見出し画像

流彩染めクラファン企画 染め職人・西田清さんを1年間見てきて思うこと③

はじめに

2020年5月、就職活動中の大学4回生だった僕は、京都の染め職人・西田清さんに弟子入りすることを決めた。弟子入りしてから約1年の期間がたち、現在は社会人1年目を迎えている。

この1年間、弟子としていろんな角度から西田さんのことを見てきた。そんな西田さんのこういうところがカッコいいんだよなというところをこのクラウドファンディングを通して知ってもらいたいと思い、3回にわたってnoteの投稿をしている。

クラファン終了まで残り2日にして、今回はいよいよ最終回。

3.人は何歳からでも挑戦できる

この2日間、僕から見た西田さんのここがカッコいいと思えるところを、今の僕にできる限りの言葉に乗せて、紹介してきた。一か月のクラウドファンディング期間中には、胃腸炎で39℃越えの熱を出したこともあったが、最後の追い込みに照準を合わせて、なんとか投稿までこぎつけることができた。

(あれ、君は新卒で何のスキルもないなか、体力だけを売りにして弟子入りしたのではないのか?と思われた方、それはとても鋭い視点だが、今はその気持ちをだれにもばれないように、そっと心のうちにしまっていただきたい)

では、そもそもなぜ僕は先の2回のように、西田さんのことを知ってもらいたいと思って発信をしているのだろうか?

その理由とは「技術のある職人たちが適正に評価されてほしいから」であろうか。それはもちろん間違ってはいないことだと思うけれど、なんか違う気もするのだ。もっと個人的な理由な気がする。

きっと僕が西田さんのカッコよさを発信しているのは、「僕が染め職人のカッコよさに触れたとき、マジで心が震えたから」だと思うのだ。だからこそ1人でも多くの人に西田さんのことを知ってもらい、そのカッコよさに触れてほしいと思って、今回のこのような発信をしているのだと思う。

西田さんは御年74歳。23歳の僕とは年齢が50歳以上も離れていることになる。その離れている50年の間には、圧倒的な差がある。西田さんは、リーマンショックやバブルの時代を経験し、社会の酸いも甘いも経験してきている。そうやって幾度もの経済の荒波を乗り越え、世界中で評価される作品を作り続けてきた。

そんな西田さんだが、今回のコロナショックで工房の経営にとてつもない打撃を受けた。
最終の商品を卸している百貨店が緊急事態宣言で休業し、決まっていた仕事の90%はキャンセルになった。外出を自粛しなければいけない世の中では、洋服を作っても着る人がいない。

ただ、資金の面で追い込まれているのは、他の染め工房も例外ではない。同世代の職人の多くが、コロナや年齢を理由に、この時期、職人としての人生に終止符を打った。今回クラウドファンディングのメインである「墨流し」この染色をメインに行っていた工房も、親方が80歳を迎えて引退した。

そのように「墨流し」を行っている工房がなくなり、誰がその染めをできるのか。日本で生まれた染色がまたなくなってしまうのではないか。そのように業界の人が危機の意識を持つ中で、その期待は西田さんに集まった。

誰にも真似できない技術を生み出し続けている西田さん。きっと西田さんなら、この染色を継承・アップデートすることができるのではないか。

西田さんはその思いを汲んで「墨流し」、いや「流彩染め」に挑戦することに決めた。そしてこれは次の染色文化を担う職人にむけて、日本で生まれた染色技法で、またパリコレクションを目指していくためでもあるのだ。

自分が362日働かなければいけない状況で、新しく未経験の大学生を迎え、そうした次の世代にこれからの染色を託していこうとしている。コロナでより経営が厳しくなる中で、これがどれだけのことかは、僕は自分でも自覚しているつもりだ。

そんな西田さんの思いを無下にしたくはない。出してもらえるお給料の何倍も何十倍も働いて、西田さんと一緒に僕もパリコレクションを目指したい。

このクラウドファンディングに挑戦するとき、西田さんはこんな言葉をつぶやいていた。

人生の中でまだまだやりたいことなんて、山ほどある。」

人は何歳からでも、どんな状況でも挑戦できる。74歳の染め職人が全身全霊でそれを証明してくれている。

クラファン終了まで残り2日! ぜひ応援、ご支援をよろしくお願いします!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?