めんどくさいことをやる方法

◯登場人物
ひかり　女子中学生。悩める思春期の女の子。
Ｆ太　猫の妖精。ひかりの肩に乗り、ひかりにアドバイスを贈っている。

ひかり　あー、めんどくさい……。
Ｆ太　どうしたんだい、ひかり。
ひかり　あー、Ｆ太か。夜に出てくるのは珍しいね。
Ｆ太　ちょっと、ひかりの様子が気になったからね。
で、何が面倒くさいんだい？

ひかり　あー、それはね……。今度２学期の期末テストがあるから勉強しなくちゃなんだけど、その勉強がめんどくさい。
Ｆ太　あー……、なるほどね。
ひかり　Ｆ太、あたしの代わりにテスト受けて！
Ｆ太　それはダメ！ｗ
ひかり　えー、ケチ。
Ｆ太　だって、それじゃあひかりの為にならないじゃないか。テストでいい点取れても、テストの内容が身につかなきゃ、意味ないでしょ。
ひかり　まぁ、そうなんですけどね。

Ｆ太　じゃあ、代わりに僕が「為になる」ことを教えてあげよう。
ひかり　勉強教えてくれるの？
Ｆ太　教えるというか……、めんどくさいことをやるためのちょっとしたコツ、みたいな感じかな。
ひかり　めんどくさいことをやるための、コツ……？
Ｆ太　まぁぶっちゃけて言うとね、めんどくさいことは、別に後回しにしてもいいんだけどね。
ひかり　そう？　Ｆ太もそう思う？　じゃあ今からスプラトゥーンしよー！！
Ｆ太　こらっ！ｗ　待ちなさい！ｗ
ひかり　えっ、だって今、面倒くさいことは後回しにしていいって……。
Ｆ太　続きがあるの！ｗ　それが済んだらスプラトゥーンしていいから！ｗ
ひかり　はーい。

Ｆ太　……で、めんどくさいことを後回しにするのはいいんだけど、その前に条件がある。
それは、『５秒で出来る準備だけでも良いから、考えて、それを実行してから後回しにする』ということ。
ひかり　５秒で……？
Ｆ太　そう、５秒で。
ひかり　でも、５秒だと何もできなくない？
Ｆ太　それが意外とそうでもないよ。試しに、５秒でできる試験勉強の準備を考えてみよう。
ひかり　え、えーと…………。
例えば、私は英語が苦手だから…。『英単語帳を開いて、机の上に見えるように置いておく』とか？
Ｆ太　うん。それなら５秒でできそうだね。
ひかり　でも、それだけだよ。こんなのに何の意味があるの？
Ｆ太　例えば、この次の机に向かったときに、自然に英単語帳に目が行くかもしれないね。そうすれば、そこに書かれている英単語を読んでみよう、という気になるかもしれない。
ひかり　そんなもんかなぁ。
Ｆ太　もしその時また『めんどくさい』と感じたら、今度はまた、その状態から５秒でできることを考えてみればいい。
例えば、『そこに書かれている英単語を１つ覚える』。これなら５秒でできそうだよね。
ひかり　でも、そんなちょっとずつじゃ、試験には間に合わないんじゃ……。

Ｆ太　まずは、めんどくさい作業に取り組む、ということに慣れる必要があるんだ。だから、ほんのちょっとの時間ずつでもいいから取り組んで、それを繰り返す。
そうすると、その作業に取り組む心理的なハードルが下がってきて、なおかつ中途半端な状態を解消したいという気持ちも湧いてきて、だんだんめんどくさいことに取り組みやすくなっていくんだ。
ひかり　ふーん……。

Ｆ太　じゃあ、さっそく実践してみよう。英単語帳を机の上に開いて。
ひかり　えっと、こう……？
Ｆ太　そうそう。これで５秒経った。さあ、これで本日のめんどくさいことは終わり。
じゃあ、スプラトゥーンをやろう！
ひかり　あっ、ちょっと待って！
なんだか５秒だけじゃ気持ち悪い……。
Ｆ太、あたしこのページの英単語を覚えるところまでやってみる！
Ｆ太　おおお、いいねっ！
ひかりならあっという間に覚えられるよ！　がんばって！