職人弟子入り日誌 0日目 ①

〜職人に弟子入りするまで〜

①就活塾をやめる

 今回、就職活動をやめて京都の染め職人さんに弟子入りすることにした。同級生の多くがリクルートスーツを着て名の知れた企業を目指す中で、僕は染め職人を目指すことに決めた。

どうして僕がこの決断をするに至ったのか、染色について知らないことだらけで、きっとこれからたくさんの壁にぶつかっていくと思うが、その時の自分を少しでも励ませるように、まずはそこから記録していきたいと思う。

 ちょうど去年の今頃、3年生の秋から就職活動をしなければいけないという情報を先輩から聞いた僕は、どうせ迎えることになるのなら早めに準備しておこうと思い、就職活動の準備を始めることにした。しかし、就職活動の準備とは言っても具体的に何をすればいいかわからなかったので、風のうわさで聞いた就活のノウハウを教えてくれるらしい就活塾に行くことにした。

そうして就活塾に行ってみた僕だったが、塾での講義が進んでいくうちに僕の就活に対するモチベーションは上がるどころか下がり続ける一方だった。

それは塾内では企業の難易度が決められていたり、その難易度の高い企業に行くことがステータスであるかのようにされていたりと、よくわからない誰かの尺度によって、企業の良し悪しが勝手に決められていたからだ。

いま思うと、そんな雰囲気は塾内だけでなく大学にもあったのだが、なんだかそういった雰囲気になじめなかった僕は「誰かの決めた尺度ではなく、自分がいいと思ったところで、自分がワクワクできるようなところで働きたい」と、なんとなく思うようになった。漠然とそれだけを思って、僕は就活塾をやめることにした。

つづく。



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