職人弟子入り日誌 0日目 ②

〜職人に弟子入りするまで〜

②学び場とびら

 勢いで就活塾をやめることにしたのはいいものの、そこから何をしたらいいかわからなかった僕は「就職活動で悩んでて…」と、いろんな大人に相談してみることから始めた。相談に乗ってもらった人のなかに「1か月間、ごみ拾いでもしてみたら?」と提案してくれる人がいたので、「せっかくアドバイスをもらったし、ちょっとやってみよう」と思い、友達を誘ってゴミ拾いをした。そんな姿を見た友達や先輩には「なにやってんの?」と笑われた。しかし、自分にできることを繰り返していると、たくさんの面白い人たちに出会うことができた。

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当の本人は笑われても楽しんでいた。

 
 そういった人たちの中には「君、おもしろいね」とイベントに誘ってくれる人もいた。僕はそんなご縁に恵まれて、京都の中心地ともいえる四条烏丸の「学び場とびら」にたどり着いた。ワーキングスペースというか、コミュニティースペースというか、言葉では表しにくいその空間は、イベントや商談、仕事の休憩など様々な目的で利用されていて、起業家や農家、教師や主婦など幅広い職業の人が出入りしている。

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この空間には不思議とたくさんの人が集まる。

そこで開かれるイベントをとおして、学び場とびらを運営している中田さんに出会った。その日、中田さんに進路について悩んでいることを相談すると、「じゃあここでインターンしていろんな人に話を聞いてみなよ」と言ってもらった。その瞬間、「また何か見えてくるものがあるかも」と直感した僕は、食い気味に「やります!」と言って、学び場とびらでインターンさせてもらうことになった。

 ただ、インターンといっても特に業務を与えられることはなかった。そういう状況に一時は困惑してウジウジしていた。しかし、ここでも「せっかくもらったチャンスなのだし、今できることからやってみよう」と二度目のやってみよう精神を炸裂させて、出入りする人やスタッフに勇気を出して片っ端からコミュニケーションを図りにいった。

 インターンとして学び場とびらに来て3日目、僕は中田さんに「ちょっと来て」と呼ばれ、なんだか感じのいいお兄さんの所に連れていかれたのだった。

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つづく。

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