この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第82回]
江村即事
罷釣帰来不繋船 釣りを罷(や)め 帰り来たりて舟を繋(つな)がず
江村月落正堪眠 江村 月落ちて 正(まさ)に眠るに堪(た)えたり
縦然一夜風吹去 縦然(たとえ) 一夜 風吹き去るも
只在蘆花浅水辺 只 蘆花浅水の辺に 在(あ)らん
司空曙
川辺の村の即興の詩
釣りをやめて帰ってきて 舟も繋がず陸に上がった
川辺の村は月も落ちて ちょうど眠る時間
もし夜中 風が舟を吹き流しても
ただ 蘆の花咲く浅瀬のあたりに 引っかかっているだけ
*もう月は消えてしまったようですが、
あえて月、舟、江村の三点セットで描いてみました。
気楽で自由な境地の詩ですので、
上下左右 余白をとって ゆったりとした絵にしました。