コモ活シリーズ---さかさまのロングスリーパー(コウモリの基礎知識②）
コモ活シリーズとして、コウモリの基礎知識を紹介しています。お子様にもわかるようにやさしく書いていますが、もちろん大人もどうぞ。
基礎知識・その3 なぜ、さかさまなの?
多くの方がふしぎに思うのは、「なぜコウモリはさかさまにぶら下がってるの? 苦しくないの?」ではないでしょうか? コウモリといえば、洞窟や木に、さかさにぶらさがっているイメージがありますよね。
コウモリは、いつもさかさまにぶらさがっているわけではなく、普通に頭を上にしていることもありますが、割合としてはさかさまのほうが多いです。なぜさかさまなのかは、いくつかの説があります。
一つは、コウモリの足の問題です。動物学者でコウモリに詳しい今泉吉晴先生は、こう言っています。
「コウモリは、とんで天敵をさけます。とびさえすれば、地上の敵から追われません。そこで、飛行能力を高めることにして、できるだけ体を軽くしました。体を軽くするには、手足の骨を細くするのがいちばんです。
コウモリの足の骨は細くて筋肉も弱く、力がでません。
コウモリがぶらさがってねむる理由は、ぶらさがるのはらくであるうえ、足が細くて弱いからといえます。それにぶらさがる姿勢は、とびたつのにも向いています」(天敵---ワシ、カラス、フクロウ、ネコ、ヘビなど)
実際には、小コウモリは立とうと思えば頭を上にして立つこともできますが、それはイレギュラーな姿勢なので、ほとんどのコウモリはめったに立ちません。頭を上にして立つよりはさかさまにぶら下がるほうがラクなんだと思います。
ほかには、小コウモリの体はとても軽いので(体重が10グラムもない種類が多い)、頭を下にしても人間みたいに血が逆流して苦しくなることがないのでは? と考えられることです。実際に全然苦しくないようです。
人間は何分も逆立ちしたら苦しいし、体にも悪いですよね。同じ哺乳類でもコウモリの体の構造は、空を飛ぶために特殊に進化しているので、人間とはだいぶ違うようです。
民家の塀でお昼寝する前に、ストレッチしてアクビするコウモリさん
基礎知識・その4 コウモリはよく働き、よく眠る
動物には、大きく分けて肉食動物と草食動物と雑食動物がいます。肉食動物はトラやライオンなど、他の動物を主食にするもの。草食動物は、ゾウやキリン、ウサギなど、植物を主食にするものです。雑食動物は肉も植物も、いろんなものを食べる動物で、人間やネズミなどは雑食です。
小コウモリの多くは虫を食べるので、肉食動物になります。
海外の権威ある科学雑誌「Nature」に2005年に発表された調査結果によると、肉食動物、草食動物、雑食動物、合計約70種類の睡眠時間を調べたところ、約70種類の中で最も睡眠時間が長いのは２種類の小コウモリでした(※)
なんと彼らの睡眠時間は約20時間! １日に４時間しか起きて活動していません。これは肉食動物の中でも特に長く、トラやライオンは約15時間です。 (※)Siegel, Nature 2005
これは、コウモリがなまけものだとか、活動量が少ないからではなく、
その逆なんです。
小コウモリは生命を維持するために、たくさんの虫を食べなければなりません。蚊のような小さい虫なら一晩に1000匹近く食べないといけません。コウモリの飛ぶ姿を見たことがある人はわかるでしょうが、かなりのスピードで急降下したり急旋回をします。コウモリが飛んでいるときの心拍数は、
最高で１分間に1,000! ノドの筋肉を動かす回数は１秒間に200!
これは哺乳類で最高です。(人間の大人の心拍数は、１分間に70前後)。
コウモリは、小さな体でどれだけ激しい活動をしていることか。
コウモリは人間や農作物に害になる虫をせっせと食べてくれます。
体長10センチもなく、体重10グラムもないような小さな体で、たくさんの虫をつかまえるためにがんばっているので、その分、よく眠って休む必要があるんでしょうね。
彼らが夜の間に活動する様子は私たちには見えないので、「コウモリって、いつも寝ているイメージがある」という人もいるかもしれませんが、彼らは、よ〜く働いて、よく休む動物なんです。
↓ カナダの可愛いコウモリがたくさん出てきます❤
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★どこにも所属しないコウモリ愛好家です。個人的に好きな海外の種類について、海外の専門家に教えてもらいながら調べています。
誤解されがちなコウモリという素晴らしい動物の魅力を広めたくて本を書いたり、ラジオ番組で取り上げたり、ミニ講座で話をしたりしています。専門家や研究者ではないので、分からない点は専門家にも教えて貰っています。コウモリがお好きな方、繋がりませんか？
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