【F太とあかりのひらめきメモ】お得な場所
◯登場人物
ひかり 女子中学生。悩める思春期の女の子。剣道などスポーツが得意。
F太 猫の妖精。ひかりの周りを飛び回りながら、アドバイスを贈っている。
ひかり あー、今日もうまく行かなかったな……。みんな、剣道強すぎるよ。
F太 どうしたの?
ひかり ひゃあっ!? な、なんだ、F太かぁ……。びっくりさせないでよー。
F太 ごめんごめん。ひかりが落ち込んでたから、つい気になっちゃって。
ひかり もうっ、気づいたらいきなり肩にいるんだもん。みんなに見えちゃったらどうするの?
F太 大丈夫、僕はひかりにしか見えないよ。それより、どうしたの?
ひかり それがね、剣道の部活でね……って、あー! あんまりびっくりしたから喉乾いちゃった!ちょっとコンビニに寄るから!
F太 えっ、あ、うん…。(ひかりって、びっくりしたら喉乾くんだ?)
ひかり ふうっ、おまたせ。
F太 落ち着いた?
ひかり うん。それでね、剣道の部活でね、わたしちょっと落ち込んじゃったんだ……。
F太 ふむふむ。
ひかり うちの部活は週に一回、総当りで練習試合があるんだけど、みんなめちゃくちゃ強くてね。
まぁ、わたし中学から剣道始めたばかりだから、下手っぴなのは当たり前なんだけど……。でも、勝てないとやっぱ悔しくて。
F太 なるほど。
それ以前に、なんだかみんなに申し訳なくって。わたしみたいな下手っぴが、このまま部活続けていてもいいのかな、って。
F太 ひかりは、剣道が嫌いになっちゃった?
ひかり ……ううん。
F太 できることなら、うまくなりたい?
ひかり うん。
F太 じゃあ、こう考えてみたらどうかな。
ひかりが自分のことを下手っぴだと感じるのなら、逆にいえば、それだけみんなの剣道の腕前がすごいってことだよね。
それって、お得なことじゃない?
ひかり お得な……こと?
F太 だって、ひかりは剣道うまくなりたいと思っていて、ひかりの周りには剣道のうまい人たちがたくさんいるんだよ?
ちょっと見方を変えてみたら、実はひかりは、すごくお得な場所にいるんじゃないかな。
ひかり ……そっか。
今まで気づかなかったけど、わたし、実はすごいところにいたんだ。
自分の下手っぴなところばかり気にしていたけど、わたしより上手い人たちがたくさんいるのって、実はすごいことだったんだ!
F太! 明日になったらわたし、上手な人に、どうやったら剣道がうまくなるか聞いてみる!
F太 うん、いいアイデアだと思うよ。
ひかり よーし、やる気が出てきたぞー! みんなからアドバイスをいっぱいもらって、あっという間にうまくなってやるんだから!
F太 ひかりなら絶対うまくなるよ。がんばって!
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