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流彩染めクラファン企画 染め職人・西田清さんを1年間見てきて思うこと②

はじめに

2020年5月、就職活動中の大学4回生だった僕は、京都の染め職人・西田清さんに弟子入りすることを決めた。弟子入りしてから約1年の期間がたち、現在は社会人1年目を迎えている。この1年間、弟子としていろんな角度から西田さんのことを見てきた。そんな西田さんのこういうところがカッコいいんだよなというところをこのクラファンを通して知ってもらいたいと思い、3回にわたってnoteの投稿をしている。今回はその2/3回目。

(余談)
西田さんには、このnoteのことを「社長のカッコよさ、全力で書きます!」と伝えると「何をばかなこと言うとるんやあ」と照れながら返された。西田さんにはそんな一面もある。

2.人柄/人としての器

西田さんについて語るとき、染色技術の話はもちろん外せないが、それに並んで外せないのが、西田さんの人柄についてだと僕は思う。人間いろいろな側面があるので、「こういう人!」と断定することは難しいが、僕が西田さんと接している中で、僕から見た西田さんの人間性を象徴しているなというエピソードがある。そのエピソードを話すときに欠かせないアイテムがあるのだが、それがこれだ。

(これは、、、?)

これは張り木といって、その名の通り、生地にしわができないようにピンと張るための道具だ。2つで1セットになっている木の間に生地を挟み込み、両サイドから引っ張ることで生地に柄を描きやすいようにする。

(しわができないように)

弟子入りして間もない頃、僕はこれを取り付けることが全然できなかった。「何それ」と思われるかもしれないが、ふざけているわけではない。なんとなく見た感じ、ちょちょっとやったらできそうに思えるけれど、これが意外と難しいのだ。工房には常に緊張感が漂っていて、僕も弟子入りしたて、最初が肝心ともいうし、こんなこともできないのとか思われたらいやだし、、、みたいな思考がぐるぐると頭の中を駆け巡っていた。

そんな時、そうやってあたふたする僕を見て、西田さんは近くに寄ってきた。「うわぁ、もしかして怒られんのかなぁ」と僕が思っていると、西田さんは衝撃の行動に出た。膝をつき、僕に目線を合わせ、「これな、ここをこう引っ張ったらつけやすいで」と丁寧に教えてくれたのだ。正直、僕はその行動に心を打たれた。業界で半世紀近いキャリアを持ち、十分すぎるほどの実績もある人だ。そんな人がどこの馬の骨かもわからない大学生に、目線を合わせて、自分にとっては常識すぎることを教えてくれた。僕は、こういったことは誰にでもできることではないと思うのだ。

(おかげさまで、今は生地の取り付けはお手のもの)

そのような見方で西田さんを見てきて、気づいたことがある。それは、「西田さんはどこにいても、だれといても西田さん」ということだ。これはどういうことかというと、「人によって態度を変えることはない」という意味である。現在、工房では月に1回、染色ワークショップを行っており、一般のお客さんも工房に来ている。

職人さんの中には、工房に足を踏み入れると、染料をかけて帰される人もいるらしいが、西田さんはその類ではない。西田さんはどんなお客さんにも、西田さんらしく接している。このような態度は接されるほうからしてみれば、これ以上なく信用できることであると思う。そういった西田さんの人柄は、もちろん染色の仕事にも活かされている。西田さんは染料業者とも良好な関係を築いており、「なんか面白いもんないか」と言って、染料会社の会長を工房に呼び寄せたりしている。(なんとなく仲良さげにしている人が、普段自分が使っている染料会社の会長だと後々知った時の驚きはハンパない)こういったコミュニケーションから、今までにない表現や技法などが生まれることもあるのだ。

(ワークショップでの一コマ)

こういった人柄の西田さんは、挑戦にも寛容で協力的だ。僕が弟子入りしてすぐ、古着の染め直しサービスを始めるときも「やったらええやん」と背中を押してくれたし、「リクルートスーツを染色して、大学の卒業式に出たい」といったときも快くその行動を後押ししてくれた。きっと西田さんは、普段から今までにないものと向き合い続けているため、誰かが挑戦するときもその挑戦を否定することはないのだと思う。

(西田さんが背中を押してくれたおかげで、こんなカッコいいスーツができた)

そんな西田さんがまた新しい挑戦をしている。現在、西田清さんは御年74歳にして初めてのクラウドファンディングに挑戦中だ。それはこれからの染色文化のため、コロナ禍を乗り越え、またパリコレクションを目指していくためである。この記事を読んでくださっている方は薄々感づいているかもしれないが、僕は西田さんの弟子にして、西田さんのファンでもある。そこまでリスペクトしている社長の挑戦を少しでも後押しできたらいいなと思う。クラファン終了まで残り3日、ぜひ応援、ご支援をよろしくお願いします!


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