コモ活シリーズ---コウモリは、とってもきれい好き! (コウモリの基礎知識⑤)
世の中には、コウモリ＝なんとなく汚い? という誤解をしている方もいるようなので、実はとっても綺麗好きなんですよ、という本当の話です。
基礎知識・その７ コウモリは動物界で１、２を争う、きれい好き?
動物が自分の体毛をなめたり、漉(す)いたりして体を綺麗にして整えることをグルーミングといいます。飼い猫をはじめ、動物園の動物たちもよくグルーミングしてますよね。
コウモリは危険な菌を持っているとか、噛まれると狂犬病になるリスクが高いと思っている人がいますが、実際にはコウモリの持つ菌の数はネズミよりはるかに少なく、噛まれて狂犬病になるリスクも、全ての野生動物の中で低いグループなのが、海外の研究でエビデンスが出ています。(現代では狂犬病はレアな病気で、全米で狂犬病で亡くなる人は年間1〜2人しかいない)
コウモリは暗い場所にいることが多いので、なんとなく不潔?と思っている人もいますが、コウモリはとても綺麗好きなんです。オスもメスも、１日に何十回も熱心にグルーミングして体を清潔に保っています。
それでダニやノミも取り除きます。
『シートン動物記』で有名なシートンはコウモリをとても愛して詳しく観察していました。自分の土地(広大な森と湖がある)にコウモリに住み着いてほしくて、本格的なコウモリの家も建てたほどです。
シートンの本『コウモリの妖精 アタラファ』に、コウモリがどんなに綺麗好きかがわかる、こんな文章があります。これは私がコウモリの映像で見る様子と同じです。さすがシートンは正確に細密に観察していますね。
「つばさのはえたブラウニー(妖精)であるコウモリは、動物界で1、2をあらそうきれいずきです。
たとえば、水浴による身づくろいには、こんな順序がありました。
まず最初に、池の水面すれすれにとんで1、2回かるく水にふれます。すると、体の下側の毛衣(もうい)がしっとりぬれ、水滴がおちます。
そこでまいあがり、よくつかう高い木の枝にとまります。いっぽうの足を
はなして体を自由に動かせるようにすると、つばさの前のふちにつく親指の大きなつめで、体の毛をすいて身づくろいします。しばらくして足をかえ、つばさのふちの親指もかえます。すると、全身の毛をすくことができます。
ついで、いっそうこまやかな手入れをするために歯と舌をつかいます。
ネコが毛づくろいをするのとおなじていねいさで、体じゅうをくまなく、
小さくかんですき、なめて毛をととのえます。
おわると、つばさの手入れです。口と頭でつばさの内側と外側をこすり、
美しくします。くびをのばして皮膜(ひまく)をなめ、つまんでひっぱり、
どんなにこまかなごみもみのがさずに、ていねいにとりのぞきます。
最後に毛衣をなぜてととのえ、美しく、つややかにして、ふわっとふくらませます」
(『シートン動物記 コウモリの妖精 アタラファ』より、今泉吉晴訳)
★保護された北米のコウモリ(Eastern Red Bat）が足を使って一生懸命グルーミングしている様子。コウモリはとても綺麗好きで、１日に何十回もこうしてグルーミングしています。
★北米のコウモリ(Brown Bat）が森でグルーミングする様子。可愛い。
グルーミングの様子は世界共通。日本のコウモリも同じです。
★いま、日本でも世界でも、絶滅に瀕しているコウモリがたくさんいます
その原因は環境破壊で住む場所がなくなったり、昆虫が減ったり、風力発電のタービンに巻き込まれたり、コウモリが食べる虫の体内に蓄積された農薬や化学物質、有刺鉄線に絡まる事故、５Gの電磁波やLEDの光害…等多数。
オオコウモリは東南アジアで食用にされるものも…
それ以上に、コウモリが本当はどんなに平和的でおとなしく、知能も高く、生態系に貢献しているかを知らずに「コウモリは怖い」「コウモリは危険」だからいなくてもいい、という人間の一方的な思い込みで、海外では殺されている個体も少なくありません(´;ω;｀)ｳｳ (※日本では鳥獣保護法でコウモリの殺傷は禁じられています)
下の動画は、2020年Wildlife Conservation Film Festival ワールド・プレミア作品(ドキュメンタリー)です。コウモリの真実と現状、保護の課題についてわかりやすく説明しています。英語字幕なので、設定で日本語翻訳にしてぜひどうぞ (-人-)
★以下は、この動画に寄せられたコメントの一部から。コウモリを理解して下さっている方もいらっしゃって少し救われます (´ｪ｀)
「コウモリは、世界中で、我々の生態系にとって必須の生きものです。
彼らは驚異的で、非常に誤解されている生きものです。
このビデオにとても感謝します。
これらの素晴らしい生きものの認識を高める努力をありがとう」
「コウモリはこの惑星の最も重要な生きものの一つです。全ての生きものは、大きいものも小さいものも、みんな意味があって存在しています」
「コウモリは素晴らしいし、愛らしい。彼らはみな、愛されて保護される価値があります️️」
※記事の内容の転載はお断りいたします。
●小学生から読めるシートンの物語。コウモリのことがよくわかります。
イラストも全てシートンが描いています。
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★どこにも所属しないコウモリ愛好家です。個人的に好きな海外の種類について、海外の専門家に教えてもらいながら調べています。
誤解されがちなコウモリという素晴らしい動物の魅力を広めたくて本を書いたり、ラジオ番組で取り上げたり、ミニ講座で話をしたりしています。専門家や研究者ではないので、分からない点は専門家にも教えて貰っています。コウモリがお好きな方、繋がりませんか？
「コウモリを正しく知ろう、守ろう」
こちらはフィクションですが、野生動物関係者の方からもご好評を頂いています。
読みやすいノンフィクション。Amazonに飛びます。
↓売上を保護活動に寄付しています
嬉しいご厚意は、地球に暮らす小さな仲間たち(コウモリと野生動物）を守る目的の寄付に使わせていただきます(๑´ω`๑)♡