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商店街の『再生』は不可能である!? : 日南旅で見た油津商店街から考える

先日11/5(金)〜11/6(土)にかけてゼミのメンバー6人で宮崎県の日南市を旅してきた。日南市は宮崎県の南部に位置する人口5万人程度の地域である。きっかけは地元長崎の島原で地域活性化活動に取り組んでいるゼミの同期から誘われたことだった。日南市は昨年の創P(企業経営の一連のプロセスを学ぶプログラムのこと。毎年九州の地域をテーマとしてイベントなどに出店をしている)において1つ上の先輩方がテーマにした地域であり、私もいつかは行ってみたいなと思っていたところであったため今回の連休を使って行くことができよかった。

ところで皆さんは「日南市」といえば何を思い浮かべるだろうか。初めて聞いたと言う人も中には入るかもしれない。野球好きにとっては毎春、広島カープと西武ライオンズの2団体のキャンプ地となっていることで有名であろう。他にもサーフィンやダイビングなどマリンスポーツでも人気な地でもある。そしてもう一つ日南市を語る上で欠かせないものがある。それは「商店街」である。日南市の油津にある油津商店街は、ここ数年でその知名度を急上昇させた全国的に知られる商店街なのである。2013年から市が重点的に活性化に取り組んだ場所で、シャッター街だった通りには4年間で飲食店やIT企業など29の事業所が入居している。あの元首相の安倍晋三氏も地方創生の成功事例として紹介をしており、この一連の盛り上がりは「日南の奇跡」とも呼ばれているようだ。私の今回の旅の一番の目的は、この油津商店街を実際に見て、そこで働く人たちとお話をし、経験価値を積むこと、そして自分自身のキャリアについて考えることであった。


さて。私が今、上にかいた情報は全て日南市に行く前に事前に入手していた情報である。読者の皆さんもこれを読んで、商店街の衰退が叫ばれている今の時代の中でも、日南には再生に成功したすごい商店街があるみたいだとワクワクしたのではないだろうか。私自身も実際に油津商店街に行くまでは皆さんと同じ気持ちであった。


実際に油津商店街に行ってみると、、、、閑散としている。人通りもほとんどない。所々現代風なお店があったり、会社の事務所のようなとこがあり、確かにそこらへんの普通の商店街とは違った空気感はあったが、活気はあまり感じられなかった。正直なところ、これがあの安倍元首相が地方創生の成功事例として紹介し、経済産業省の「はばたく商店街30選」にも選ばれた場所なのかと目を疑った。実際の様子は下の写真を見てもらえばある程度はわかるだろう。

商店街風景LINE_ALBUM_211108
リサイクルショップLINE_ALBUM_211108
宿泊施設LINE_ALBUM_211108
ガラス張りLINE_ALBUM_20211106_211108


その後、私たちは、この油津商店街の再生事業の立役者の1人である、日南市マーケティング専門官の田鹿倫基さんとお話をさせていただく機会をもらった。

田鹿さん曰く、この商店街が「再生した」と思っている人は5%にも満たないとのこと。日南市の95%の人は油津商店街は再生していないと思っているそうだ。

地元の人々が期待していたのは、賑わっていた昔の商店街の「復元」だったのだ。私自身もそちら側のイメージで今まで様々な商店街を見ていたことに気付かされた。しかし実際のところ現在周辺の人口も最盛期の1万4千人から3800人に減り、近くには大きなショッピングセンターができ、インターネットをつかば大抵のものは手に入る。昔の商店街の形を再現することなんて不可能だったのである。むしろ令和の時代を生きる人々のインサイトにうまくマッチした、今の時代にあった商店街でなければならないのであった。

田鹿さんは、商店街は再生させるものではないと言う。大事なのは現状を正しく分析して、賑わっっていた頃のノスタルジーに引っ張られることなく、ゼロベースでまちづくりに取り組むことなのであった。地元民からは厳しい意見が上がることもあるが、油津商店街を含め日南市は着実に成長をしている。ここ10年の経済成長率も東京と比べても遥に高い(具体的な数字は忘れたが)。このように、実際に調査してみると少しずつではあるが油津商店街は新しく生まれ変わってきているのだとわかった。


今回、田鹿さんとお話をしたことで自分自身の考え方や、キャリアについても見つめ直すことができた。田鹿さんは物事を考える時には必ず数字のデータを用いて検証をしているそうだ。私も管理会計のゼミに入っているためもちろん数字の面からも物事を考えるようにはしているが、今回の田鹿さんのお話を聞いてその重要性を改めて感じた。他にも何かをやるときには必ず仮説を作ってから取り組むべきであることもわかった。グーグルで検索しても出てこない情報をフェルミ推定などを用いて自分自身で考える力、それを元に仮説をたてて思考の手がかりを作る力。これこそこれからの時代に必要な力だと思った。また今回田鹿さんのキャリアについての話を聞いて、自分自身のキャリアについても考える良い機会となった。このことについては後日、森岡毅さんの著書である「苦しかったときの話をしようか」を読んでの感想と合わせて記事を書こうと思う。

それではまた!最後まで読んでくださりありがとうございました



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