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山口データアカデミーことVPMM研修2023

データ利活用研修の熱量再び

昨年度終わりから今年度ぐらいから、自治体さんのデータ利活用研修の熱量が高まってきている。それも、ツールの使い方講座ではなく、施策政策立案に使えるものとしての問い合わせだ。これは、デジタル社会に進んできていること、データ連携基盤などの存在、そして、何しろ減りゆく地域のリソースを住民と合意形成のもとに地域のあり方を決めていかなければならないからだ。

Vision and Policy Making Methodolory

そのため、シビックテック・ラボのデータ利活用研修は、あるべき姿とビジョンから現状とのギャップを見出し、データ分析で明らかにし、人の行動が変わる点を考えながら施策を考え、合意形成に至るという、データアカデミーの先をいくデータ利活用研修としています。
今回は3日間半日のショート版として山口県庁、2日間(終日)のショート版として名古屋市に提供しているお話をしていきましょう。

まずは、ビジョンを定める

まずは数値から見る、指標から判断する・・・なんてことをやっちゃいませんか?数値や指標は一体誰が判断したものでしょう?職員?どこぞの先生?議員さん?
行政サービスは誰のためにするものかといえば、その地域の住民のためにするものです。となれば、ビジョンを定めるため(もしくは仮置きしたビジョンが正しいかを確認するため)にも定性的な情報、つまりユーザーリサーチやアンケートが最初にやることなのです。データアカデミーの時にはできなかったこの工程を今回は取り込んでいます。よく聞くのですよね、「住民が何を望んでいるのかわからない。」と。え?皆さんの地域の住民さんですよね・・・大丈夫でしょうか。そして、次に言われるのが「データを分析してサービスを考えたい」です。住民のこと分からないまま進めちゃって本当に大丈夫でしょうか。本来、データとは数値だけでなく、意見や定性的なものや感覚の変化なども含むものです。これらのツキ当てを最初に行わなければ、いくらいい(と職員が思っている)施策ができたり、僕たちが思った最高のウェルビーイング!ができたとしても、住民のニーズとは合わないでしょう。最初を合わせ、それを実現するために必要なギャップと、乗り越えるコンセプトを作り、最後にまた合意形成するのです。

だから、我々は「ビジョン」から始める。
もちろん、数値的な裏付けもしっかり取った上で、意識の確認のためのワークショップやタウンミーティング、リサーチ・ヒアリング・アンケートを駆使して方向性を見つけ出し、ありたい姿・ビジョンとどうなったらゴールと言えるのかを作り上げましょう。

そして、仮説を立てデータを集め分析する

データを分析する理由は2つ。現状が明らかでないなら、未来とのギャップはわからない。だから、現状がわからないことについて仮説をつくり分析して明らかにする。そして、未来の状態がわからないのであれば、可能性について仮説を立てて分析する。この二つをしっかりと分析して、ビジョンに足るには何の数値が必要なのかを確認していく。
未来に必要な数値や指標は各地域で違う、だからこそ、どれが優先順位が高いかをビジョンに対しての効果や嬉しさから(これは、住民との間でしっかりとパラメータにしていく)決めていくことになります。

「データがない・わからない」、「何を分析したらいいのかわからない」、「正しく進められているかわからない」これよく言われます。答えを先に言うと、私もほとんどの場合はわかりません。皆さんの土地を表すのに必要なデータや、どちらの気持ちを優先するかなどは地域の人にしかわからないので、何を分析したらいいのか・正しいかなどはわからんのです。
1つだけ言えることは、1回で成功をめざすから失敗するということです。うまくいかなければ、それがまず1つ目の研修の成果です。どのレベルまで調べなければいけないのか、こういう調べ方は正解に近づくのか、この表現で差が表せるのか。その1つ1つを体験することが研修です。けっして、答え探しの旅でもなければ、講師が全て教えてその通りにやる(そして、それ以外のパターンはまるでわからないまま)のではないのです。データ利活用は、何度もサイクルを回して実現するもの、その中で何度もやる中で気づきが広がっていき腹落ちや観点が出てくるものなのです。

変化のポイントを決める

分析と評価まで決まったら、変化のポイントを見つけ出します。これもよく最初から考えている案やツールにすぐに戻ってしまう人もいますが、人がそれを使おうと思わない限りお金をかけて投資しても誰も使わないのです。とある自治体で、防災アプリを全員がインストールすれば問題がなくなるのに、全然ダウンロードしないことが問題だ。といって、解決策もインストールをすることにしてしまっていることがありました。このアプローチではいつまで経ってもそのゴールは達成できないことでしょう。施策や政策は利用させるには3通りしかなく、①法律等で強制的に縛る、②人々が自然とやりたくなる・自発的に使う仕組みを作る、③そんなことがあることも知らずに使える(例えば、カーナビで渋滞情報をどう集めているかなど知らないが、渋滞回避を自動で利用していること)です。これらのどの方法で人々にタッチするのか。これが、施策や政策の立案です。

最後にダッシュボードで合意形成

ある程度施策が考えられたら、住民との合意形成のお時間です。これを数字を使って行います。どこから優先的にやるのか、何を目指してどんな結果になるかを、数字をダッシュボードで表して確認するのです。
同じ土俵に立って同じものを見て、最初に決めたビジョンの達成とはこれでいいのかを決めていきます。そして、毎年・毎月・毎週・毎日の結果も確認し順調に進められているのか、それとも違うのか。それを他の方法ではなく、決めた指標とダッシュボードで語り合うのです。

ここまできて、ようやくEBPMと言えるでしょう。向上・改善したいところを探すためのデータ分析、それを実現する施策を見る費用対効果、最後に「結果をトレースする指標とタイミング」ここがあって、エビデンスに基づくと言えるのです。みなさん。前半だけをやってお茶を濁してはいませんか?やるなら、最後まできっちりやりましょう。

というわけで、実践型でやるならば、いつでもご相談ください。
自治体職員経験がないからこそ、ニュートラルに良い悪いを言います。
今データ利活用が進まないと困っている担当者のためではなく、地域と住民のためになるか。で判断して、それができる職員を増やすため。であればともにやりましょう。

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