村田選手2

#勝て村田諒太

ーーー日本人にできないと言われていたが、僕にできないとは聞いたことがなかったので、自分はできると信じていた。



このセリフを耳にしたのは、何度目の受験の後だったか。

長きに渡る国家試験の受験生活の中で自分自身に失望していた私には、耳を塞ぎたくなるようなセリフだった。

2012年ロンドンオリンピック、ミドル級金メダリスト。日本人によるボクシング競技で48年ぶりの金メダル獲得。自分とは、そんなに年も変わらない若者の歴史的な快挙。そして、その後のプロ転向とWBA世界ミドル級王座獲得。自分には縁遠い別世界の人、ずっとそう思っていた。

でも、あれは世界戦の直後だったか。NHKで彼のドキュメンタリー番組が流れていた。そこに映し出されていたのは、ただひたすらに周りの期待、重圧、恐怖に向き合う彼の姿だった。彼は決して特別な人ではなかった。



想えば彼は、いつも挑戦していた。48年ぶりのオリンピック金メダル。アマチュア選手としての引退勧告とプロ転向。WBA世界ミドル級王座挑戦と不可解な判定負け。
どんなに大変だったろうかと思う。度重なる困難が訪れても、逃げずに真摯に向き合うこと。ずっと私は、彼から学び、彼の活躍を励みにしてきたのだと思う。




今、彼-村田諒太選手が新たな困難に挑もうとしている。「惨敗」と評されるような敗戦の対戦相手との再戦。そして、アスリートが置かれている環境との闘い。

でも、今までと違うのは、自分の声を彼に届けることができるということ。彼は、もう、「遠い世界の人」ではないし、私でも彼の背中を支える数多の手の一つぐらいにはなれるだろうと思っている。

ゴングが鳴るのは7月12日金曜の夜。筋書きのないドラマが、まもなく始まる。


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