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【特撰記事①】「セクシー女優」は、誰によって生み出されたのか?

※これは3月21日に公開された有料記事ですが、特に反響が大きかったので年末特別企画として無料公開しています。

先日、『Abema的ニュースショー』でコロナ対策をめぐる報道のあり方について議論していましたが、その内容が記事になっていました。そのタイトルを見て、私は「ほお」と驚かされました。

「元セクシー女優」とあったので誰だろうと見てみたのですが、友人でもある鈴木涼美さんでした。彼女は慶應大→東大大学院→日経新聞記者→作家・ライターという経歴を歩んできており、現在は論客としても活躍しているのですが、学生時代にアダルトビデオに出演していた時期もあることから、こういうタイトルになったようです。

こうしたタイトルのつけ方に思うことはあるのですが、今回描きたい論点はそこではありません。「セクシー女優」という呼称そのものについてです。そういえば、ここ数年でよく見聞きするようになった言葉ですが、私自身はいまだに違和感を拭えずにいるんですよね。

ねえ、同世代のみなさま。我々が見てきたのは「アダルトビデオ」であり、そこに出演していたのは「AV女優」ですよね? それがいつから「セクシー女優」という呼称に変わったのでしょうか?

(ちょっとネットーサーフィンしてきます……)

なるほど、リサーチしてみたものの、特に公式の見解などはないようです。でも、なんとなく「AV女優」は性的に露骨なイメージがあるので、「セクシー女優」という呼称でぼやかしている、という説が濃厚なようですね。

なるほど、うーん。これ、ご本人たちはどう思っているんだろう……。

あ、私のすぐとなりには“当事者”がいたではないか! というわけで、『AbemaPrime』で毎週ご一緒している人気AV女優、“まなてぃ”こと紗倉まなさんにご意見を伺ってみることにしました。

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——まなてぃ自身は、「AV女優」を「セクシー女優」と言い換える風潮についてどう感じてる?

「セクシー女優」以外にも、「セクシータレント」や「ヌードル(即席麺かよ、と思いますがヌードアイドルの略らしいです)」など、いろいろ変換されることが多いのですが、言葉を濁そうとして、結果的に曖昧な状態になってしまっているように思います。さらに言えば、そうして曖昧な呼び方をするが故に、社会的な立ち位置までもが曖昧であると言われているような気がして、私としてはいまだに抵抗があります。

——そう言えば、まなてぃ自身は『AbemaPrime』で「AV女優」と名乗ってるよね?

アベプラは唯一私の肩書きをボカさずに紹介してくれた番組で、初めて出演した時、びっくりしたんです。それまではテレビでもネットでも「セクシー女優」と紹介されていたし、「AV女優」と表記してもらえることって本当に少なくて。以前、私が「できたら、ちゃんとAV女優って呼んでほしい」とツイートやコラムで書いていたこともあり、スタッフさんが気持ちを汲んでくださったのだと思います。

——逆に言えば、きちんと「AV女優」と表記してくれるのはアベプラくらいということか……。

私自身は「セクシー女優」という呼び方に気持ち悪さを感じていても、周囲からすれば「えっ、そこが気になるんだ?」と驚かれるかもしれませんし、実際はほとんどの場合、悪意なく言い換えてるんだと思います。なので、ここ数年は面倒くさくなって、「エロ屋」という肩書きを使うことが多いですね。「AV女優」はダメなのに「エロ屋」ならOKという基準もよくわかりませんが……笑

——こうした“当事者不在”の呼称って、なんかモヤモヤするよね。

そもそも私は“セクシー”以上のこと(性的な行為)をしていて、その言葉からはみ出しています。なので、「AV=セクシー」という変換自体が合っていないのかな、と。おそらく世間の目を気にして選ばれた言葉なんでしょうけど、観ている側も呼ばれる側も違和感を抱く人は少なくないように思います。そういう意味では、「オブラートの包み方を間違っているのでは?」と感じることが多いです。

なるほどおぉぉぉぉ!!!!!!

もちろん、これは「紗倉まな」個人の思いであり、これを持って「AV女優の方々はこう考えている」などと決めつけることはできません。しかし、そのことを差し引いても、非常にわかりやすく、そして深く共感できる内容でした。

というのも、紗倉さんのお話を聞いて、「セクシー女優」という呼称が生み出された経緯って、「障がい者」とひらがな混じりの表記になった経緯と、非常に似た構造だなと思うんです。

ただ、これについて語り始めると、ずいぶん長くなってしまいそうなので、また明日にでも。今日はひとまず、ここでお別れです!

✅この記事を受けて、後日、あらためて公開したのが下記の記事です。ぜひ併せてお読みください!

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