×百メートルリレーでは銅メダルを獲得した。設立からわずか二年のベンチャー企業が製作した義足が銅メダルに貢献したことは、国内外で大きく報じられた。さらに翌年、Xiborgは、佐藤選手と同じく下腿義足の男子百メートル全米選手権チャンピオン、ジャリッド・ウォレス選手と契約を結ぶなど、一気に存在感を強めている。
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